
秘密保持・競業避止・引抜きの法律相談〔改訂版〕
- 編・著者髙谷 知佐子・上村 哲史 著
- 判型A5
- ページ数392頁
- 税込価格5,060円(本体価格:4,600円)
- 発行年月2019年08月
- ISBN978-4-417-01770-7
- 在庫
品切れ
■解説
●従業員による情報の漏洩や不正利用のリスクから会社を守るために!
●不競法等ガイドライン改訂対応!
●新たな問題に対応するための設問を追加,問題解決に向けての具体策をさらに充実し
て解説!
はしがき
「秘密保持・競業避止・引抜きの法律相談」の初版を刊行してから約4 年が
経過しました。
その間,お陰様で何度か本書を増刷する機会をいただきましたが,不正競争
防止法などの関係する法令の改正やガイドラインの改訂があり,また,いくつ
か追加すべき裁判例も出てきましたので,内容を修正する必要が生じました。
さらに,初版の刊行後に,筆者らがQ&Aの内容を見直す中で,新たに追加し
たい事項や内容を整理し直したい事項も出てきました。
そこで,今回,筆者らにおいて,既存のQ&Aの内容を修正するとともに,
新規のQ&Aを追加したり,Q&Aの順番を入れ替えたりするなどのリニュー
アル作業を行い,改訂版として刊行することとなりました。
今回の改訂によっても,秘密保持(営業秘密),競業避止,引抜きをめぐるす
べての問題を完全にカバーできているわけではありませんので,今後も改訂の
機会があれば,更なる内容の拡充を図って参りたいと存じます。
最後に,本書改訂版の刊行に向けて,ご尽力いただきました青林書院の長島
晴美氏をはじめとする同社編集部の方々に,改めて御礼を申し上げます。
令和元年7月
髙谷知佐子
上村 哲史
執筆者
髙谷知佐子:弁護士(森・濱田松本法律事務所パートナー)
上村 哲史:弁護士(森・濱田松本法律事務所パートナー)
■書籍内容
第1章 秘密保持義務・営業秘密
第1節 秘密保持義務・営業秘密の意義
Q1 秘密保持義務
秘密保持義務とは,どのような義務でしょうか。
Q2 不正競争防止法上の「営業秘密」
不正競争防止法で保護される「営業秘密」とは,どのようなものでしょうか。
Q3 秘密管理性とそのポイント
不正競争防止法2 条6 項の「秘密として管理されている」と認められるのはどのよ
うな場合ですか。秘密管理のポイントを教えてください。
Q4 有用性・公知性
不正競争防止法2 条6 項の「事業活動に有用な技術情報又は営業上の情報」とは,
どのような情報でしょうか。また,不正競争防止法2 条6 項の「公然と知られてい
ない」とは,どのような状態なのでしょうか。
Q5 不正競争防止法上の「限定提供データ」
「限定提供データ」とは,どのようなものでしょうか。
第2節 秘密保持義務・営業秘密の保護
Q6 契約上の保護と不正競争防止法上の保護の違い
企業秘密が契約(秘密保持契約)で保護される場合と不正競争防止法で保護される
場合とでは,何が違うのでしょうか。
Q7 営業秘密侵害の類型(民事)
不正競争防止法上,どのような行為が営業秘密侵害として民事上の責任を問われる
のでしょうか。
Q8 営業秘密侵害罪の類型(刑事)
営業秘密侵害行為は刑事罰の対象となる場合があると聞きましたが,どのようなこ
とをすると刑事罰に問われるのですか。また,刑事罰の内容も教えてください。
Q9 限定提供データ侵害の類型
不正競争防止法上,どのような行為が限定提供データ侵害として責任を問われるの
でしょうか。
Q10 営業秘密に関する近時の法改正
近時,営業秘密の処罰対象の拡大や厳罰等を強化する不正競争防止法の改正がなさ
れたと聞きましたが,営業秘密に関するこれまでの法改正とあわせてその内容を教
えてください。
第3節 在職中の秘密保持義務
Q11 労働者と秘密保持義務
会社の就業規則には,労働者の秘密保持義務について定めがありません。この場合
にも労働者は秘密保持義務を負っているといえますか。
Q12 秘密保持義務違反とならないケース①(権利救済)
当社の従業員Aが,当社に対し,上司から差別やいじめを受けたとして慰謝料の支
払を請求してきました。
Aは,当社に対し,当社の在職中及び退職後も,当社の承諾なく,当社の人事情報
や顧客情報その他の機密情報を第三者に開示しない旨の誓約書を提出しています。
