実践フォーラム 破産実務〔補訂版〕

実践フォーラム 破産実務〔補訂版〕

  • 編・著者野村 剛司 編著
  • 判型A5判
  • ページ数564頁
  • 税込価格6,820円(本体価格:6,200円)
  • 発行年月2024年3月
  • ISBN978-4-417-01874-2
  • 在庫

    有り

■解説

感覚の共有と協働・連携を!
◆こんなときどうする? どうなる? 誰もが遭遇する素朴な疑問から難問まで
 実務の解決指針,勘所を語り尽くす圧倒的なライブ感。 
◆どこを読んでも面白い, ためになる。倒産処理弁護士の魂の伝承
◆事業再生・私的整理も含む最新情報を加えた〔補訂版〕


補訂版はしがき
 1冊丸ごと座談会で構成されている本書『実践フォーラム 破産実務』は,
好評を博し,今回の増刷を機に,補訂版を発刊させていただく運びとなりまし
た。読者の皆さま,ありがとうございます。
 本書の初版(平成29年11月刊)には,元大阪地方裁判所第6民事部(倒産部)
部総括判事の林圭介先生(現弁護士,元学習院大学法学部教授)と佐藤鉄男先生
(中央大学大学院法務研究科教授)から書評をいただきました(林「倒産実務の
未来を拓く実践対話集―精鋭弁護士たちの熱き想いの結実―」金法2082号
(2018年)42頁,佐藤「東に西に南に北に 等身大の倒産実務ライブ」自正69巻
5号(2018年)91頁)。感謝申し上げます。
 さて,この間,世界は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という未
知の脅威に晒され,わが国もコロナ禍における政府の各種資金繰り支援による
倒産抑制を経て,再び倒産事件が増加してきました(法人破産申立ての新受件
数は,令和3年を底に,増加に転じ,令和5年にはコロナ前に戻ったといわれ
ています)。
 このような状況下にあっても,本書が伝えたい思い(「はしがき(初版)」
参照)は,普遍的なものではないかと思います。さらに広がればありがたいと
思います。近時は,申立代理人に対する不信感がさらに募っているのではない
かと残念に思うところですが,場合によっては債権者,債務者に迷惑をかける
ことになり,ひいては倒産制度そのものに対する不信感に繋がりかねません。
帯にも書いたとおり,「感覚の共有と協働・連携を!」を強く呼びかけたいと
ころです。
 本を作るということは,ある時で切り取っている,ということでもあり,そ
の後も実務と理論は動き続けています。その意味では,ゴールはないのだろう
と思います。今回の補訂版の発刊に当たり,「補訂情報」を巻末にまとめまし
た。本書の初版以降の情報で第1編「大座談会」の内容を補うものとして参照
いただけますと幸いです。よりよい倒産処理実務を維持発展させていくために
は,不断の努力が必要だと痛感しております。さらなる精進を重ねたいと思い
ます。
 本書の初版の「編集後記」(本書525頁)を,「終わりは次の始まり。今回の
企画が,全国各地における次なる創造に向かうことを祈念しております。」と
結んでおりましたが,本書執筆陣の「次なる創造」として,第1編第9章「手
続選択―破産以外の選択肢の検討を」(本書416頁以下)で議論した事業再生や
廃業支援,私的整理をメインテーマとする実践フォーラムの続編『事業再生・
倒産処理』企画を検討中です。
 座談会にゲスト参加いただいた安田孝一先生(埼玉弁護士会)が令和3年逝去
されました。本書79頁で紹介した労働者健康福祉機構(現労働者健康安全機構)
の「未払賃金立替払制度に係る不正請求の防止及び審査の迅速化等に関する検
討会」でご一緒させていただき,研修会も積極的に開催いただきました。心よ
りご冥福をお祈りいたします。
 最後になりましたが,本書の補訂版の発刊を快くお引き受けいただいた株式
会社青林書院及び引き続き編集をご担当いただいた宮根茂樹氏に感謝申し上げ
ます。
  令和6年3月
弁護士 野村 剛司


著 者 紹 介
■編著者(コアメンバー)
野村 剛司(弁護士)

■執筆者(コアメンバー)
石岡 隆司(弁護士)石岡法律事務所
山田 尚武(弁護士)弁護士法人しょうぶ法律事務所赤池事務所
籠池 信宏(弁護士・公認会計士)籠池法律事務所
石川 貴康(弁護士)コンパサーレ法律事務所
八木  宏(弁護士)九頭竜法律事務所
髙松 康祐(弁護士)弁護士法人みらい法律事務所
桶谷 和人(弁護士・公認会計士)植物園法律会計事務所
久米 知之(弁護士)神戸H.I.T. 法律事務所
中川  嶺(弁護士)中川法律事務所

