青林書院



人事労務管理とプライバシー・個人情報保護


人事労務管理とプライバシー・個人情報保護
 
01855,01821,01735
編・著者渡邊涼介 著
判 型A5判
ページ数324頁
税込価格4,620円(本体価格:4,200円)
発行年月2022年09月
ISBN978-4-417-01845-2
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■解説
雇用管理情報をどのように取り扱うべきか?
◆実務上の問題点と具体的対応策を詳解!
◆本書に沿った情報の取扱いをすることで,人事労務管理における法的リスク
 を下げることができる!
◆令和2年・3年改正個人情報保護法に対応!
◆関連判例・裁判例も豊富に紹介!
◆企業の人事労務管理担当者,企業から相談を受ける専門家に特に有用!
労働関係分野とプライバシー・個人情報保護分野の問題に精通した弁護士が,
双方に関わる問題点をわかりやすく解説


はしがき
 近年,人事労務管理における雇用管理情報の取扱いは,変化してきた。
例えば,デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入とともに,外国を含めた
企業グループ内における人材の経歴や所属,スキルなどを一元化して管理しようと
する動きが促進している。また,人事労務管理についても,AIを活用したシステム
の導入が進んできている。さらに,コロナ禍の影響によりテレワークの導入が進み
,今後も継続して利用される見込みであり,労働者の働き方も大きく変化してきて
いる。
 また,2020(令和2)年個人情報保護法改正が2022年4月1日に施行されており,
同改正には,外国にある第三者への提供における情報提供の強化,行動・関心等の
情報を分析する場合における利用目的の特定,安全管理措置における外的環境の把
握など,人事労務管理にも影響する内容が含まれている。
 その一方で,人事労務管理とプライバシー・個人情報の関係については整理を曖
昧にしたまま,雇用管理情報を取り扱っている企業が多い印象を受ける。このこと
は,2019年8月に報道された,就職情報サイトに関連し,内定辞退率の予測が提供
されていた問題でも顕在化した。
 この原因として,人事労務管理(労働法)とプライバシー・個人情報保護は,そ
れぞれの重要性に関わらず,別の法分野とされており,双方が重なる領域の特殊性
について十分な検討がされていないことがある。実務上では,大きな組織では,組
織内で人事労務管理を取り扱う部署とプライバシー・個人情報保護を担当する部署
が組織上別であることが多く,問題が生じやすい。また,これまでプライバシー保
護と個人情報保護の関係が曖昧にされてきたことや,「雇用管理分野における個人
情報保護に関するガイドライン」が廃止され,アップデートされていないことも一
因と考えられる。
 本書は上記の問題意識を踏まえ,主に,人事労務管理を取り扱う企業内の担当者
が,個人情報・プライバシー保護や,雇用管理情報をどのように取り扱うべきかと
いう観点から記載している。もちろん,担当者から相談を受けた専門家が検討する
際にも参考となる。さらに,個人情報・プライバシー保護の担当者が,人事労務管
理について確認する際の視点としても有益である。
 筆者の認識では,これまで,人事労務管理とプライバシー・個人情報保護の観点
に関する実務上の検討は限られており,本書は実務上の道標となる。加えると,本
書の特徴としては,‖仂櫃鮓朕余霾鵑妨造蕕此ぅ廛薀ぅ丱掘爾砲弔い討眄橘未ら
検討していること,個人情報・プライバシー保護一般に関する考え方を冒頭で示
していること,A輜澄じ柩儡浜,採用,退職に分けて説明をした後で,個別に注
意すべき取扱いとして,対象者,情報の種類,情報の取扱態様について説明してい
ること,と塾磧裁判例を基礎としており,本書を参考にして取り扱うことで,法
的リスクを下げられることが挙げられる。なお,データ利活用の観点から知見を深
めたい場合には,拙著の『データ利活用とプライバシー・個人情報保護 最新の実務
問題に対する解決事例108』(青林書院,2020年),『企業における個人情報・プラ
イバシー情報の利活用と管理』(青林書院,2018年)も参考にされたい。
 筆者個人の話となるが,筆者は,弁護士となってから約7年間は,主に,労働事
件(使用者側)や労働相談を中心とした業務に従事し,2年半の間,任期付き公務
員として,総務省で電気通信事業者のプライバシー・個人情報保護に取り組んだ後
,現在は,プライバシー・個人情報保護を中心とした法律相談と,労働関係の事件
対応・法律相談を中心とした実務を取り扱っている。このような経緯から,人事労
務管理と個人情報・プライバシー保護の関係については問題意識を常に抱えており
,本書の執筆を進める中で,長年の検討事項について,ようやく頭を整理できたと
いうのが実感である。なお,執筆内容は筆者の私見であり,所属していた組織との
関係はない。
 最後に,本書の内容について,有益なコメントをいただいた藤井奏子弁護士(光
和総合法律事務所)他の皆様に厚く御礼を申し上げる。コメントを生かせたかは,
筆者の力量によるものであり,内容についての責任はすべて筆者にある。本書を出
版することができたのは,青林書院の元編集部の森敦氏の献身的な尽力によるとこ
ろが大きく,また製作を引き継いだ編集部の長島晴美氏にも厚く御礼を申し上げる。

