青林書院



退職勧奨・希望退職募集・PIPの話法と書式


退職勧奨・希望退職募集・PIPの話法と書式
 
編・著者村田浩一 編著
判 型A5判
ページ数288頁
税込価格3,960円(本体価格:3,600円)
発行年月2022年06月
ISBN978-4-417-01837-7
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■解説
基本的知識から個別ケースの実務対応までを網羅。
●退職勧奨問題に関連する,解雇・懲戒・退職強要等の知識を解説!
●ケースごとの対処法や面談等の進め方,話法例,想定Q&Aを紹介!
●退職合意書やパターンごとの条項例・指導書等の書式を豊富に掲載!


はしがき
 企業から労働問題について相談を受けるようになり11年半になるが,問題のある
社員に退職してもらいたいという相談は多く,相談の2,3割にのぼる感触であり,
また,私が退職に関わった社員の数も,個別の問題社員対応から大規模な退職勧奨
面談,希望退職募集,整理雇止めまで合わせて数百人にのぼるのではないかと思っ
ている。その都度依頼者に,長期的には退職に向けたシナリオ,短期的にはその面
談のシナリオ,面談等の想定状況,想定Q&A,指導書や懲戒処分通知書,退職合意
書などの書式を提供してきた。また,弁護士である私がクライアント企業の社員に
退職勧奨の面談を行い,退職合意書の取り交わしまで行う機会も得た。このように
退職,退職勧奨についてそれなりのノウハウ,経験を得てきた。
他方で,私見としては,退職はポジティブなものだと思っている。過去や他人は変
えられず,もちろんミスマッチを生じない努力や,ミスマッチを解消する努力は必
要であるが,ミスマッチを解消できない場合には,生計を立てるという点を除けば
,雇用関係を続けることが労使双方のためにならないこともある。逆に転職等によ
り次のステージに進めば,転職先から期待や歓迎を受け,新たな知見,人脈を得ら
れ,活躍できる可能性がある。退職勧奨の対象者でも,TOEIC900点超えなど語学堪
能な者,名門大学卒の者,年収2000万円超の者など,現職ではミスマッチを生じて
いるが,転職すれば活躍するであろう者も見てきた。ある世界的な映画監督でさえ
前職を解雇されていたと聞いたことがある。現職でのミスマッチは,人格の否定で
も特に将来の能力の否定でもなく,単なるミスマッチである。
もっとも,メンタルヘルス不調者に退職勧奨を行って自殺に至ったといった話も何
件も聞いたことがあり,また,離職を機に喪失感などから自殺をする者もいると思
われ,メンタルヘルスや生計などに対する配慮も必要と考えている。労働者は実際
には転職しないとしても,転職できるだけの知識,経験を習得することが重要と考
えている。また,企業は,自社業務への貢献や,本業で充実感を得てもらうこと,
それにより望ましくないSNS投稿をさせないこと,さらにはミスマッチを生じたと
きに労働契約解消に応じてもらいやすくするためにも,労働者に対する教育を続け
ることが重要であると考えている。
 退職勧奨やPIP,話法に関する書籍はあまり多くなく,本書では,悩みを抱える
企業,経営者の参考になればと思い,また,自身のノウハウ,経験を整理すること
も考え,労働法を専門とする法律事務所で経験を積んだ執筆陣とともに,退職や退
職勧奨に関する考え方の解説,ケースごとの考え方,裁判例,話法,想定Q&A,書
式,落とし穴,コラムなどを示した。本書が問題社員対応に悩んでいる企業や経営
者,担当者,弁護士や社会保険労務士,税理士等の専門家にとって,紛争予防や紛
争解決の一助になれば幸いである。
最後に,本書の刊行にあたっては,青林書院編集部の留守秀彦氏に企画を快諾して
いただき,きめ細やかなご対応,ご指摘をいただき,大変にお世話になった。留守
氏や私を含めた執筆陣も転職によりますます活躍していると思っていることも本書
出版の動機の一つになっており,留守氏とこうしてまた新たに書籍を刊行できたこ
とを嬉しく思っている。ご縁とご尽力に感謝申し上げる。

令和4年5月
弁護士 村田浩一


編者
村田浩一(弁護士〔根本法律事務所〕)