■執筆者(サポートメンバー)
鈴木 隆文(弁護士・公認会計士)アライズ総合法律事務所
團  潤子(弁護士)疋田・團法律事務所
小川 洋子(弁護士)弁護士法人TRUTH & TRUST
森本  純(弁護士)金子・中・森本法律特許事務所
今井 丈雄(弁護士)今井法律事務所
岡田 雄一郎(弁護士)プラスワン法律事務所
河野 ゆう(弁護士)河野・惣谷法律事務所
森  智幸(弁護士)岡山ひかり法律事務所
浅井 悠太(弁護士)浅井法律事務所
丸島 一浩(弁護士)弁護士法人リバーシティ法律事務所
管納 啓文(弁護士)弁護士法人みらい法律事務所
山本 隼平(弁護士)藤井薫法律事務所

■特別ゲスト
安田 孝一(元弁護士)令和3年逝去
尾田 知亜記(弁護士)弁護士法人しょうぶ法律事務所

■書籍内容

第1 編 大 座 談 会
第1章 序   章
1 趣旨説明とコアメンバーの自己紹介
2 近畿地区から始まった全国規模の意見交換会
3 『東西』へのオマージュ
4 感覚の共有
5 破産管財人目線と申立代理人目線
第2章 法人破産申立てを中心に
1 密行型とオープン型
図表1 密行型とオープン型のイメージ
2 Xデーから破産手続開始決定まで
3 破産申立書
4 予 納 金
5 財産・資料の保全と破産管財人への引継ぎ
第3章 申立代理人,破産管財人双方の立場から
1 労働債権・従業員関係の処理
2 未払賃金立替払制度
3 仕入先対応
図表1 仕入先対応一覧表
4 自動車の所有権留保
5 譲渡担保
6 売掛金回収
7 仕掛工事の処理
8 事業用賃借物件の処理
9 否認対象行為への対応
図表2 否認権の類型
10 株式関係
11 税務関係
12 破産者との信頼関係構築
第4章 破産における事業継続・事業譲渡
1 破産管財人による事業継続・事業譲渡
2 保全管理命令の活用
3 破産申立て前の事業譲渡
第5章 申立代理人の役割と義務・責任
1 申立代理人の役割とは
図表1 申立代理人の To Do ⑴ ― 密行型
図表2 申立代理人の To Do ⑵ ― オープン型
2 申立代理人と破産管財人の協働・連携
3 申立代理人の心構え
4 申立代理人の義務・責任
5 弁護士倫理・ヒヤリハット(申立代理人編)
6 申立代理人の報酬
第6章 個人債務者の破産に関する諸問題
1 事業者と非事業者
図表1 事業者と非事業者の区分のイメージ
2 同時廃止と管財の振り分け
3 自由財産拡張制度
4 破産と家族・家庭
図表2 財産分与額算定の原則パターンのイメージ
図表3 義務者の破産の場合
5 免   責
図表4 免責で確認・説明・指示する事項(申立代理人として)
6 個人再生と破産
図表5 個人再生と破産 対比表
第7章 債権者申立て
図表1 債権者申立ての目的による分類
第8章 破産管財人の活動
1 破産管財人の役割とは
2 破産管財人の心構え
3 管財業務のスタッフ
4 財産調査
5 不動産の任意売却
図表1 不動産の任意売却の流れ
6 換価困難資産の換価
7 破産財団からの放棄
8 役員責任の追及
9 債権届出・調査・確定
10 優先的破産債権の労働債権の早期弁済方法
11 債権者集会
12 配   当
13 帳簿類や個人情報等の管理・処分方法
14 弁護士倫理・ヒヤリハット(破産管財人編)
15 破産管財人の報酬
16 大型事件でチームを組む場合
第9章 手続選択― 破産以外の選択肢の検討を
1 事業の存続
図表1 手続選択俯瞰図
図表2 手続検討の順序
2 事業承継と事業再生
図表3 事業承継と事業再生のイメージ図
3 特別清算の活用方法
図表4 特別清算の類型
図表5 清算人代理手続一覧表(本来型の協定型の場合)
4 清算型私的整理と破産の関係
5 経営者保証ガイドラインの実践的活用法
図表6  経営者保証GL 利用フローチャート― 主債務者破産・最も
シンプルなパターン
図表7 経営者保証GL 手続フロー・特定調停
6 破産手続を利用しやすくするために
第10章 伝承と運用改善のために
1 伝承のために
図表1 破産管財人OJT 制度の類型
2 運用改善のために
第11章 倒産法改正に向けて

第2 編 総 括 座 談 会
第1章 サポートメンバーによる総括座談会
第2章 コアメンバーによる総括座談会
編集後記
補訂情報
事項索引

■〔コラム目次〕
1 6ヵ月要件に注意!
2 簿記検定を取ろう!
3 キャッチコピー
4 盗難保険
5 不動産の任意売却心得十箇条
6 マスコミ対応の心得十箇条(事業継続型)
7 中小企業活性化協議会の紹介
8 金融機関の稟議
9 主債務者破産における経営者保証ガイドラインの利用