青林書院



民事保全 四訂版


リーガル・プログレッシブ


民事保全 四訂版
 
編・著者須藤典明・深見敏正・金子直史 著
判 型A5判
ページ数320頁
税込価格3,520円(本体価格:3,200円)
発行年月2019年08月
ISBN978-4-417-01769-1
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■解説
民法改正に対応! ますます充実した民事保全実務の決定版!
●インターネット関連の仮処分,抗告審の解説を充実。
●忘れられる権利,ヘイトスピーチ等最新の情報を掲載。
●注目すべき裁判例も網羅。


はしがき
LPシリーズの 『民事保全』は,平成18年(2006年)7月の慣行から13年
が経過し,多くの実務家の幅広い支持に恵まれ,改訂を重ねて,今回,6年
ぶりに四訂版を上梓することになった。
 この間に,民法(債権法)の改正が成立し,令和2年(2020年)4月1日から
施行されることになっているが,民事保全に関係が深いものでは,時効制度が
改正され,仮差押えは「時効の完成猶予」の事由となったほか,債権者代位や
詐害行為取消などにおいて, 「債務者に対する訴訟告知」 が要件になるなど
の改正が行われ,民事保全にも影響が生じることになった。また,民事執行法
や民法 (相続法)などについても一部改正が成立し,すでにその一部は実施さ
れている。もちろん,6年の間に仮差押えや仮処分に関係する新しい裁判例もい
くつも現われている。
 そこで,四訂版においては,民事保全の実務にも関係する民法改正などの内
容を取り込んで必要な説明を加えたほか,IT 関連技術の著しい発展とともに日
々新たな問題が生じているインターネット関連の仮処分について,独立の項目
に改めて記載内容を全面的に改訂し,多忙な実務家が読める程度の長さの中に,
実務処理に必要とされる最新の情報を盛り込んだ。もちろん,仮差押えや仮処
分に関する注目すべき裁判例を網羅したほか,参考文献を精選し,諸法令等も
最新のものに改めて,利便性が高まるように工夫した。その一方で,コンパク
トで使いやすい実務書としての機能が失われないように,改めてこれまでの記
載内容を精査し,重要性が低くなった部分の記載を簡略化したり削除するなど
して,頁数の増加を最小限に抑えるように配慮した。
 また,今回の改定では,上記のほか,随所で民事保全事件の審理の在り方に
ついても意識的に注意を喚起した。民事保全については,債権者による将来の
執行保全や債権者に生じる回復し難い損害を避けるため,迅速かつ適切な保全
措置をとる一方で,不当な保全処分によって債務者とされた者に不必要な不利
益が生じないように,両者の調和を図ることが重要である。しかし,民事保全
事件を担当する裁判官の知識や経験には大きな幅があり,被保全権利や必要性
の考え方や疎明の程度などについて違いが生じやすい。裁判官は,もともと厳
格な法解釈が身に付いているため,一般的に,被保全権利や必要性の判断が厳
格になりがちである。しかし,債権者は,必ずしも債務者側の事情を熟知して
いるわけではないから,例えば債権の仮差押えの際に保全の必要性を厳格に考
え,常に債務者に不動産がないことの疎明を求めたりすることは,債権者に酷
で,裁判所がずる賢い債務者の味方をする結果になってしまうことも少なくな
い。
 いずれにしても,個別事件ごとに事情はさまざまであるのに,特定の前提を
置いた形式的な論理性にこだわり,保全の必要性などを厳格に要求するのは,
民事保全の迅速性・暫定性にかんがみて適切ではなく,その補完として,発令
後の債務者からの保全異議や保全取消の申立てによって改めて厳格な審査を行
うシステムが用意されていることも十分に意識されるべきであろう。
 なお, 本書の改訂に際して,先頃まで東京地裁保全部の中心メンバーであっ
た小川直人判事(現東京地裁民事第23部総括)及び横浜地裁(第7民事部)の島
村典男判事から,本書の質の向上に役立つ貴重な御教示や御意見などを賜った。
記してお礼を申し上げる次第である。また,この四訂版を出すことができたの
は,初版から一貫して本書を担当してくれている青林書院の長島晴美さんが,
辛抱強く原稿を催促し,整理し,ゲラを起こした上,校正での手直しなども全
面的に引き受けてくれたお蔭である。いつもながらの献身的な仕事ぶりに改め
て感謝の意を表したい。

