青林書院



詳解 LGBT企業法務


詳解 LGBT企業法務
 
編・著者第一東京弁護士会司法研究委員会LGBT研究部会 編
判 型A5判
ページ数252頁
税込価格3,630円(本体価格:3,300円)
発行年月2021年06月
ISBN978-4-417-01812-4
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■解説
企業が直面するLGBT対応の問題を法務の専門研究部会が徹底解説!
●LGBTの基礎知識から,企業対応の具体的問題・ビジネスにおける問
 題・就業規則による対応・事例検討まで,実践的かつ充実のコンテン
 ツ!
●令和新時代の企業法務,ビジネスにとって不可欠となる貴重な1冊!


刊行のごあいさつ
 第一東京弁護士会では,昭和43年に「司法研究基金」の制度を創設し,会員
が弁護士の身近な業務や弁護士制度の改善進歩に寄与する問題について調査研
究し,今日までにその研究成果のいくつかを叢書として世に送り出しています
。当会司法研究委員会内に設置されたLGBT研究部会は,企業法務の現場におけ
るLGBTの諸問題について研究を重ね,2020年3月に,当会会員向け小冊子「企業
法務としてのLGBT」を発行し,この度,この小冊子を改訂した上,一般読者に
向けて書籍化することとなりました。LGBTを取り巻く問題は,年々,社会にお
ける重要度を増しており,例をあげれば,経団連は「ダイバーシティ・インク
ルージョン社会に向けて」(2017年5月16日)を提言し,連合も「LGBTに関する
職場の意識調査」(2016年8月25日)を公表して,企業・労働組合が対応すべき
労働問題として位置付けています。本書はその労働問題を中心に,実務の現場
において生じている様々な課題を取り上げ,考え方を示すものです。
 本書では,まず,入門編としてLGBTについての基礎知識を確認し,それを土
台として各論編として企業法務において生じうるLGBTに関する法律問題を検討し
ています。さらに,ビジネスの現場におけるLGBTの問題,就業規則対応,事例研
究を取り上げ,実務と理論を横断的に俯瞰できる構成となっており,幅広い読者
にご利用しやすい内容となっています。本書が企業法務に携わる方に広く活用さ
れることを祈念致します。
 令和3年5月
 第一東京弁護士会
 会長 三原秀哲


『詳解 LGBT企業法務』の発刊について
 企業法務に携わる方の中には,LGBTという言葉こそ聞いたことがあっても法
律問題のテーマとして捉えたことがない方々も少なくないと思います。そこで,
まず,性の多様性の問題の根底には,人がありのままで尊重されるべきことや,
自らの人生を自らで決定する自己決定権が存在することを理解していただき,
その上で,この考えが,既定の規律と一定の慣行に基づき形成された労働環境
の中で今まで明示的に意識されなかった問題を提起していることを知っていた
だきたいと考えております。
近年,LGBTに関係する裁判例が出てきていますが,裁判例はあくまで個別事例
に対するものであり,必ずしもすべてのケースに当てはまる基準とはなり得ま
せん。
 本書は,企業が個別具体的な問題に直面した場合にどのように対応すべきか,
その指針を示しております。LGBTと企業法務について検討をしたことがない方
も,そうではなくある程度対応の経験がある方にとっても十分お役に立つもの
と考えております。本書が,多くの皆様にご活用いただけましたならば,それ
は当委員会の大いなる喜びであります。
 令和3年5月
 第一東京弁護士会司法研究委員会
 委員長 多賀亮介


刊行にあたって
 LGBTという言葉はこの数年で社会に浸透し,判例も少しずつ蓄積されLGBTを
取り巻く法律問題についても関連書籍が多数刊行されています。
 ところが,企業法務という視点でいえば,啓発活動や福利厚生の充実以外に
も,まだ尽くされていない論点が様々に存在しています。2017年に第一東京弁
護士会がLGBT研究部会を発足させた趣旨は,まさにここにあります。企業から
の相談依頼に接することの多い当会の弁護士が,LGBT企業法務に関する理解を
深めています。
 2020年3月,本部会は企業の労働問題の相談を受ける弁護士が,LGBTに関する
理解を深め,企業側の相談の要所を摑むための小冊子を編纂し,第一東京弁護士
会の全弁護士に配布いたしました。そうしたところ,読者の弁護士より,この小
冊子は弁護士に限らず企業法務に携わる方々にとっても有益なものというお言葉
をいただきました。本書の刊行にあたっては,さらに最新の情報と労働問題以外
のビジネスにおける法律問題や事例研究等を盛り込み,最新の知見を解説したも
のと自負しております。多くの皆様の手に取っていただき,企業法務実務の一助
としてお役立て頂けましたら,この上ない喜びです。
 最後になりましたが,本書の企画・編集における青林書院編集顧問の宮根茂樹
氏の丁寧なサポートのおかげで本書刊行の運びとなりました。同氏に厚く御礼を
申し上げます。
 令和3年5月
 第一東京弁護士会司法研究委員会LGBT研究部会
 部会長 安倍嘉一


