青林書院



続・知的財産法最高裁判例評釈大系 


続・知的財産法最高裁判例評釈大系 
 
編・著者小野昌延先生追悼論文集刊行事務局 編
判 型A5判
ページ数576頁
税込価格9,720円(本体価格:9,000円)
発行年月2019年08月
ISBN978-4-417-01768-4
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■解説
●『知的財産法最高裁判例評釈大系機銑掘幣野先生喜寿記念)』(2009年)の
 続編。
●平成17年以降の知的財産法関連の最高裁及び知財高裁大合議の「判例評釈」
 全35編を収録。
●小野先生と生前ご親交のあった国内外の方々から寄せられた「追悼の辞」も多数掲載。


小野先生追想        
私が始めて小野昌延先生にお会いしたのは,はるか大昔,昭和44年のこと
です。当時,私は東大法学部助手になったばかりのぺーぺーの身分でしたが,
小野先生は,今から思うと当時は中堅の弁護士のはずですが,私から見ればす
でに実務家を代表する大家であり,はるか雲の上の存在でした。その容貌も
大家としての存在感のある先生でした。     
当時,豊崎光衛先生(学習院大)を中心に,北川善太郎先生(京大),染野義信
先生(日大),桑田三郎先生(中央大),それに実務界を代表して小野先生が加
わり,工業所有権法学会設立の機運が高まっておりました。私はこれらの大先
生方の小間使いとして,面倒な雑用を全て引き受けており,要するに庶務係長
的な立場でした。小野先生は主として関西でご活躍をされておられたので,普
通ならば親しくしていただけないような存在でしたが,学会設立を機会に小野
先生ともお近づきになれたことは,私にとっては大変な幸せで あり,学会設立
という機会に感謝しなければなりません。法学部を卒業して 直ちに大学に残り,
実務というものを知らないということが,私の研究者と しての最大のコンプレ
ックスでしたが,小野先生とお付き合いができたということにより,実務の世
界を垣間見ることができ,私の学者人生において非 常に大きな糧になりました。
小野先生のお力もあり,学者だけではなく,有 力な実務家をも加え,成蹊大学
で設立総会を開催することができました。その工業所有権法学会は,設立当初
は数十名という小所帯ながらも,小野先生のご尽力もあり,それが今では大き
な学会に成長し,斯界の有力な研究者や実務家で加盟していない者はいないほ
どに大発展を遂げました。     
小野先生のお話は,お世辞にも上手とはいえませんでしたが,その書かれたも
のは実に素晴らしく,特に不正競争防止法に関する数々のご著書・論文は学者
にも及びがつかないほどのレベルでした。しかもその執筆された量 は,これま
た学者ですらできないようなものでした。アメリカのような陪審制度ではなく,
書面を中心にした日本の裁判では,おそらく小野先生の文章力は向うところ敵
なしではなかったのではないでしょうか。残念ながら私 は,小野先生の裁判に,
鑑定等のお手伝いをしたことはありませんでした が,多くの判決等を通して,
学ばせていただきました。     
また今では殆んど忘れられていますが,小野先生は,「無体財産権文献目 録」
という大部な文献目録の本を執筆されました。これをみれば,知的財産法につ
いてどのような本や論文があるのか,すぐに検索できます。現在ではデータベ
ースが発達しているので,このような本による文献目録は使われなくなりまし
たが,私の若い頃は,知的財産法(当時は無体財産権法と呼ばれていました)
の全てを網羅したこの本は,極めて貴重な存在で,研究にどれほど裨益したか
計り知れません。しかも毎年増加してゆく大量の文献を網羅的に 追加されてお
られました。当時,知的財産法に関する文献を網羅的に収集す るという作業は,
想像を絶する大変な作業であり,私などにはできるもので はありませんでした。
それがいかに大変な作業であるか,パソコンでデータベースを使用している人に
は,全く理解できないでしょう。この本がない頃 は,国立国会図書館に通い,
国会図書館の雑誌文献目録で文献を探すという 大変な作業をしておりました。
それがこの本のお陰で,自分の机の上で文献 を検索できるということが,いかに
有りがたいことか,ネット時代に生きて いる者には想像だにできないでしょう。
このような本の編集は,小野先生にとって殆んど利益(勿論金銭的な意味ではあり
ません)にならないにも関わらず, 学界あるいは実務界全体の利益のためにこの
ような編纂事業を続けられたと いうことには,心から頭が下がります。今では使
われなくなってしまった本 書ですが,このような本を精力的に編纂されたという
小野先生の業績は後世 に伝えてゆくべきであると思い,ここに特筆する次第です。
関西のことなので詳しくは知りませんが,小野先生は留学生のために,私財を投
げ打って支援をしていたと聞いております。私自身,大学に身を置いていた人間
として,恥ずかしい限りではありますが,大学の留学生支援はとても十分とはいえ
ません。政府も留学生の数を増やすことを国策としておりますが,その支援は全
く不十分です。そのような中で個人で留学生を支援するということは,これまた
特筆し,後世に伝えるべきであると思います。晩年の小野先生は透析治療を受け
ておられました。実は,私は39年もの間 透析治療を受けており,透析に関して
は私の方が大先輩です。透析とは週に 3回,1回に4〜5時間を要する治療です。
それは腎臓の代替をする治療ですが,本物の腎臓に比べると一部の機能の代替に
すぎず,透析を続けておりますと,不都合な事態が色々と生じてまいります。
透析とは,血管から毎分 200から300ccの血を吸引し,ダイアライザーと呼ばれ
る機器で血液中の余分な老廃物と水分を濾過し,それを体内に戻すという治療で
すが,単に血液 を浄化するという対症療法であり,腎臓を治す治療ではありま
せんので,透 析は終生続けなければなりません。まずは血液を十分吸引できる透
析用の太い血管を作る手術から始まりますが,誰でも透析の導入には大きな不安
を持つものです。小野先生は,透析を開始する前あたりから私のところに頻繁
に電話があり,色々な相談を受けました。小野先生からは,食事療法の問題を
はじめ,透析にまつわる数々の問題につき,何時間もの長電話がありました。
それまで小野先生とは親しくはさせて頂いてはおりましたが,二人だけで何回
も何時間も話をしたのは,この頃が初めてでした。その電話は,勿論 最初は透
析の話ですが,次第に話が人生の諸事万端に移り,この電話で小野 先生を極め
て身近に感じることができました。近年,小野先生のご体調が特に悪いとは聞
いておりませんでしたが,そういえば最近はお電話がないな,と思っておりまし
たところ,訃報に接し,大 変驚きました。長きにわたる先生のご恩に感謝すると
ともに,ご冥福をお祈り申し上げます。      
東京大学名誉教授
中山 信弘