  令和元年7月
  著者を代表して 須藤 典明


執筆者
須藤 典明:日本大学大学院法務研究科教授・弁護士
深見 敏正:東京高裁・部総括判事
金子 直史:広島高裁・松江支部長判事

■書籍内容
第 1 章 民事保全とは何か 
橘瓜保全の意義
   1 .はじめに
   2 .なぜ民事保全制度が必要か
   3 .民事保全法の読み方
 民事保全法 1 条 (民事保全の定義) 
 民事保全法20条 1 項 (仮差押えの要件)  
 民事保全法23条 1 項 (係争物に関する仮処分の要件) 
 民事保全法23条 2 項 (仮地位仮処分の実体的要件)  
玉瓜保全の種類
   1 .仮差押え
 仮差押えとは何か
 仮差押えの対象 
 仮差押命令の効果 
   2 .係争物に関する仮処分
 係争物に関する仮処分とは何か  
 占有移転禁止の仮処分  
 処分禁止の仮処分  
   3 .仮の地位を定める仮処分(仮地位仮処分)
 仮地位仮処分とは何か 
 仮地位仮処分の手続要件(審尋)
   4 .一応のまとめ
渓瓜保全の特色
   1 .付随性, 暫定性, 緊急性, 密行性
 付随性と暫定性
 緊 急 性
 密 行 性
   2 .決定主義
   3 .審尋と疎明
弧瓜保全の審判の対象
   1 .学説の状況
   2 .若干の検討
   3 .民事保全における保全物の記載方法
 考慮すべき要素  
 保全物の具体的な記載例  
耕瓜保全と特殊保全など
   1 .民事保全以外の保全処分(特殊保全)とは何か
   2. 特殊保全を区別する意味
   3 .民事執行法上の保全処分
 種類と内容
 要件と特色
   4. 控訴に伴う執行停止
   5. 東京地方裁判所民事部の取扱い
彩瓜保全の課題
   1 .事案に即した審査
   2 .担保額の決定に際して考慮すべきこと
   3 .国際保全の必要性
 問題の所在
 日本の裁判所の管轄権
 外国での執行の困難性

第 2 章 申立てと管轄裁判所
疑 立 て
   1 .書面主義の原則
   2 .民事保全命令の申立書の記載事項
 民事保全命令の申立書における必要的記載事項の意義
 当事者の表示
 申立ての趣旨
 申立ての理由 
   3. 民事保全命令の一括申立て
   4. 申立書の添付書類及び申立手数料
挟紐躡枷十
   1 .民事保全命令の申立ての管轄裁判所
   2 .国際管轄
 問題の所在 
   平成23年の法改正による国際管轄
 平成23年改正法による 「契約上の債務に関する訴え等の管轄権」
   3 .管轄違背の場合の対応
   4 .管轄の専属性の効果
   5 .本案管轄裁判所に管轄が認められる場合の問題点
   6 .係争物所在地の管轄

第 3 章 審理方式 
汽ール決定主義
   1 .オール決定主義が導入された根拠
   2 .オール決定主義の利点
郷魁 /
   1 .審尋の意義
   2 .簡易な証拠調べとしての審尋
   3 .審尋期日における調書作成に関する特則
慧豕地裁保全部における面接方式
   1 .面接の意義等
   2 .受理時の申立書の審査等
   3 .東京地裁保全部における原則的全件面接方式
玄疚製菠の特則
杭通骸埒蛙
   1 .要審尋事件
   2 .債務者審尋の概要
鎖獲対象
   1 .訴訟要件
   2 .実体的要件
嗣瓜保全命令手続における疎明
   1 .疎明の意義
   2 .疎明の程度
   3 .疎明の即時性

第 4 章 担  保 
誼簡櫃琉婬
   1 .担保の必要性
   2 .担保の機能
   3 .濫用的申立ての抑制等
供|簡櫃猟鷆
   1 .担保の提供者・担保権利者
 個別担保の原則
 共同担保 
 第三者による担保の提供  
   2 .担保提供の時期
 担保提供の時期の意義  
 担保提供の時期の定め方  
 定められた時期までに担保提供がなかったときの取扱い 
   3 .担保の額75
 保全命令の種類  
 保全命令の目的物の種類・価額  
 被保全権利の種類, その疎明の程度  
 債務者の職業・財産・信用状態等の具体的事情に即した債務者の予想損害  
 立担保命令に対する不服申立て  
   4 .担保の提供方法
 はじめに  
 金銭又は有価証券を供託する方法  
 支払保証委託契約  
恵簡殃の変換
乎簡欷⇒者の権利行使
   1 .はじめに
   2 .供託物に対する権利行使
 一般的な権利行使の方法  
 共同担保の場合の権利行使  
 有価証券の還付後の手続  
   3 .支払保証委託契約の場合の権利行使
甲簡櫃亮莨辰慧
   1 .はじめに
   2 .担保取消決定の申立ての申立権者, 管轄裁判所等
   3 .担保取消しが認められる場合
 担保の事由が消滅した場合  
 担保権利者の同意を得たことを証明した場合 
 権利行使の催告により同意が擬制される場合 
   4 .担保の取戻し
 担保の取戻しの意義
 担保の取戻しが認められる場合
 担保取戻し許可の手続