ところが,Aは,上記の差別やいじめについて弁護士に相談した際,同弁護士に対
し,その裏づけ資料として当社の機密情報である顧客情報や社内の人事情報などが
記載された書類を開示し,交付していることが判明しました。
Aが当社の承諾なく,これらの書類を弁護士に開示し,交付したことは秘密保持義
務違反にならないのでしょうか。
Q13 秘密保持義務違反とならないケース②(内部告発)
当社が経営するレストランで外国産の牛肉を国内産ブランド牛の牛肉と偽って表示
して提供していることがわかりました。私が会社から貸与されているノートパソコ
ンのなかに上司からレストランの担当者宛てに上記の偽装を示唆する電子メールが
ありますので,間違いないと思います。私は,上司に対して,このような偽装を止
めるようにいいましたが,取り合ってもらえませんでした。
そこで,私は,上記の偽装を裏づける電子メールをもって消費者庁に上記の偽装の
事実について内部告発したいと考えています。
ただ,私が当社に入社する際に提出した秘密保持誓約書には,会社の事業に関する
情報や会社から貸与されたパソコンに記録されている情報は第三者に開示してはな
らない旨が明記されています。
この場合,私が消費者庁の担当官に上記の偽装やそれを裏づける電子メールを開示
すると,秘密保持義務違反を問われるのでしょうか。
Q14 秘密保持義務違反と懲戒処分①
従業員が秘密保持義務に違反した場合,会社は当該従業員を懲戒処分の対象とする
ことができますか。
Q15 秘密保持義務違反と懲戒処分②(出向先の非違行為を理由とした懲戒)
当社から出向している社員が出向先において秘密保持義務に違反する行為を行いま
した。出向先は,当該出向社員に対して懲戒処分を行うことはできますか。
また,出向元である当社が,当該出向社員に対し,出向先における秘密保持義務に
違反する行為を理由に懲戒処分を行うことはできますか。
Q16 秘密保持義務違反のペナルティ(違約金・退職金の減額)
労働者に秘密保持義務を遵守させるため,秘密保持誓約書に秘密保持義務違反をし
た場合には一定額の違約金を支払う旨を規定したいと思います。そのような契約は
有効ですか。
また,労働者が秘密保持義務に違反した場合には,退職金を一般の自己都合による
退職の場合の半額に減額する(既払いの場合には退職金の半額を返還する)旨を規
定した場合はどうでしょうか。
Q17 派遣労働者と秘密保持義務①(派遣労働者と直接契約の可否)
当社は,新技術を開発する部門の業務に従事する社員から秘密保持誓約書を取得し
ています。当該部門の業務には派遣労働者も従事しているため,当該派遣労働者か
らも秘密保持誓約書を取得したいと考えていますが,派遣先企業は,派遣労働者と
の間で直接秘密保持契約を締結することは可能ですか。
Q18 派遣労働者と秘密保持義務②(派遣元企業の責任)
派遣労働者が当社の秘密情報を漏洩し,当社に損害が生じました。当社は,派遣元
企業に対して損害賠償請求をすることはできますか。
第4節 退職後の秘密保持義務
Q19 秘密保持契約がない場合
元従業員Aが当社の営業秘密を持ち出し,転職先でそれを開示し,使用しているよ
うです。しかし,当社は元従業員Aとの間に秘密保持契約を締結しておらず,また,
就業規則にも退職後の秘密保持義務を定めていません。この場合,当社は,元従業
員Aに対して秘密保持義務違反を問うことができますか。
Q20 秘密保持契約の限界
当社では,従業員が退職する際に,「私は,退職後も,会社の機密情報を使用しな
い」と定めた誓約書を取得しています。最近,当社の元従業員Aが転職先で当社の仕
入先の名称・住所・電話番号などの情報を使用していることが判明しました。仕入先
情報は当社の従業員であれば誰でも閲覧できる状態で保管し,特に機密である旨の表
示は付していませんでした。このような場合でも,当社は,元従業員Aに対し,秘密
保持義務違反を問うことができるでしょうか。
第5節 企業間の秘密保持義務(秘密保持契約)
Q21 企業間の秘密保持契約
企業間で秘密保持契約を締結するのは,どのような場合でしょうか。秘密保持契約
では,どのような内容の条項が定められ,それらを検討する際には,どのような点
に留意すればよいでしょうか。