執筆者(執筆順)
村田浩一(上掲)
渡辺雪彦(弁護士〔西村あさひ法律事務所〕)
鈴木芳信(弁護士〔熊隼人法律事務所〕)
福地拓己(弁護士〔岩田合同法律事務所〕)

■書籍内容
第1章 退職勧奨は交渉である
1 退職勧奨とは
2 退職勧奨のメリット
⑴ 解雇事由がなく,解雇手続を経ずとも退職に至る
⑵ 合意による解決であり,訴訟のコスト,敗訴リスクが小さくなる
⑶ 円満な解決であり,事後のトラブルのおそれも小さくなる
3 「筋目を補う金目,金目を補う忍耐」
⑴ 筋  目
⑵ 金  目
4 言いにくいことを言う
5 小さな違和感を見逃さない
6 本書の使い方

第2章 解雇・懲戒・退職勧奨に関わる基本知識
❶ 雇用契約の終了について
1 解  雇
2 辞  職
3 合意解約
⑴ 自己都合退職
⑵ 退職勧奨
⑶ 早期優遇退職
4 定年退職
5 私傷病休職期間満了による退職
❷ 指導,注意,警告,懲戒
1 指導,注意,警告
⑴ 指導,注意,警告の意義
⑵ 指導,注意,警告の方法
⑶ 注意等の時期
2 懲  戒
⑴ 意  義
⑵ 懲戒権の根拠
⑶ 懲戒の手段
⑷ 懲戒事由
⑸ 懲戒権の限界
⑹ 懲戒処分の諸原則
❸ 解  雇
1 解雇手続
⑴ 解雇予告期間・予告手当
⑵ 解雇予告義務の除外事由
⑶ 予告義務違反の解雇の効力
⑷ 短期労働契約への適用の有無
⑸ 解雇理由の証明書(労基22条2項)
2 解雇権濫用法理
⑴ 要件と主張立証責任
⑵ 解雇事由
3 解雇制限
⑴ 一定期間中の解雇禁止
⑵ 一定事由による解雇の禁止(法令による制限)
⑶ 労働協約・就業規則による解雇の制限
❹ 雇 止 め
1 雇 止 め
⑴ 雇止め法理
⑵ 労働契約法19条
2 無期転換
⑴ 無期転換申込権
⑵ 無期転換と労働条件
⑶ 無期転換回避を目的とした雇止め
3 不更新条項
⑴ 最初の契約締結時から更新限度条項が明示されていた場合
⑵ 合理的雇用継続期待が生じている状況下で使用者が更新限度に関する一方的措置をとった場合
⑶ 更新限度条項導入を労働者が拒否して不更新となった場合
⑷ 労働者が更新限度条項を受諾した場合
❺ 自動退職(定年,休職期間満了,行方不明)
1 定  年
⑴ 定年の定め
⑵ 65歳までの高年齢者雇用確保措置
⑶ 65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置
2 休職期間満了
⑴ 傷病休職
⑵ 休職期間満了時の問題
3 行方不明
❻ 合意退職
1 合意退職とは
2 辞職と合意退職
3 退職の意思表示の撤回
4 退職の意思表示の取消し・無効
❼ 退職強要の禁止
1 退職強要
⑴ 名誉毀損的・人格攻撃的な言動はしない
⑵ 長時間,多人数,拒絶後の繰り返しは避ける
2 退職強要による損害賠償額
❽ P I P
1 PIPとは
2 PIPと解雇
3 PIPの制度設計
⑴ PIPの期間
⑵ 課題・目標の設定
⑶ PIPの面談
4 裁 判 例
⑴ 東京高判平25・4・24労判1074号75頁〔ブルームバーグ・エル・ピー事件〕
⑵ 東京地判平30・9・27労経速2367号30頁〔アクセンチュア事件〕
⑶ 東京地判平28・3・28労判1142号40頁〔日本アイ・ビー・エム事件(解雇・第1)事件〕
❾ 希望退職募集
1 意  義
2 希望退職の制度設計・運用
⑴ 募集人数・適用対象者
⑵ 退職条件
⑶ 募集期間
⑷ 応募手続
⑸ 適用条件
3 労働組合との協議
4 ハローワークへの届出
❿ 早期退職制度
⓫ 離職理由の考え方
1 離職手続
2 基本手当
3 離職理由の認定
4 退職勧奨の場合の離職理由
5 助成金との関係
6 退職金との関係
⓬ 退職に関わる税務
1 退職金と所得税法
2 退職所得の金額
3 退職所得の源泉徴収額
4 退職金の上乗せ部分の源泉徴収
5 和解金と税務
6 所得区分の相違による差異