■代表追悼の辞
中山 信弘:東京大学名誉教授
GURRY, Francis(フランシス ガリ):WIPO(世界知的所有権機関)事務局長
■第1部 判例評釈
金子 敏哉:明治大学法学部准教授
潮海 久雄:筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
今村 哲也:明治大学情報コミュニケーション学部准教授
宮脇 正晴:立命館大学法学部教授
駒田 泰土:上智大学法学部教授
泉  克幸:関西大学総合情報学部教授
山名 美加:関西大学法学部教授
小泉 直樹:慶應義塾大学大学院法務研究科教授 
三浦 正広:国士舘大学法学部教授
茶園 成樹:大阪大学大学院高等司法研究科教授
奥邨 弘司:慶應義塾大学大学院法務研究科教授
島並  良:神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科教授
小島  立:九州大学大学院法学研究院准教授
小松陽一郎:弁護士・弁理士
諏訪野 大:近畿大学法学部教授, Visiting Research Fellow,
Oxford Intellectual Property Research Centre (OIPRC)
板倉 集一:甲南大学大学院法学研究科教授
前田  健:神戸大学大学院法学研究科准教授
本山 雅弘:国士舘大学法学部教授
佐久間 修:名古屋学院大学法学部教授
堀江亜以子:中央大学法学部教授
山根 崇邦:同志社大学法学部教授
井上由里子:一橋大学大学院法学研究科教授
愛知 靖之:京都大学大学院法学研究科教授
井関 涼子:同志社大学法学部教授
蘆立 順美:東北大学大学院法学研究科教授
鈴木 將文:名古屋大学大学院法学研究科教授
君嶋 祐子:慶應義塾大学法学部・法学研究科教授
帖佐  隆:久留米大学法学部教授
大友 信秀:金沢大学法学系教授
平嶋 竜太:筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
玉井 克哉:東京大学先端科学技術研究センター教授・信州大学経法学部教授
横山 久芳:学習院大学法学部教授
辰巳 直彦:関西大学法学部教授
𠮷田 広志:北海道大学大学院法学研究科教授
青木 大也:大阪大学大学院法学研究科准教授