Q22 秘密保持契約書の具体例
当社とA社は,A社が当社の財務会計システムである「XYZ」を導入するか否かを
検討するため,お互いの情報を開示し合うことになっています。そこで,当社とA社
は,当該情報の開示に先立ち,秘密保持契約を締結したいと考えています。秘密保
持契約にはどのような条項を定めればよいでしょうか。その具体例を教えてください。
第6節 社内管理体制の構築・整備
Q23 情報管理体制の構築・整備
当社では,情報管理体制の見直しを検討しています。情報管理体制の構築・整備は
どのように行えばよいでしょうか。
Q24 個人情報の安全管理措置
個人情報の安全管理措置としては,どのような措置が必要でしょうか。
Q25 内部者からの情報漏洩を防ぐための法的方策
従業員等の内部者からの秘密情報の漏洩を防ぐための法的方策としては,どのよう
なものが考えられますか。
Q26 中途採用
従業員を中途採用する場合には,営業秘密や秘密保持義務との関係で特に注意すべ
き点はありますか。
Q27 モニタリングの可否
当社では,当社の秘密情報の漏洩やセクハラ・パワハラ等の非違行為を調査するた
め,従業員に貸与したPCや携帯電話における従業員のメールをモニタリングしたい
と考えています。このようなモニタリングを行うことは許されるのでしょうか。
Q28 秘密保持義務に関する就業規則の具体例
当社の就業規則には,秘密保持義務に関する規定がなかったので,新しく規定した
いと思います。どのような規定を定めればよいでしょうか。その具体例を教えてくだ
さい。
Q29 秘密保持誓約書の具体例
従業員の入社にあたって秘密保持に関する誓約書を提出させたいと考えています。
どのような条項を定めればよいでしょうか。秘密保持誓約書の具体例を教えてくださ
い。
Q30 秘密管理規程の具体例
秘密管理規程を定めたいと思います。どのような条項を定めればよいでしょうか。
具体例を教えてください。
Q31 情報漏洩事故が発生した場合の責任
当社の従業員による情報漏洩事故が発生した場合,当社及び当社の役員には,それ
ぞれどのような責任が生じるのでしょうか。
第7節 秘密保持義務違反・営業秘密侵害への対応
Q32 秘密保持義務違反・営業秘密侵害に対する救済
当社の従業員Aがライバル企業Bからそそのかされて当社の営業秘密が収録された
媒体を無断で持ち出してコピーし,当該コピーをライバル企業Bに提供し,その見返
りとしてライバル企業Bから多額の報酬を受領していることが発覚しました。当社は
従業員A及びライバル企業Bに対してどのような請求が可能でしょうか。
Q33 営業秘密の漏洩発覚時の初動対応
当社の従業員が当社の営業秘密を漏洩したことが疑われる事実が発覚しました。ど
のような対応をとればよいでしょうか。
Q34 民事訴訟における営業秘密の保護
当社の元従業員が当社の営業秘密を不正に持ち出し,ライバル企業において当該営
業秘密を使用していることが判明したため,当社は,元従業員とライバル企業に対
し,民事訴訟を提起しようと考えています。しかし,この訴訟のなかで当社の営業秘
密が公開されてしまわないか心配です。民事訴訟手続のなかでは,営業秘密につい
て,どのような保護が図られているのでしょうか。
Q35 刑事訴訟手続における営業秘密の保護
営業秘密侵害の刑事告訴をすると,刑事事件の裁判のなかで当社の営業秘密が公開
されてしまわないか心配です。刑事事件の裁判のなかで,当社の営業秘密は守られる
のでしょうか。
Q36 個人情報漏洩時の対応
当社の管理するサーバへの不正アクセスがあり,当該サーバで保管していたお客様
の個人情報が大量に流出する事故が発生しました。どのような対応をとればよいで
しょうか。
Q37 従業員によるSNSへの不適切投稿への対応
当社の経営する飲食店のアルバイトが来店した有名人の情報をSNSへ投稿してしま
いました。どのような対応をとればよいでしょうか。
第8節 国境をまたぐ営業秘密侵害
Q38 国境をまたぐ営業秘密侵害の管轄
日本において日本企業Xから不正取得された営業秘密が海外において外国企業Yに
開示され,同社によって使用されました。Xは,Yに対して,日本の裁判所で営業秘
密侵害に基づく訴訟を提起することができるのでしょうか