第3章 退職を勧めるアプローチ
❶ 退職勧奨の一般的な方法
1 一般的な方法
⑴ 面談担当者は2名とし,多くても3名とする
⑵ 面談に先立ち,情報収集を行う
⑶ 面談は就業時間中に社内の会議室等で行い,面談後は帰宅させる
⑷ 面談はコミュニケーションである
⑸ 被面談者に敬意や礼節をもつ
⑹ 無理に面談を続けないこと
2 話  法
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
5 リスクの想定
⑴ 弁護士や労働基準監督署,労働組合に相談する
⑵ やり取りが録音されSNSに投稿される
⑶ マスメディアから問い合わせを受ける
⑷ 情報提供者を詮索される
⑸ 被面談者が泣き出す,自殺等に至る
⑹ 退職合意に至らず企業に残ることになった場合
❷ 金銭,条件の提示
1 金銭,条件の提示を行うことが一般的
⑴ 話  法
⑵ 反論に対する対応例
2 離職理由について
⑴ 話  法
⑵ 反論に対する対応例
3 年次有給休暇の買い取り
⑴ 話  法
⑵ 反論に対する対応例
4 降格,有期労働契約の提示
5 あっせんの活用
❸ 心身の不調等による労務提供不能
1 考 え 方
2 話 法 例
⑴ 業務への影響の指摘
⑵ 退職勧奨
⑶ 条件交渉
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
❹ 勤怠不良
1 考 え 方
2 話 法 例
⑴ 過去の問題事例の振り返り
⑵ 業務上の影響の指摘
⑶ 退職勧奨
⑷ 条件交渉
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
❺ 能力不足(勤務成績不良)
1 考 え 方
⑴ 即戦力の中途採用者に対する能力不足(勤務成績不良)解雇
⑵ 新卒正社員に対する能力不足(勤務成績不良)解雇
2 話法例(即戦力の中途採用者を対象とするの場合の例)
⑴ 過去の問題事例の振り返り
⑵ 業務上の影響の指摘
⑶ 退職勧奨
⑷ 条件交渉
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
❻ PIPの目標不達成
1 考 え 方
2 面談時の話法例
⑴ これまでの評価振り返り面談
⑵ 改善計画作成面談
⑶ 進捗状況確認面談
⑷ 結果通知面談
3 問題となる話し方・対応
4 対 応 例
❼ 協調性不足
1 考 え 方
2 話 法 例
⑴ 過去の問題事例の振り返り
⑵ 業務上の影響の指摘
⑶ 退職勧奨
⑷ 条件交渉
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
❽ 経歴詐称
1 考 え 方
⑴ 経歴詐称に対する対応
⑵ 懲戒処分の対象となる経歴詐称
⑶ 職歴の詐称の事案における解雇の可否
2 職歴詐称事案における判断のポイント
3 話 法 例
⑴ 経歴を詐称した事実の確認
⑵ 経歴の詐称による業務への支障についての説明
⑶ 信頼関係が傷ついていることの説明
⑷ 退職勧奨
4 問題となる話し方
5 反論に対する対応例
❾ 職場規律違反(セクハラの疑いのある労働者)
1 考 え 方
2 話 法 例
⑴ 事実関係の確認(事実関係に争いがない場合)
⑵ 事実認定の説明(事実関係に争いがある場合)
⑶ 業務上の影響の指摘
⑷ 退職勧奨
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
❿ 業務命令違反(配転命令を拒否する労働者)
1 考 え 方
⑴ 業務命令違反を理由とする解雇の基本的な考え方
⑵ 配転命令の違反の場合の対応
⑶ 勤務地等の限定
⑷ 配転命令権の濫用の判断構造
⑸ 配慮すべき「労働者の被る不利益」の内容
2 話 法 例
⑴ 配転を行う必要性の説明
⑵ 配転に応じられない理由の確認と,当該理由が配転を拒否する理由に
  該当しないことの説明
⑶ 退職勧奨
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
⓫ 私生活上の非行
1 考 え 方
⑴ 私生活上の非行における懲戒処分の可否
⑵ 私生活上の非行に関する裁判例
2 社員が逮捕・勾留された場合の対応
3 話 法 例
⑴ 非行内容等の確認
⑵ 業務上の影響の指摘
⑶ 退職勧奨
4 問題となる話し方
5 反論に対する対応例
⓬ 経営上の必要性(希望退職の募集)
1 考 え 方
⑴ 希望退職の募集
⑵ 希望退職の募集要項
⑶ 個別面談
2 初回面談時の話法例
⑴ 事業継続に必要な人材(退職条件の適用を承認しない人材)の場合
⑵ 応募してほしい人材(退職条件の適用を会社が承認する人材)の場合
3 問題となる話し方
4 質問・反論に対する対応例
⑴ 希望退職の募集制度や募集要項の条件等に関する質問への対応例
⑵ 今後の会社の状況や労働者の処遇に関する質問への対応例
⑶ 労働者の個人的事情に関する質問への対応例
⑷ 役員,面談担当者,他の労働者に関する質問への対応例
⑸ 反論や対抗的言動への対応例
⑹ その他の質問への対応例
5 ハローワークへの届出
⑴ 再就職援助計画
⑵ 大量離職届(旧大量雇用変動届)
⓭ 有期契約社員の場合
1 考 え 方
⑴ 本事例
⑵ 本事例
⑶ 本事例
2 話 法 例
⑴ 問題点の確認,指摘
⑵ 退職勧奨・条件交渉
3 問題となる話し方
4 反論に対する対応例
⓮ 内定・内々定取消し(SNS上の不適切投稿)
1 内定取消しについて
⑴ 内定の法的性質と内定取消しの適法性
⑵ 採用内定取消しの留意点
2 内々定取消しについて
3 話 法 例
⑴ 採用内定通知と併せて通知した内定取消し事由及び誓約事項の確認
⑵ 内定取消しの理由となる事実等の確認
4 問題となる話し方
5 反論に対する対応例
⓯ 試用不適格(ミスマッチ等)
1 考 え 方
⑴ 試用期間の性質及び本採用拒否の可否
⑵ 試用期間途中での解雇の可否
⑶ 試用期間の延長について
2 話 法 例
⑴ 問題点,注意指導等の状況の確認
⑵ ミスマッチが生じていることの指摘
⑶ 退職勧奨
⑷ 試用期間の延長
3 反論に対する対応例