編集者・執筆者一覧
■編集者・執筆者
安倍 嘉一:森・濱田松本法律事務所
石橋 達成:東京経済綜合法律事務所
立石 結夏:新八重洲法律事務所
宮崎  綾:阿部・井窪・片山法律事務所
森川 紀代:森川法律事務所

■執 筆 者
安藤 尚徳:東京フィールド法律事務所
宇野 康枝:宇野康枝法律事務所
岡 紳吾:岡法律事務所
河本みま乃:番町総合法律事務所
白木 麗弥:ハミングバード法律事務所
竹村 将志:中村法律事務所
伊達有希子:新千代田法律事務所
三輪 記子:三輪記子の法律事務所
吉村 佳代:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社







■書籍内容
第1部 総   論
第1章 LGBTに関する企業法務対応の必要性
第2章 各界の取り組み
[1]経済界によるLGBTに対する取り組み
[2]労働組合によるLGBTに対する取り組み
[3]国際的に見たLGBTに対する取り組み
第3章 企業法務としてLGBT問題に対応することの意義
第4章 本書の構成

第2部 入 門 編
第1章 ‌LGBTに関する基本的概念,Q&A
[1]は じ め に
[2]LGBTに関する基本的概念
⑴ L G B T
⑵ 生物学的性,性自認,性的指向,性表現
⑶ レズビアン,ゲイ,バイセクシュアル,トランスジェンダー(MtF,FtM)

⑷ SOGI(ソジ)
⑸ 性同一性障害
⑹ カミングアウト,クローゼット,アウティング
⑺ ア ラ イ
[3]LGBTに関するQ&A
第2章 LGBTに関連する法制度等
[1]国内における法制度等の概観
[2]国内法・国内の行政の取り組み等
⑴ 性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律
⑵ その他立法の動き等
⑶ 行政の取り組み
⒜ 法務省人権擁護審議会「人権救済制度の在り方について」(2001年)
⒝ 法務省「人権週間強調事項」  ⒞ 内閣府「第3次男女共同参画基本計画」(2010年)
⒟ 文部科学省通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」(2015年)
⒠ 「人事院規則10-10の運用について」の改正(2016年)
⒡ 「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」
(男女雇用機会均等法11条(職場におけるセクシュアルハラスメント対策)の指針)の改正(2016年)
⒢ 閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針2016」(2016年)
[3]地方自治体の取り組み
⑴ は じ め に
⑵ 性的指向,性自認,性表現を理由とした差別の解消を目的とした条例
の策定
⑶ 自治体としてLGBTへの配慮や支援を行うための計画・指針・宣言等

⑷ パートナーシップ制度
⒜ パートナーシップ制度とは ⒝ 具体例1―東京都渋谷区「渋谷区パートナーシップ証明書」
⒞ 具体例2―東京都世田谷区「同性パートナーシップ宣誓」
⒟ その他の自治体のパートナーシップ制度
⑸ その他の取り組み
[4]諸外国の動向
⑴ 差別禁止法
⑵ 同 性 婚
⑶ トランスジェンダー
⑷ 国際人権法の動き