 令和4年7月
渡邊 涼介


渡邊 涼介:弁護士(光和総合法律事務所)

■書籍内容
第1章 プライバシー・個人情報保護の考え方
 第1節 個人情報保護法の考え方
  1 立法からこれまでの経緯
  2 2021(令和3)年改正全面施行後の民間部門の規律
  3 個人情報の種類
   ⑴個人情報/⑵個人データ/⑶保有個人データ/
   ⑷要配慮個人情報/⑸仮名加工情報,匿名加工情報,統計情報
  4 適用される場面
   ⑴取得(企業が個人又は第三者から個人情報を取得する場面)/
   ⑵利用(企業が個人情報,個人データを利用する場面)/
   ⑶管理(企業が保有している個人データを管理する場面)/
   ⑷第三者提供(企業が個人データを第三者に提供する場面)/
   ⑸本人対応(企業が本人からの請求に対応する場面)
  5 個人情報保護法「令和2年改正」,「令和3年改正」のポイント
   ⑴令和2年改正/
   ⑵令和3年改正
    ▼コラム OECD8原則
 第2節 プライバシー保護の考え方
  1 判例等
   ⑴「宴のあと」事件/⑵早稲田大学名簿提出事件/
   ⑶住基ネット事件
  2 プライバシー侵害が違法となる基準
  3 プライバシー保護の手法,概念
   ⑴プライバシー・バイ・デザイン/⑵プライバシー影響評価/
   ⑶プロファイリングの規制/⑷透明性の確保/
   ⑸最小限原則(データの最小化)
    ▼コラム プライバシーとは何か?
    ▼コラム 名刺記載の情報
 第3節 個人情報保護とプライバシー保護の関係
  1 共通点
  2 相違点
   ⑴対象となる情報の範囲/⑵効果(適用される法律)/
   ⑶所掌する官公庁
    ▼コラム なぜ判決では,個人情報保護法違反が認定されないのか
    ▼コラム JR東日本出所者検知事案
  3 ベネッセ大規模漏えい事案における個人情報保護法違反と
    プライバシー侵害
   ⑴はじめに/⑵概要/⑶個人情報保護法に基づく監督(行政処分)/
   ⑷損害賠償請求(民事裁判)
    ▼コラム ELSIの考え方による整理