■第2部 追悼の辞
大貫 雅晴:GBCジービック大貫研究所代表,前一般社団法人日本商事仲裁協会理事
 (仲裁担当)兼大阪事務所所長
岡田 春夫:弁護士
阪口 春男:弁護士
角  和夫:阪急阪神ホールディングス株式会社代表取締役会長 グループCEO
滝井 朋子:弁護士
堤  馨正:弁護士・弁理士
中村  稔:中村合同特許法律事務所 弁護士・弁理士
畑  郁夫:元大阪地方裁判所所長,弁護士
牧野 利秋:元東京高等裁判所部総括判事,弁護士
HALEY, John O.(ジョン オー ヘイリー):
        William R. Orthwein Distinguished Professor of Law Emeritus
        (Washington University in St. Louis)
賀  湘沙(He, Xiang Sha)(ハ シャンシャー):
        中華人民共和国弁護士
HEATH, Christopher(クリストファー ヒース):
        Boards of Appeal,European Patent Office
KOPPENSTEINER, Hans-Georg(ハンス ゲオルク コッペンシュタイナー):
        LL. M.,Berkely Emeritus Professor(University of Salzburg)
        Austrian and International Commercial and Economic Law and
        Private Law Member of the Austrian Academy of Sciences.
LENZ, Ingeborg(インゲボルク レンツ):
        Vorsitzende Richterin am Verwaltungsgericht Hamburg
        i. R.(ハンブルク行政裁判所の主任裁判官(退官))
MAULANA, Insan Budi(インサン ブディ マウラナ):SH., LLM
RAIDL-MARCURE, Elisabeth(エリザベート ライデル マーキュア):
        Professor Emerita(Kyoto Sangyo University)
STEWART, C. W. Robin(シー ダブリュー ロビン スチュアート):
        New Zealand lawyer
WEDLICH, Rainer(ライナー ウェドリッヒ):
        Ret. Head of the Department for Public Order At the
        Administrative District Office(Landratsamt)Konstanz
尹  宣熙(YUN, Sunhee)(ユン スンヒー):
        漢陽大学法學專門大學院教授(HANYANG UNIVERSITY,School of Law)
             