第3部 各 論 編
第1章 採   用
[1]採用の自由
⑴ 採用の自由とその制限
【事例1】性自認・性的指向を理由とする不採用の可否 
⑵ 募集方法の自由とその限界(履歴書の性別記載欄)
【事例2】エントリーシート・履歴書の性別欄の記載に関する問題 
⑶ 調査の自由とその限界
【事例3】性自認・性的指向についての面接での質問の可否 
⑷ 応募者のプライバシー情報の共有の可否
【事例4】性自認に関する情報の共有の可否 
[2]労働条件(男女別制服等労働者の服装)の制約について
【事例5】性自認に従った制服着用の求めへの対応 
[3]採 用 内 定
⑴ 内定取消しの許否基準
⑵ 内定取消しと性自認等の不告知
⑶ 経歴詐称と採用取消し
【事例6】トランスジェンダーであることを理由とする内定取消しの可否 
第2章 人事異動―配転命令
[1]配転命令権と範囲・限界
[2]判例法理の説明
⑴ 業務上の必要性
⑵ 不当な動機・目的
⑶ 通常甘受すべき程度を著しく超える不利益
⑷ そ の 他
[3]事例による検討
【事例1】社内に起因する配置転換 
【事例2】社外に起因する配置転換 
【事例3】転勤先の個別事情 
外国人パートナーの在留資格
第3章 懲戒・服務規律
[1]懲 戒 処 分
⑴ 懲戒処分に対する法律上の規制
⑵ 名前と制服に関する問題
【事例1】名前及び制服の変更 
⑶ 経歴詐称に関する問題
【事例2】戸籍上の性別の不申告を理由とする懲戒の可否 
[2]解   雇
⑴ 解雇に対する法律上の規制(解雇権濫用法理)
⑵ LGBTを理由とした解雇の可否
【事例3】他の従業員からの苦情 
⑶ 自認する性別による就労と懲戒解雇
【事例4】女性の容姿での就労と懲戒解雇 
第4章 人格権・プライバシー
[1]LGBT当事者におけるプライバシー保護の必要性
[2]SOGIハラ
⑴ SOGIハラをめぐる法令
【事例1】SOGIハラに対する法律上の規制 
⑵ SOGIハラの例
⒜ LGBT当事者を直接揶揄する言動 
⒝ 不利益な取扱い 
【事例2】LGBT当事者であることを理由に行われる不利益な取扱い 
⒞ プライバシー侵害 
【事例3】LGBT当事者のプライバシーに踏み込んだ発言 
⒟ カミングアウトしていない者への配慮 
【事例4】カミングアウトしていない者に対する言動⑴ 
【事例5】カミングアウトしていない者に対する言動⑵ 
[3]アウティング
⑴ アウティングの内容
【事例6】同性愛者であることの吹聴 
⑵ アウティングの問題点
【事例7】アウティング発生時の対応 
⑶ 企業内でアウティングが起きた場合の対応
【事例8】善意によるアウティング 
【事例9】当事者を特定しない公表 
⑷ カミングアウトを選択しうる職場づくり
[4]会社の義務
⑴ 使用者の民事上の責任
【事例10】精神疾患に対する会社の義務 
⑵ ハラスメントによる労災認定
[5]社外におけるSOGIハラ
【事例11】トランスジェンダーであることを理由とする顧客クレーム 
【事例12】企業外の第三者によるアウティング 
社内でのカミングアウト
第5章 職場における環境調整
[1]職場における環境調整とは
[2]参考となる裁判例
⑴ 髪型や服装に関する規程の限界
⑵ S社事件
⑶ 経産省事件
[3]事例における検討
【事例1】服装変更の申出への対応 
【事例2】トイレ・更衣室使用変更の申出への対応 
【事例3】社員寮変更の申出への対応 
【事例4】健康診断の性別区分変更の申出への対応 
第6章 育児・介護休業法
[1]育児休業・育児短時間勤務
⑴ 育児・介護休業法の規定
⑵ 就業規則・育児休業規程
【事例1】同性パートナーの出産に伴う育児休業の申出への対応 
⑶ 育児短時間勤務
⑷ パートナー関係の確認資料
⑸ 企業の取り組み
[2]介 護 休 業
⑴ 育児・介護休業法の規定
⑵ 育児・介護休業法上の義務
【事例2】同性パートナーを介護するための介護休暇取得申請への対応 
⑶ 就業規則・介護休業規程
⑷ パートナー関係の確認資料
⑸ 企業の取り組み
第7章 福 利 厚 生
[1]福利厚生制度
[2]慶弔見舞金制度
⑴ 慶弔見舞金の支給
【事例1】同性パートナーと結婚したとして結婚祝金の支給申請があったとき 
⑵ 就業規則等の例
[3]社 宅 制 度
【事例2】同性パートナーと一緒に社宅へ入居したいとの申出があったとき 
[4]福利厚生に関する企業の取り組み

第4部 ビジネスにおけるLGBT
第1章 は じ め に
第2章 LGBT当事者がいる社会―取引先や顧客との関係
[1]LGBT当事者に不寛容な取引先への対応方法
⑴ 取引先と従業員の双方へのアプローチ
⑵ 問題の波及効果
⑶ 取引先への対応事例
⒜ 米国企業の例  ⒝ 企業評価への影響
[2]顧客としてのLGBT
⑴ すべての企業の顧客にLGBTがいること
⒜ 自社の商品・サービスを見直してみる  ⒝ トランスジェンダーの顧客対応
⒞ 顧客対応の準備
⑵ LGBT向けに特化した商品開発
⒜ LGBT向け商品の広がり  ⒝ LGBT向け商品・サービス企画上の注意
[3]マスコミュニケーションとLGBT
⑴ 広告やコンテンツは理解度の物差しである
⑵ 企業広告とLGBT
⑶ コンテンツに現れるLGBT
⒜ 他を牽引してきたコンテンツ産業  ⒝ 差別的な表現に対する抗議
⒞ LGBTに触れないことが正解なのか  
⒟ 制作上の注意点
LGBTとテレビ