●第4章 書  式
【1】退 職 届
【2】受理通知書
【2-2】受理通知書(口頭,電話では退職すると言われたが退職届が提出され
         ない場合)
【3】退職合意書
【3-1】退職理由
【3-1-1】会社都合退職の場合
【3-1-2】「勧奨により」とする例
【3-1-3】退職日までの早期退職を認める場合
【3-2】未払い給与,未払い退職金
【3-3】解 決 金
【3-4】再就職支援サービス
【3-5】年次有給休暇の買取り
【3-6】誓約書の遵守
【3-7】貸与品の返還
【3-8】誹謗中傷の禁止
【3-8-1】9項に関し,既に書き込みが行われており,その削除を求める場合
【3-9】守秘条項
【3-9-1】甲が親会社,乙が本件を相談し,乙のために協力した者に対して
     報告することを認める場合
【3-9-2】本件が終了したことのみ開示を認める場合
【3-10】接触禁止条項を定める場合
【3-11】清算条項
【3-11-1】役員,従業員に対する請求を禁止する場合
【4】労働組合との間の合意書
【4-1】解 決 金
【4-2】守秘条項
【4-2-1】労働組合内部での報告,共有
【4-2-2】本件が終了したことのみ開示を認める場合
【5】退職証明書(解雇理由の証明書につき第2章3の1⑸も参照)
【6】雇止め通知書
【7】雇止め理由書
【8】解雇通知書(勤怠不良,勤務成績不良)
【9】解雇通知書(整理解雇)
【10】解雇予告通知書
【11】解雇予告除外認定申請書
【12】債務承認及び債務弁済契約書
Column
医師の関与の仕方
病歴の不告知
黒字リストラ
リファレンスチェック
内定者のSNSトラブル
試用期間の長さ
事項索引
判例索引

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