第 5 章 仮差押え
気呂犬瓩
   1 .仮差押えの意義等
   2 .仮差押命令の申立てについての審理
業鑛歔憾⇒
   1 .被保全権利の要件
   2 .被保全債権の特定
 はじめに
 債権の発生原因, 種類
 債権の数額
   3 .被保全債権の疎明
群昇慌,┐量榲物
   1 .はじめに
   2 .仮差押えの目的物の適格性
 はじめに
 不 動 産
 動  産
 債  権
   3 .仮差押えの目的物の特定
 はじめに 
 不 動 産 
 債  権 
顕昇慌,┐良要性
   1 .はじめに
   2 .連帯保証人等を仮差押債務者とする仮差押えの必要性
 連帯保証人のみに対する仮差押え
 主債務者と連帯保証人の双方に対する仮差押え
   3 .目的物に応じた仮差押えの必要性
   4 .仮差押債権の期間
   5 .超過仮差押え
   6 .追加仮差押え
慌昇慌_鯤金
   1 .はじめに
   2 .仮差押解放金額の決定基準
   3 .仮差押解放金に関する手続
 仮差押解放金の供託と執行の解放
 仮差押解放金に対する権利行使
 仮差押解放金の取戻し

第 6 章 仮 処 分 
儀諺菠に関する仮処分
   1 .係争物に関する仮処分の意義
   2 .要  件
   3 .しなやかな審理
鏡衢移転禁止の仮処分
   1 .占有移転禁止の仮処分の意義――当事者恒定
   2 .占有移転禁止の仮処分の 3 類型
 基本形 (債務者保管型) 
 例外型 1 (執行官保管型) 
 例外型 2 (債権者使用型) 
   3 .被保全権利をめぐる問題
 賃借権に基づく占有移転禁止の仮処分
 抵当権に基づく占有移転禁止の仮処分
 引渡命令に基づく占有移転禁止の仮処分
   4 .債務者=占有者をめぐる問題
 事実状態としての 「占有」   所有との比較
 占有補助者に対する占有移転禁止の仮処分の可否
 間接的な占有 (間接占有者) に対する占有移転禁止の仮処分の可否
 占有者が不明の場合
   5 .保全の必要性に関する問題
   6 .目的物の特定
圭菠禁止の仮処分
   1 .処分禁止の仮処分の意義と類型
   2 .不動産に関する登記請求権保全のための処分禁止の仮処分
 売買契約に基づく処分禁止の仮処分
 賃借権に基づく処分禁止の仮処分
   3 .不動産に関する所有権以外の権利の保存,設定,変更についての登記請求権
     保全のための処分禁止の仮処分
   4 .建物収去土地明渡請求権を保全するための建物の処分禁止の仮処分
問題の背景
土地の占有移転禁止の仮処分の要否
   5 .詐害行為取消権による処分禁止の仮処分
 意  義 
 不動産の譲渡行為を詐害行為とする場合
 仮処分解放金
   6 .その他の処分禁止の仮処分
顕召涼楼未鯆蠅瓩覯晶菠
   1 .仮の地位を定める仮処分の意義
 仮の地位を定める仮処分の必要性
 仮の地位を定める仮処分の非定型性
   2 .審理・債務者審尋の要否
 債務者審尋の要否
 債務者審尋を要しない場合
 仮の地位を定める仮処分と他の民事保全命令が併せて申し立てられた場合
     の対応
 債務者審尋等の期日の指定
   3 .民事保全手続における和解
 民事保全手続における訴訟上の和解の許容性
 民事保全手続における訴訟上の和解の留意点
 暫定的措置を定める和解 
   4 .仮の地位を定める仮処分の類型的考察の意義
   5 .不動産明渡断行の仮処分
 被保全権利
 主  文
 審理上の注意点
 仮処分の効力
   6 .意思表示を命ずる仮処分
 意思表示を命ずる仮処分の許容性
 登記手続を命じる仮処分の許容性
 謝罪広告を命じる仮処分
 ガス管や下水道等の埋設承諾を求める仮処分
   7 .競売手続停止の仮処分
 抵当権実行禁止の仮処分もしくは競売手続停止の仮処分の許容性
 仮処分命令の主文
 審理上の注意点
   8 .通行妨害禁止の仮処分
 被保全権利 
 主  文 
 審理上の注意点
   9 .日照被害を理由とする建築禁止の仮処分
 被保全権利
 主  文 
 審理上の注意点
  10.街頭宣伝活動禁止の仮処分
 被保全権利
 主  文 
 審理上の注意点
 面談強要禁止の仮処分 
 ヘイトスピーチに対する仮処分
  11.金員仮払いの仮処分
 被保全権利
 主  文 
 審理上の注意点 
 労働事件における地位保全の仮処分
  12.出版禁止の仮処分
 被保全権利
 主  文
 審理上の注意点 
  13.インターネット関係の仮処分
 はじめに 
 インターネット上の投稿記事等の削除を求める仮処分 
     発信者情報開示を求める仮処分 
 発信者情報の消去禁止の仮処分
  14.その他の特殊な仮処分
 はじめに
 新株発行差止めの仮処分
 労働組合法27条による緊急命令と民事保全
 住民訴訟を本案とする仮処分の可否
 ストーカーや家庭内暴力(DV)に対する仮処分
 そのほかの注目すべき特殊な仮処分等

