青林書院



争点整理と要件事実 -法的三段論法の技術-


争点整理と要件事実 -法的三段論法の技術-
 
編・著者永島賢也 著
判 型A5判
ページ数312頁
税込価格3,456円(本体価格:3,200円)
発行年月2017年03月
ISBN978-4-417-01707-3
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■解説
本書のビジョンは民事訴訟の活性化である!!
●法的三段論法がなされる以前の段階にあって判決結果に対して決定的な影響
 を及ぼす法的な思考過程に着目し,争点整理手続において何を口頭でやり取
 りすべきかについて圧倒的な筆致で綴る訴訟実務家による意欲作!!

はしがき
   
 本書のビジョンは民事裁判の活性化である。そのため,争点整理の道標とな
る要件事実や,争点整理手続中に示される暫定的な心証開示,訴訟代理人や担
当裁判官との間でなされる口頭でのやり取りなどに触れながら述べている。
法的(判決)三段論法に代表される法的思考は,今や争点整理手続を通じた要
件事実論的な裁判実務によってミクロ正当化の領域に閉じ込められてしまいそ
うにも見える。本書は改めて法的思考の活動領域を回復し要件事実論の内側と
外側とを行ったり来たり自由にできるようになることを目指している。私の筆
力では甚だ力不足であるが,本書によって既に見慣れたはずのものが見知らぬ
もののように見えてきたとすればひとまずは成功といってもよいかもしれない。
法的(判決)三段論法は論理ではない。あくまで論理「風」のものであって,
演繹ではない。▼続きを読む


アリストテレス流の論理ではもとより,現代の述語論理をもってしても法的
(判決)三段論法を捉えることはできない。こうして,見慣れた法的(判決)
三段論法が見知らぬものに変わっていくとき,法的思考は活性化するきっかけ
をつかむのではないかと思われる。一度,見知らぬものに見えてしまうと,
もう同じところへ戻ることはできないかもしれない。しかし,活性化とはもと
もとそういう不安さえも前進するエネルギーに換えていくものであろう。
法的思考は発見の過程と正当化の過程に区別することができ,正当化の過程は
マクロ正当化とミクロ正当化に区別することができる。発見の過程を単なる心
理的なものと位置づけるのではなく,生活事態と規範仮説との間を行ったり来
たりしながら暗黙知の働く領域と位置づけてみてはどうか。マクロ正当化の過
程では発見の過程で見出された普遍化可能性等のある規範仮説が,主に制定法
から解釈によって導き出される複数の法規範から対応するものを見つけ出せる
かという領域と位置づけてみてはどうか。大前提たる法規範の正当化のほか,
小前提たる事実認定の正当化もマクロ正当化を構成する過程と位置づけてみて
はどうか。そのうえで大前提と小前提を行ったり来たりする視線の往復をアブ
ダクションとインダクションの繰り返しの過程と描いてみてはどうか。そのう
えで最終的にディダクション風に整えられたあたかも検算の役割を果たすよう
なものが法的(判決)三段論法と呼ばれてきたものではないか。そして,演繹
風の法的(判決)三段論法がなされる場面以外でも,原告訴訟代理人,被告訴
訟代理人,裁判所の三者間で対話が可能になれば,法的思考の全体で裁判過程
に関わり合うことができるのではないか。そのための方法として口頭でのやり
取りという手法は使えないであろうか。ミクロ正当化だけでなく,マクロ正当
化や発見の過程まで対話可能であるとするならば,価値判断にかかわるような
やり取りが成り立つ前提が必要になるであろう。そのためには法とは何らかの
客観的なるもの,各人の生を実現できるような公正さを目指すものと想定され
なければならないのではないか。現代社会においてもはや素朴な自然法論に回
帰することが難しいとすれば,仮に何らかの法実証主義的な視点で見るとして
もなお客観的なるものを志向できる前提が必要になるのではないか。現在の民
事裁判実務の主流といえる要件事実を意識した争点整理という観点から法的思
考のできるだけ全容を捉えてみたいと思う。
本書の成り立ちには高橋文彦教授,嶋津格名誉教授,亀本洋教授に貴重なご示
唆をいただいた。ここに記して謝意を表したい。また,とくに第10章について
は,日本弁護士連合会の民事裁判手続に関する委員会や,同委員会を通じて実
施されている最高裁民事局との協議会,各地の単位会での意見交換会,東京弁
護士会の民事訴訟問題等特別委員会や研修講座における私の経験が基礎となっ
ている。各委員会の弁護士の委員や,裁判官,研究者などから学ぶことができ
たことは誠に幸運であった。そして,なにより本書の原稿の出版を勧めていた
だいた松嶋隆弘教授に心から感謝の気持ちを伝えたい。
本書は,序章のほか12の章からなっている。最終章は,第1章から第11章まで
(第9章を除く)のエッセンスを短文形式でまとめたものである。第9章は比
較的最近の最高裁判決を具体例として用いたものである(最判平成27・4・9
と同28・3・1である)。原稿が出来上がった当初は12章のみであったが,本
書がめざす活性化の具体例があったほうがわかりやすいと考え序章を最後に執
筆した。モデルとなった今井和男先生(虎門中央法律事務所代表弁護士)には
日頃からその活動に尊敬の念を抱いており,改めて感謝の意を伝えたい。
最後に青林書院の長島晴美氏の力添えと,宮根茂樹編集長に短い期間である
にもかかわらず詳細な原稿チェックをしていただいたことに改めて謝意を表し
たい。宮根氏の力がなければ,この時期にこの原稿が書籍になることはなかっ
たと思う。本当にありがたいと感じている。