なお,外国企業Yは,日本で事業を行っておらず,日本国内に営業所等も有してお
らず,代表者も日本に住んでいません。また,日本国内に差し押さえるべき資産もあ
りません。
Q39 国境をまたぐ営業秘密侵害の準拠法
日本において日本企業Xから不正取得された営業秘密が海外において外国企業Yに
開示され,同社によって使用されました。XがYに対して,日本で営業秘密侵害に基
づく訴訟を提起した場合,日本の不正競争防止法が準拠法として適用されるのでしょ
うか。
第2章 競業避止義務
第1節 競業避止義務の意義・類型
Q40 競業避止義務
競業避止義務とはどのような義務でしょうか。
Q41 職業選択の自由
職業選択の自由とは何でしょうか。
Q42 フランチャイズ契約と競業避止義務
フランチャイズ契約では,競業避止義務が課されることが多いですが,従業員に対
する競業避止義務と同じように,職業選択の自由を侵害するので無効となりますか。
Q43 従業員に対する競業避止義務と職業選択の自由
従業員に対する競業避止義務は職業選択の自由を侵害するので常に無効でしょうか
第2節 在職中の競業避止義務
Q44 在職中の競業避止義務
従業員が在職中の場合に,会社との競業避止義務を課すことはできますか。
Q45 在職中の競業避止義務とその根拠
会社の就業規則には,従業員の在職中の競業避止義務について定めがありません。
この場合にも従業員は競業避止義務を負っているといえますか。
Q46 在職中の競業行為に対するペナルティ(1)
従業員が会社に在職中であるにもかかわらず,競業行為を行っていることが発覚し
ました。この従業員を解雇することはできますか。
Q47 在職中の競業行為に対するペナルティ(2)
従業員が会社に在職中であるにもかかわらず,競業行為を行っていることが発覚し
ました。この従業員を懲戒処分の対象とすることは可能でしょうか。
Q48 在職中の競業行為に対する法的処分
従業員が在職中に競合会社を立ち上げたことが判明しました。この従業員に対して
損害賠償を請求することはできるでしょうか。そのほか,どのような法的措置をとる
ことが可能でしょうか。
Q49 役員の競業避止義務
会社の取締役や監査役は,会社に対して競業避止義務を負っていますか。
Q50 執行役員の競業避止義務
会社の執行役員は,会社に対して競業避止義務を負っていますか。
第3節 退職後の競業避止義務
Q51 退職後の競業避止義務
退職後に競業他社に就職した従業員がいます。これを止めさせることはできるで
しょうか。
Q52 退職後の競業避止義務を定めた合意の有効性
退職後に競業他社に就職してはならないという合意は有効でしょうか。
Q53 退職後の競業避止義務を定めた就業規則の有効性
退職後に競業他社に就職してはならないという就業規則は有効でしょうか。退職後
に競業他社に就職しないという誓約書を入社時又は退職時に差し入れさせた場合はど
うでしょうか。
Q54 退職後の競業避止義務合意がない場合
競業避止義務を定めた合意がない場合,退職後の競業避止義務は認められるので
しょうか。
Q55 競業避止義務の「正当な目的」
退職後の競業避止義務が有効となる場合の「正当な目的」とはどのようなもので
しょうか。
Q56 競業避止義務の「競業行為の範囲」
退職後の競業避止義務が有効となる場合の競業行為の範囲とは,どのように定めた
らよいでしょうか。
Q57 競業避止義務の「地理的範囲」
退職後の競業避止義務が有効となる場合の「地理的範囲」とはどのようなもので
しょうか。
Q58 競業避止義務の「期間」
退職後の競業避止義務が有効となる場合の「期間」とはどのようなものでしょうか。
Q59 競業避止義務の「代償措置」
退職後の競業避止義務が有効となる場合の「代償措置」とはどのようなものでしょ
うか。
Q60 退職後の競業避止義務に関する合意書
退職後の競業避止義務について,合意書を締結したいと思います。書面の例を教え
てください。
Q61 退職後の競業避止義務に関する就業規則
退職後の競業避止義務について定めた就業規則を作成したいと思います。条項例を
教えてください。
Q62 誓約書の提出の就業規則による義務づけ
退職後の競業避止義務を定めた誓約書の提出を,就業規則上義務づけたいと思いま
す。このような規定は有効でしょうか。また,条項例を教えてください。