第5部 就業規則編
第1章 総   論
第2章 規 定 例 篇
[1]対外的規定―企業倫理憲章,採用規程(リクルートポリシー)等
⑴ 企業倫理憲章・ポリシー等
⑵ 採用規程等
[2]就 業 規 則
⑴ は じ め に
⑵ 差別的取扱いの禁止
⑶ 懲戒・服務規律
⒜ 差別的取扱いの禁止  ⒝ ハラスメントの禁止  
⒞ アウティングの禁止
⑷ 賃金規程・福利厚生
⑸ 休業・休職・休暇
⒜ 積立休暇・復活有休等  ⒝ 治療を理由とする休職等
⑹ 安 全 衛 生
[3]その他の取扱い
⑴ 戸籍上の性別・ビジネスネーム(職務上氏名)の取扱い
⑵ パートナー登録制度
⑶ 個人情報保護・情報管理
⑷ ダイバーシティ・ポリシーの策定

第6部 事 例 検 討
第1章 経産省事件
[1]事案の概要
⑴ 訴訟に至る経緯
⑵ 原告の略歴等
⑶ 女性用トイレの使用を巡る経産省とのやり取り
⑷ 本件各措置要求と本件判定
[2]判決の要旨
⑴ 争  点
⑵ 経産省による原告に対する各処遇又は経産省の職員らによる原告に
対する各発言等が同項に規定する違法なものとして認められるかどう
か(争点 砲砲弔い
⒜ 本件トイレに係る処遇について ⒝ 経産省の職員の発言について 
⒞ 原告の損害の有無及びその額(争点◆砲砲弔い
⒟ 本件判定が違法なものであるかどうか(争点ぁ砲砲弔い
[3]本判決の意義
第2章 Bostock v. Clayton County事件
[1]事案の概要
⑴ Bostock v. Clayton County事件
⑵ Altitude Express, Inc., et al v. Zarda et al事件
⑶ Harris Funeral Homes, Inc., v. EEOC事件
[2]公民権法第7編の紹介と本件の論点
⑴ 公民権法第7編の紹介
⑵ 本件の論点
[3]最高裁判所の判断
⑴ 結論の明瞭性
⑵ 文言主義の宣言―法解釈の方法
⒜ 各文言の解釈(196)  ⒝ 得られる結論
⑶ リーディング・ケースによる支持
⒜ Phillips v. Martin Marietta Corp.事件
⒝ Los Angeles Dept. of Water and Power v. Manhart事件
⒞ Oncale v. Sundowner Offshore Services, Inc.事件
⑷ 反対意見等への応答
⑸ 反対意見(アリート裁判官〔トーマス裁判官が同調〕,カヴァノー裁判官)

[4]検   討
⑴ 直接の影響
⑵ 本件判決のロジック
⑶ わが国における企業法務への示唆
⑷ 残された問題と展開
⑸ バイデン大統領の誕生と大統領令

巻末資料 企業における取組事例
[1]は じ め に
[2]企業がLGBTに取り組む意義(本事例集19頁〜26頁)
⑴ 多様な人材が活躍できる職場環境の調整
⑵ 性的マイノリティの当事者が働きやすい職場づくり
⑶ 人権尊重やコンプライアンス対応の観点
⑷ 事業やサービスの展開の契機
[3]具体的な取組内容(本事例集27頁〜42頁)
⑴ 方針の策定・周知や推進体制づくり
⒜ 企業の姿勢・方針を明確にして周知した事例  ⒝ LGBT当事者から意見聴取をした事例
⑵ 研修・周知啓発などによる理解の増進
⑶ 相談体制の整備
⑷ 採用・雇用管理における取り組み
⒜ 採用時における配慮事例
⒝ 配置・昇進・昇格等における配慮事例,ハラスメントやアウティングの防止事例
⑸ 福利厚生における取り組み
⑹ トランスジェンダーの社員が働きやすい職場環境の整備
⑺ 職場における支援ネットワークづくり

 事項索引

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