平成29年1月
筑波アカデミア法律事務所にて   
弁護士 永島賢也 


■著者
永島賢也:弁護士(筑波アカデミア法律事務所)

■書籍内容
目 次
  
序章 ある弁護士
機,任るはずです
供)‥三段論法以前
掘ー‐楼聞澆力製

第1章 争点整理と要件事実
機)ゝ範
供〜菘
掘〕弖鏤実
検〜菘誓依
后[証命題
此) 〔拭‖
察_礎揚獣
次)ー他攫腟
宗‐鐚韻肇魁璽

第2章 三 段 論 法 
機〇庵箆惜
供‥租的論理学
掘―匕賚斥
検…彰兌腟創斥

第3章
 法的三段論法
機)‥三段論法
供“見の過程と正当化の過程
掘.泪ロ正当化とミクロ正当化

第4章 ミクロ正当化
機仝賃量簑
供。邱猝簑
掘_掌聖庵箆惜
検―匕賚斥
后―匕賚斥の法的三段論法
此‥一科学運動
察。弌、 Q
次(ぬ撚椎柔

第5章 トゥールミンの議論図式
機ゝ掴誠渕
供。帖、諭。
掘々格曚寮質
検〕夙的請求原因
后ゝ掴誠渕阿箸隆愀
此〕弖鏤実と議論図式
察ゝ掴誠渕阿鳳茲辰針‥思考
次.魯蝓爾旅饑劼帆菘誓依
宗ゝ掴昔琉茲販△鼎院複臓
勝ゝ掴誠渕阿肇泪ロとミクロ

第6章 視線の往復
機〇訐の往復
供〆枷讐當
掘〇実問題と法的問題
検.▲屮瀬ション
后_帖”機\
此)[Я蠱未肇▲屮瀬ション
察)[Я蠱未肇ぅ鵐瀬ション
次)[Я蠱未肇妊ダクション
宗〆枷十蠅両豺
勝“鏐霑幣拌緲人の場合
将機〇絢圓僚鼎覆
将供.妊ダクション風

第7章 マクロ正当化
機‖臍按鵑寮掬化
供‐前提の正当化

第8章 発見の過程
機.ーバーラップする視線の往復
供‘睫眠修醗徒枌
掘“見の過程における視線の往復
検\験荵態と規範仮説
后|亀瓩離僖薀疋スの解
此‖縛する正当化の過程
察)[Я蠱未砲ける発見の過程
次〇絢圓僚鼎覆
宗,燭箸┐亳正さ

第9章 具体例での検討
機‘暗かつ複雑な様相
供〇案の概要
掘ゝ範仮説を立てる
検^楾圓靴覆さ範仮説
后[梢討寮嫻
此〜蠹因果関係
察〜蠹程度の可能性の侵害
次^果関係の肯定
宗仝些曚諒法
勝‖茖運海搬茖何
将機“見の過程とマクロ正当化の過程
将供.潺ロ正当化の過程
将掘ヾ篤諜遡骸圓寮嫻と歡蠅箸いΨ誅
将記后」况忙件判決
将后」况忙件第1審
将広  徘徊事件第2審(妻)
将広  徘徊事件第2審(長男)
将広  波   紋
将記  迫り来る予期
将勝〆嚢盧曚離泪ロ正当化
将将  ミクロ正当化
将将  徘徊事件最高裁
将将  発見の過程の推測
将将  マクロ正当化の過程の推測
将将后.潺ロ正当化
将将  三者独自の法的思考

第10章 口頭でのやり取り
機‘刺犬箸靴討陵弖鏤実
供〜菘誓依手続の傾向性
掘‖佻辰里覆気譴覆の琉
検―駝未砲靴砲い話題
后仝頭でのやり取り
此.離鵝Ε灰潺奪肇瓮鵐函Ε襦璽
察―盤・中盤・終盤
次.ぅ縫轡▲謄ブ
宗〇惻待ち弁護士
勝〃念の表明
将機/款攘狙時期のコントロール
将供(語的進行
将掘“稟重意見
将検ー_鷭駝未如帖
将后―鼎澆鼎
将広  心証開示
将広  深刻な問題
将広  反発と自縛
将記  2つの心証開示の区別
将  暫定的な心証が意味するもの
将将  心証を開示しない裁判官
将将  法的観点指摘義務
将将  三者三様の法的思考
将将  なぞかけ
将将  締切りのメリット
将将  手続保障と迅速化

第11章 要件事実論
機〕弖鏤実論(「裁判規範」としての民法説)
供〕弖鏤実論(包括説・手法説)
掘)ゝ不適用説と証明責任規範説
検‐斂静戮亡悗垢覽範
后〕弖鏤実論の考え方
此)[Ц果の発生時期
察‐斂晴椎柔というメガネ
次〕弖鏤実論の真理概念
宗’咫|罅[
勝‖弌  “
将機”床租要件という視点
将供〇弭佑諒
将掘〇実の蓋然性と心証形成の度合い
将検〆枷蹴阿蛤枷銃
将后“酬莎案の手引との整合性
将広  判決理由は誰のため
将広  それらしく間違う
将広  主張責任
将記  証明責任判決
将  事案解明協力義務
将将  要件事実と要件事実論

第12章 まとめ

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