Q63 退職後の競業避止義務違反と退職金の減額
退職後の競業避止義務違反に対し,退職金を減額する定めをおいた場合,この規定
は有効でしょうか。また,条項例を教えてください。
Q64 退職後の競業避止義務違反と違約金の定め
退職後の競業避止義務違反に対し,違約金の定めをおいた場合,この規定は有効で
しょうか。
第4節 競業避止義務違反に対する救済
Q65 競業行為の差止めの仮処分
退職後の競業避止義務違反が判明した場合,この競業行為の差止めを求める仮処分
の申立てをしたいと思います。これは可能でしょうか。
Q66 競業避止義務違反に対する損害賠償請求
退職後の競業避止義務違反が判明しました。この従業員に対して損害賠償の請求を
したいのですが,可能でしょうか。
Q67 競業行為の差止め
退職後に競業避止義務に違反して,競業行為を行っている社員がいます。この社員
による競業行為を差し止めたいのですが,可能でしょうか。
Q68 競業避止義務を負う社員の他社による採用
退職後の競業避止義務を負っている社員を競業他社が採用したようです。この競業
他社に対して採用を止めるよう要求できないでしょうか。
Q69 競業避止義務を負う社員の自社による採用
退職後の競業避止義務を負っている社員を当社で採用しようと思っています。どの
ような点に気をつけるべきでしょうか。
Q70 海外の競業避止義務
海外拠点で従業員を採用する際に,在職中や退職後の競業避止義務を設けることを
検討しています。海外では競業避止義務の法的な効力は認められるのでしょうか。
第3章 従業員の引抜き
第1節 勧誘・引抜き行為の法的性格
Q71 在職中の役員・従業員による勧誘・引抜き行為
当社に在職中のある役員と従業員が,独立して別会社を設立することを計画してい
るようです。独立することはかまわないのですが,当社の従業員に対して,その別
会社で働かないかと勧誘する行為は,法的に問題はないのでしょうか。
Q72 退職した役員・従業員による勧誘・引抜き行為
当社を退職して別会社にいる役員や従業員が,当社の従業員に対し,その別会社で
働かないかと勧誘しています。このような行為は,法的に問題はないのでしょうか。
Q73 チーム単位での他社からの採用
競業他社のあるチームが当社への入社を希望しています。採用しても法的に問題は
ないでしょうか。
第2節 勧誘・引抜き行為の禁止
Q74 勧誘・引抜き行為の禁止の合意
退職後に当社の従業員を他の会社のために勧誘したり引き抜いたりすることを禁止
する誓約を従業員にさせたいと思います。このような合意は有効でしょうか。
Q75 勧誘・引抜き行為の禁止の就業規則
退職後に当社の社員を他の会社のために勧誘したり引き抜いたりすることを禁止す
る旨の規定を就業規則上に規定しようと思っています。このような規定は有効でし
ょうか。
Q76 勧誘・引抜き禁止違反に対するペナルティ
退職後に当社の社員を他の会社のために勧誘したり引き抜いたりすることを禁止
し,これに違反した場合には違約金などのペナルティを支払うことに合意した場合,
このような合意は有効でしょうか。
Q77 他社との間の勧誘・引抜き行為の禁止の合意
当社の社員に対して勧誘行為や引抜き行為を行わないことや,退職した社員を雇用
しないとする合意を他社との間で行った場合,このような規定は有効でしょうか。
業界団体に所属する会社間でこのような合意を行った場合にはどうでしょうか。
第3節 勧誘・引抜き行為に対する救済
Q78 勧誘・引抜き行為の差止め
勧誘・引抜き行為の禁止を約束していた元社員が,当社の社員に対して勧誘活動を
していることが判明しました。このような行為を差し止めることはできるでしょう
か。
Q79 勧誘・引抜き行為に対する損害賠償
当社の元社員が当社の社員数名を,競業他社に引き抜いてしまいました。この元社
員や競業他社に対して,当社が被った損害の賠償を請求できますか。また,請求で
きる賠償額はどの範囲でしょうか。
Q80 勧誘・引抜き行為を行った者に対する退職金の不支給,減額,返還請求
引抜き禁止の合意をしていた元社員が,当社の社員に対して勧誘活動を行っている
ことが判明しました。退職金の支給前ですが,この元社員に対する退職金を払わな
いこととしてもよいでしょうか。