第 7 章 裁判及び裁判によらない終了
戯曄 “
   1 .裁判の形式
   2 .決定書の記載内容
   3 .決定の告知方法
矯枷修砲茲蕕覆そ了
   1 .裁判によらない終了事由
   2 .取下げと相手方の同意
   3 .取下げの方式と時期

第 8 章 執行手続
喫歔桓更圓瞭端
脅更垉ヾ
景歔桓更圓凌塾て及びその要件
   1 .申立てについての書面主義
   2 .執行文を要しないこと
   3 .執行期間の制限
   4 .執行開始要件としての担保
検_昇慌,┐亮更
   1 .不動産に対する仮差押えの執行
   2 .船舶に対する仮差押えの執行
   3 .動産に対する仮差押えの執行
   4 .債権に対する仮差押えの執行
   5 .自動車に対する仮差押えの執行
后_晶菠の執行方法
   1 .総  論
   2 .処分禁止の仮処分の執行
 不動産の登記請求権保全のための処分禁止の仮処分の執行 
 保全仮登記併用型の処分禁止の仮処分の執行
 建物収去土地明渡請求権保全のための建物の処分禁止の仮処分の執行
 不動産に関する権利以外の権利についての処分禁止の仮処分の執行 
   3 .占有移転禁止の仮処分の執行
   4 .職務執行停止の仮処分の執行
   5 .金銭,物の給付を命ずる仮処分等の執行

第 9 章 相手方の保護と不服申立制度
機〜蠎衒保護制度の必要性
供(歔完杁
   1 .保全異議の意義
   2 .申 立 て
   3 .執行停止等の裁判
   4 .審  理
   5 .裁  判
掘(歔桓莨辰
   1 .保全取消しの意義
   2 .本案の訴えの不提起等による保全取消し
 制度趣旨
 起訴命令の発令
 債権者の対応
 保全命令の取消し
   3 .事情の変更による保全取消し
 制度趣旨
 申 立 て
 事情変更の意義 
   4 .特別の事情による保全取消し
 申 立 て 
 取消事由 
   5 .保全異議事由と保全取消事由の関係
検‖┿抗告
   1 .保全命令申立て却下裁判に対する即時抗告の意義
   2 .即時抗告の申立て
   3 .即時抗告の裁判
   4 .即時抗告に対する裁判に対する不服申立て
后(歔換街
   1 .保全抗告の意義
   2 .保全抗告の申立てと期間等
   3 .保全抗告の審理
  4 .保全抗告の裁判
 裁判の形式 
 保全抗告の申立てに理由がない場合
 保全抗告の申立てに理由がある場合
  5 .保全抗告の申立てに伴う執行停止
  6 .効力停止の裁判
此‖山嫁綵責任

第10章 書  式 
 ■書式不動産仮差押命令申立書
 ■書式占有移転禁止の仮処分申立書
 ■書式処分禁止の仮処分申立書
 ■書式−1不動産仮差押決定書
 ■書式−2不動産仮差押決定書
 ■書式−1ゆうちょ銀行に対する仮差押え関係
 ■書式−2管理機構に対する郵便貯金の仮差押え関係
 ■書式−3かんぽ生命保険に対する生命保険の仮差押え関係 
■書式−4管理機構に対する簡易保険の仮差押え関係

 事項索引/判例索引  

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