■書籍内容
第1部 判 例 評 釈
1 専用実施権設定後の特許権にもとづく差止請求権の行使
  ―生体高分子−リガンド分子の安定複合体構造の探索方法事件
 (最高裁〔二小〕平成17年6月17日判決)
2 無効審判請求の除斥期間と無効事由(4条1項15号)の請求
 ―Rudolf Valentino事件 (最高裁〔二小〕平成17年7月11日判決)
3 拒絶審決取消訴訟係属中の出願分割と同時にする補正の効力
  ―eAccess事件 (最高裁〔一小〕平成17年7月14日判決)
4 商標法4条1項8号にいう人の氏名等の「著名な略称」の判断基準
  ―国際自由学園事件 (最高裁〔二小〕平成17年7月22日判決)
5 訂正審決の確定と無効審決の取消し
  ―クリーニングファブリック事件 (最高裁〔三小〕平成17年10月18日判決)
6 宗教法人の名称の使用と不正競争防止法2条1項1号及び2号にいう「営業」
  ―天理教豊文教会事件 (最高裁〔二小〕平成18年1月20日判決)
7 外国における特許を受ける権利の予約承継と特許法35条3項・4項
  ―日立職務発明事件 (最高裁〔三小〕平成18年10月17日判決)
8 特許製品の譲渡後の加工・部材の交換と特許権侵害の有無
  ―インクカートリッジ事件 (最高裁〔一小〕平成19年11月8日判決)
9 映画の著作物の保護期間の延長に関する改正著作権法附則の解釈
  ―映画『シェーン』事件 (最高裁〔三小〕平成19年12月18日判決)
10 特許法104条の3に基づく請求棄却判決と上告審係属中に確定した訂正審決の関係
  ―ナイフの加工装置事件 (最高裁〔一小〕平成20年4月24日判決)
11 特許異議申立事件の係属中に複数の請求項についてなされた訂正請求の効果
  ―発光ダイオードモジュール事件 (最高裁〔一小〕平成20年7月10日判決)
12 結合商標に関する類否判断
  ―つつみのおひなっこや事件 (最高裁〔二小〕平成20年9月8日判決)
13 特許権侵害差止仮処分事件において秘密保持命令の申立てをすることができるか
  (肯定)―液晶テレビ事件 (最高裁〔三小〕平成21年1月27日決定)
14 映画の保護期間と旧著作権法
  ―チャップリン事件 (最高裁〔一小〕平成21年10月8日判決)
15 放送番組の配信サービス行為と白動公衆送信の主体
  ―まねきTV事件 (最高裁〔三小〕平成23年1月18日判決)
16 放送番組等の複製物の取得を可能にするサービスの提供者が複製の主体と解される
  場合
  ―ロクラク胸件 (最高裁〔一小〕平成23年1月20日判決)
17 特許権の存続期間の延長の要件
  ―パシーフカプセル事件 (最高裁〔一小〕平成23年4月28日判決)
18 未承認国の著作物の保護義務と不法行為法による補充的救済の可否
  ―北朝鮮映画事件 (最高裁〔一小〕平成23年12月8日判決)
19 ファイル共有ソフトの公開・提供と著作権侵害
  ―Winny事件 (最高裁〔三小〕平成23年12月19日決定)
20 不使用取消しの要件
  ―ARIKA事件 (最高裁〔三小〕平成23年12月20日判決)
21  旧著作権法下で映画製作会社の名義で公表された映画の著作物に関する存続
    期間の算定,及び∨,竜定の誤解から存続期間が満了したと誤信した場合
    の「過失」の有無
    ―暁の脱走事件 (最高裁〔三小〕平成24年1月17日判決)
22 歌手の肖像写真等の無断利用と不法行為/パブリシティ権の侵害
  ―ピンク・レディー事件 (最高裁〔一小〕平成24年2月2日判決)
23 プロダクト・バイ・プロセス・クレームの解釈と明確性
  ―プラバスタチンナトリウム事件(最高裁〔二小〕平成27年6月5日判決)
24 存続期間延長登録の要件
  ―ベバシズマブ事件 (最高裁〔三小〕平成27年11月17日判決)
25 商標無効審判の除斥期間経過後に主張された無効の抗弁と権利濫用
  ―エマックス事件 (最高裁〔三小〕平成29年2月28日判決)
26 均等論の第5要件
  ―マキサカルシトール事件 (最高裁〔二小〕平成29年3月24日判決)
27 侵害訴訟の事実審において訂正の再抗弁を主張しなかった特許権者が,上告
  審において訂正審決の確定を主張することの許否
  ―シートカッター事件 (最高裁〔二小〕平成29年7月10日判決)
28 特許庁職員の過失により質権設定登録が抹消されたことに対する国家賠償と
  民事訴訟法248条の適用
  ―特許原簿質権登録順序過誤事件 (最高裁〔三小〕平成18年1月24日判決)
29 間接侵害成立要件・104条の3第2項の適用の可否
  ―一太郎アイコン特許事件 (知財高裁大合議平成17年9月30日判決)
30 サポート要件の明確化と新たな課題
  ―偏光フィルム製造法事件 (知財高裁大合議平成17年11月11日判決)
31 先願主義と補正・訂正の制限
  ―「新規事項追加の禁止」の根拠と範囲(知財高裁大合議平成20年5月30日判決)
32 特許法102条2項と権利者による特許発明の実施の要否
  ―ごみ貯蔵機器事件 (知財高裁大合議平成25年2月1日判決)
33 FRAND宣言付き標準規格必須特許と権利行使の制限
  (〇件/知財高裁大合議平成26年5月16日判決)
  (∋件/知財高裁大合議平成26年5月16日決定)
34 オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤
  ―エルプラット事件 (知財高裁大合議平成29年1月20日判決)
35 特許権消滅後の審決取消訴訟の訴えの利益と進歩性判断における引用発明の認定
  ―ピリミジン誘導体事件 (知財高裁大合議平成30年4月13日判決)

第2部 追悼の辞
小野昌延先生を偲んで/アジアの人々との懸け橋/知的財産権関係の第一人者/
小野昌延先生を偲んで/その後いかがお過ごしでしょうか―小野昌延先生を偲ぶ/
小野昌延先生との思い出/小野昌延先生のご逝去を悼む/故小野昌延先生を偲ぶ/
小野昌延先生を偲ぶ/Dr. Ono Remembrance[HALEY, John O.]/ 小野先生への
追悼文[賀 湘沙(He, Xiang Sha)]/Memories of Dr. Ono[HEATH, Christopher]
/In Memory of Dr. Ono[KOPPENSTEINER,Hans-Georg]/Dr. Shoen ONO
- ein unvergeßliches Vorbild[LENZ, Ingeborg]/(忘れられない模範である小野
先生[インゲボルクレンツ/(訳)Elisabeth Raidl-Marcure]/ )Remembering
Dr. Shoen Ono[MAULANA, Insan Budi]/Dr. Ono and His Vast Lega
cy as a Lawyer,Academic, and Benefactor [RAIDL-MARCURE, Elisabeth]/
DR SHOEN ONO - OBITUARY ESSAY[STEWART, C. W. Robin]/
Dr. ONO - A Magnanimous Mentor[WEDLICH, Rainer]/
小野昌延先生の思い出[尹 宣熙(YUN, Sunhee)]/あとがき

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