第2章 人事労務管理とプライバシー・個人情報保護
 第1節 総  論
  1 考え方
   ⑴これまでの状況/⑵状況の変化
  2 雇用管理情報の取扱いに関する法規
   ⑴労働契約法/⑵労働基準法/⑶労働安全衛生法令/⑷労働組合法/
   ⑸職業安定法
  3 人事労務管理における個人情報保護
   ⑴個人情報保護法の適用関係/⑵定義/
   ⑶個人情報に関するガイドライン等
  4 人事労務管理におけるプライバシー情報の取扱い
   ⑴はじめに/⑵参考になる判例/⑶学説/⑷判断基準/
   ⑸使用者による労働者の情報の取扱いが認められている場面
    ▼コラム 使用者による労働者のプライバシー情報の積極的取扱い
   ⑹取扱態様ごとによる分類
  5 プライバシー保護に関する諸外国の取組み
   ⑴「職場における個人データの取扱い」29条作業部会意見書/
   ⑵「労働者データのプライバシーと保護のための10大原則」
     UNI Global Union
 第2節 雇用管理(総論・労働関係の展開)
  1 取  得
   ⑴はじめに/⑵利用目的の特定(個人情報17条)/
   ⑶利用目的の通知・公表(個人情報21条)/⑷同意の取得
    ▼コラム 同意における内容の理解
   ⑸不正取得の禁止(個人情報20条)/
   ⑹情報の取得について注意すべき事案
  2 利  用
   ⑴雇用管理情報の利用/⑵不適正利用の禁止(個人情報19条)/
   ⑶仮名加工情報(個人情報41条・42条)/
   ⑷情報の利用態様について,注意すべき事案
  3 管  理
   ⑴安全管理措置(個人情報23条)の概略/
   ⑵基本方針の策定(通則GL10−1)/
   ⑶個人データの取扱いに関する規律の整備(通則GL10−2)/
   ⑷組織的安全管理措置(通則GL10−3)/⑸従業者の監督/
   ⑹委託先の監督/⑺漏えい等の報告等/
   ⑻データ内容の正確性の確保,消去の努力義務/
   ⑼特定個人情報の保護/⑽管理について注意すべき事案
    ▼コラム リモートハラスメント
  4 第三者提供
   ⑴第三者への提供/⑵委託・共同利用(第三者に該当しない場合)/
   ⑶記録義務/⑷外国にある第三者への提供/
   ⑸個人関連情報の第三者提供/⑹企業間における雇用管理情報の提供/
   ⑺情報の第三者提供について注意すべき事案
  5 本人対応
   ⑴総論/⑵保有個人データに関する事項の公表等/
   ⑶保有個人データの開示/⑷訂正,追加,削除請求,利用停止等/
   ⑸苦情処理/⑹本人対応について注意すべき事案
 第3節 採用(労働関係の成立)
  1 総  論
   ⑴考え方/⑵職業安定法/⑶三菱樹脂事件大法廷判決/
   ⑷旧雇用管理事例集
  2 取  得
   ⑴利用目的の明示/⑵履歴書・面接による取得/
   ⑶ウェブスクレイピング,裏アカウントの把握/⑷健康診断等による取得
  3 利  用
  4 管  理
  5 第三者提供
  6 本人対応
 第4節 退職(労働関係の終了)
  1 退  職
   ⑴はじめに/⑵保有個人データの利用目的/⑶保存期間(管理)/
   ⑷第三者提供/⑸本人対応/⑹問題となる事例
  2 出向・転籍
 第5節 派遣労働者の情報の取扱い
  1 派遣法における派遣労働者の情報の取扱い
   ⑴個人情報保護に関する規定/⑵指針など/⑶安全管理措置について/
   ⑷個人データの派遣先への提供について
  2 派遣労働者の情報の取扱いについて注意すべき事案
   ⑴派遣元から派遣先への情報提供/⑵派遣先から派遣元への情報提供/
   ⑶派遣先での情報取得
 第6節 取り扱う情報の種類による対応
  1 思想・信条
   ⑴考え方/⑵採用時の取扱い/⑶任意での取得
  2 労働者の健康情報の取扱い
   ⑴法令上の義務/⑵通達,指針,ガイドラインなど/
   ⑶受診義務に関連して問題となる事例/
   ⑷労働者の健康情報の取扱いが問題となる事例
    ▼コラム 新型コロナウイルスのワクチン接種に関する情報の取扱い
  3 センサー情報の取扱い(IoT)
  4 労働者に対する懲戒処分の公表
   ⑴概要/⑵懲戒処分が違法な場合の裁判例/
   ⑶懲戒処分が適法な場合の裁判例/⑷まとめ
 第7節 情報の取扱態様による対応
  1 人事労務管理におけるAIの利用
   ⑴AIの概要/
   ⑵人事労務管理におけるAIの利用(プライバシー・個人情報保護の観点)/
   ⑶採  用/⑷人事評価・人事異動
  2 雇用管理情報の国境を越えた移転
   ⑴日本から外国への移転/⑵外国から日本への移転


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