要件事実・事実認定論と基礎法学の新たな展開  《伊藤滋夫先生喜寿記念》

要件事実・事実認定論と基礎法学の新たな展開 《伊藤滋夫先生喜寿記念》

  • 編・著者河上正二 ほか編
  • 判型A5
  • ページ数1050
  • 税込価格16,500円(本体価格:15,000円)
  • 発行年月2009年02月
  • ISBN978-4-417-01483-6
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■解説

要件事実・事実認定論の泰斗として,法曹養成・法学教育に指導的役割を
果たしてこられた伊藤滋夫先生の喜寿をお祝いして編まれた論文集。
先生の謦咳に接し薫陶を受けた第一線の研究者,裁判官,弁護士の執筆による
渾身の論文41本と4本の随想を収める。要件事実・事実認定の諸問題,基礎法学と
実定法学との協働,法曹養成から見た要件事実・事実認定論・基礎法学にかかる
今日的なテーマに鋭く迫り様々な論考を展開する。


ISBN978-4-417-01483-6

■書籍内容

掲載順 氏名 肩書 論文の題名

第1章 要件事実・事実認定―総論

1 高橋文彦 (明治学院大学法学部教授)
  要件事実論と非単調論理―〈法律要件⇒法律効果〉における
  「⇒」の論理学的意味について―

2 執行秀幸 (中央大学大学院法務研究科教授)
   民法解釈学からみた要件事実論 ―「裁判規範としての民法」理論の考察―

3 畑 瑞穂 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
主張責任と立証責任に関する覚書

4 山本和彦 (一橋大学大学院法学研究科教授)
総合判断型一般条項と要件事実 ―「準主要事実」概念の復権と再構成に向けて―

5 渡辺達徳 (中央大学大学院法務研究科教授)
「債務法現代化」後のドイツ法と要件事実論

6 佐藤歳二 (弁護士・桐蔭横浜大学法科大学院客員教授)
勝つべき者が勝つ民亊裁判を目指して-事実認定における法曹の心構え-

7 山浦善樹 (弁護士・筑波大学法科大学院教授)
法律事務所における事件処理と要件事実の実際

8 中川徹也 (弁護士・國學院大學大学院法務研究科教授)
民事弁護活動と要件事実論

9 松原正明 (東京家庭裁判所判事)
家事調停手続における事実認定の意義


第2章 要件事実・事実認定 ―各論

第1節 民法の諸問題

10 若柳善朗 (弁護士・創価大学法科大学院教授・青山学院大学大学院法学研究科教授)
期限・期間の要件事実 ―到来・経過の意味との関係で―

11 下村正明 (関西大学大学院法務研究科教授)
   通知懈怠による求償権制限の要件事実

12 高橋 譲 (最高裁判所調査官)
安全配慮義務について

13 笠井 修 (中央大学大学院法務研究科教授)
建設請負契約における要件事実

14 河上正二 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
保険診療における診療報酬と患者の一部負担金について

15 山本和敏 (弁護士・元東京高等裁判所判事)
攻撃防御方法としての民法717条1項

16 梶村太市 (早稲田大学大学院法務研究科客員教授)
親権者指定変更・面接交渉審判事件の要件事実的事実

17 長 秀之 (東京家庭裁判所判事)
遺産分割事件における客観的証明責任(試論)

第2節 民法以外の諸問題

18 河野玄逸=北川恵子 (弁護士)
最近の弁護士実務から見た善管注意義務規範の諸相

19 中里 真 (東北大学博士課程後期課程)
消費者契約法5条の要件事実論的検討

20 大江 忠 (弁護士・慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
会社の機関設計に関する要件事実

21 今出川幸寛 (弁護士・創価大学法科大学院教授)
会社法362条4項1号、2号の要件事実的考察

22 永石一郎 (弁護士・元一橋大学法科大学院特任教授)
保険金請求訴訟における偶発性・外来性に関する主張立証責任の所在

23 高橋宏志 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
手形変造と立証責任

24 難波孝一 (東京地方裁判所判事)
労働訴訟と要件事実 ―整理解雇の主張立証責任の所在についての一考察―

25 永井紀昭 (弁護士・元東京地方裁判所長)
特許権侵害訴訟の要件事実概要

26 牧野利秋 (弁護士・元東京高等裁判所判事)
商標の類否判断の要件事実

27 安見ゆかり (青山学院大学法学部准教授)
相殺の抗弁と弁論の分離 ―最高裁平成18年4月14日判決における法律構成の課題―

28 中西 正 (神戸大学大学院法学研究科教授)
既判力・執行力の主観的範囲の拡張についての覚え書き ―要件事実の視点による整理-

29 北 秀昭 (弁護士・筑波大学法科大学院教授)
破産者の不作為を対象とする否認権行使の本質とその機能の限界
―要件事実論的考察を踏まえて―

30 瀬戸口壯夫 (さいたま地方裁判所判事)
子の引渡しをめぐる人身保護請求事件の要件事実論的考察


第3章 基礎法学と実定法学との協働

31 河見 誠 (青山学院女子短期大学教授)
客観的実質的価値提示の可能性 -トマス形而上学が開く規範と価値の世界―

32 陶久利彦 (東北学院大学法学部教授)
「人間の尊厳」の根拠を求めて

33 松岡 誠 (創価大学法学部教授)
人間性と公共性に関する法哲学 ―人間の尊厳をめぐって-

34 菅富美枝 (法政大学経済学部准教授)
意思能力の判断と自律支援―英国成年後見法体制から見えるもの―

35 鎌野邦樹 (早稲田大学大学院法務研究科教授)
不動産取引・不動産登記と国民の法意識
―基礎法学と実定法学との協働に関する一つのささやかな試み―

36 小島信泰 (創価大学法学部教授)
     近世日本における領主の住職任免 ―「寺法」,「訴願」,「問答」に見る―


第4章 法曹養成の視点から見た要件事実・事実認定論・基礎法学

37 川崎直人 (弁護士・中央大学大学院法務研究科特任教授)
法曹養成の視点から見た法科大学院の教育について

38 田村伸子 (弁護士・創価大学法科大学院講師)
法科大学院における要件事実教育の現在と展望

39 河野信夫 (弁護士・白鴎大学大学院法務研究科教授)
    要件事実教育雑感

40 山田八千子 (中央大学大学院法務研究科教授・弁護士)
法曹養成と法哲学教育―企業家型法曹をめぐって―

41 高橋順一 (弁護士) 民事弁護教育と要件事実


第5章 特別寄稿 随想

42 田尾桃二 (元仙台高等裁判所長官)
伊藤滋夫さんの喜寿にあたって

43 高野耕一 (弁護士・元東京高等裁判所判事)
事実認定と死刑の量刑と―裁判員制度をにらんで―

44 武藤春光 (弁護士・元広島高等裁判所長官)
伊藤君の要件事実論事始の頃

45 山崎敏彦 (青山学院大学大学院法務研究科教授)
民法教育と要件事実教育の連携ということ


★伊藤滋夫先生略歴・主要著作目録