青林書院



損害保険の法律相談機匱動車保険〉


最新青林法律相談


損害保険の法律相談機匱動車保険〉
 
編・著者伊藤文夫・丸山一朗・末次弘明 編著
判 型A5判
ページ数472頁
税込価格5,292円(本体価格:4,900円)
発行年月2016年06月
ISBN978-4-417-01686-1
在庫有り
  
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■解説
交通事故紛争解決の鍵となる自動車保険の重要論点を網羅! 
損害賠償実務・保険実務に精通した実務家,研究者が,多様
化する自動車保険の法律問題をわかりやすく解説!!


編著者・執筆者一覧

編著者
伊藤 文夫(前日本大学法学部教授)
丸山 一朗(損害保険料率算出機構)
末次 弘明(弁護士 宮川・末次法律事務所)

執筆者
伊藤 文夫(前日本大学法学部教授)
丸山 一朗(損害保険料率算出機構)
藤村 和夫(日本大学法学部教授)
植草 桂子(損害保険料率算出機構)
黒田 清綱(損害保険料率算出機構)
原田 健一(損害保険料率算出機構)
益井 公司(日本大学法学部教授)
松居 英二(弁護士 ニューブリッジ総合法律事務所)
岸 郁子(弁護士 四谷番町法律事務所)
睫 宏行(弁護士 睫攸躪臻[Щ務所)
芳仲美惠子(弁護士 畑・芳仲法律事務所)
矢田 尚子(日本大学法学部准教授)
堀切 忠和(弁護士 九段富士見法律事務所)
高野 真人(弁護士 伊藤・遠藤・高野・野崎法律事務所)
末次 弘明(弁護士 宮川・末次法律事務所)
山川 一陽(日本大学名誉教授)
甘利 公人(上智大学法学部教授・弁護士)
花 浜子(弁護士 赤尾・花法律事務所)
垣内 惠子(弁護士 涼和綜合法律事務所)
新藤えりな(弁護士 九段坂総合法律事務所)
肥塚 肇雄(香川大学法学部教授・客員弁護士 佐野・吉田茂法律事務所)
井口 浩信(損害保険料率算出機構・日本大学法学部講師)
佐野 誠(福岡大学法科大学院教授)
古笛 恵子(弁護士 コブエ法律事務所)
松田 雄紀(弁護士 松田東京法律事務所)
神田 温子(名古屋地方裁判所判事)
小松 初男(弁護士 虎の門法律事務所)
山野 嘉朗(愛知学院大学法学部教授)
(執筆順)


はしがき
本書は,全2冊で構成される『損害保険の法律相談』機Ν兇里Δ舛痢
気箸靴銅動車保険を中心に扱うものです。
▼続きを読む


最近の交通事故統計によれば,交通事故による死傷者は平成10年代のよう
な120万人近くから大幅に減少し72万人台なっており,また自動車の傷
などを理由とする車両保険金の支払金も減少傾向にあります(『交通統計
(平成26年)』交通事故分析センター,『自動車保険の概況(平成27年
)』損害保険料率算出機構)。これは,自動車自体の事故回避のための諸機
能の充実強化,道路環境の整備,交通行政の強化などによることが大と思わ
れますが,依然として72万人の方が事故に遭遇していることから目をそら
すわけにはいきません。
これら自動車事故から生じる損害をてん補回復するうえで,自動車保険の果
たしている役割が重要なことは「クルマ」社会に生きる現代人にとって常識
となっているところと思われます。現在の自動車保険は,加害者として保険
約者・被保険者が負担することになる直接的な賠償責任を免れさせるととも
に被害者救済をはかる賠償責任保険のほか,物保険である車両保険や人保険
である人身傷害補償保険などの傷害保険によって被保険者に生じた損害に対
しても救済をはかっています。
 わが国における自動車保険は,アメリカにおいて引き受けられた自動車保
険契約のリスク分散のための再保険の引き受けを主たる目的とする大正3年
の東京海上保険株式会社(当時)の営業に遡ることができます。その後,わ
が国の経済社会の進展とともに国内の自動車を対象とする自動車保険が生成
してゆきます。当初は車両保険などいわゆる物保険にウエイトが置かれたも
のでしたが,昭和30年の自賠法創設に伴う自賠責保険の導入等を受け,賠
償リスクにも強い目が向けられるようになりました。昭和40年,47年,
51年改定等の任意自動車保険約款担保内容の強化充実により,対人賠償・
対物賠償責任が前面に押し出されるとともに,保険契約者・被保険者などの
自車両による傷害危険をカバーする自損事故担保や搭乗者傷害危険担保等も
組み込まれた「クルマ」社会に必要不可欠な自家用自動車総合保険が生まれ
るに至りました。さらに平成10年には,自らの自動車による人身死傷事故
に遭遇した場合に,加害者に対する賠償請求権があるか否かを問わず,自ら
が保険契約者・被保険者となっている自動車保険から,約款に定める損害賠
償額算定基準などによって計算された「実損額」を保険金として受け取るこ
とができる「人身傷害補償保険」が創設されるに至り,自動車保険は広く「
自動車事故犠牲者救済システム」への変貌を果たしたといえましょう。
 本書は,そのような自動車保険について,理論上又は実務上の重要な問題
点などについて,この領域において指導的立場にある法実務家・研究者のご
協力の下,Q&A方式をとりつつ理論水準を維持しかつわかりやすい解説を
試みたものです。
 本書によって,現行自賠責保険・任意自動車保険の理解が一段と深まると
ともに,自動車保険の理論面,実務面における更なる発展の礎となることを
願いつつ,本書を世に送りたいと思います。

 平成28年6月
 編著者一同
▲たたむ



■書籍内容
第1章 自動車保険制度の概要
  Q1:自動車保険制度の概要
    Xは自己所有の普通乗用車を運転中,信号機のない交差点でY運転
    (Y所有)の普通乗用車と出会い頭に衝突し,顔面挫傷,下肢複雑骨
    折ほかの傷害を受けるとともに,所有車両自体も大幅な損傷を受けま
    した。入院翌日にはXが契約している甲損害保険会社の乙代理店が見
    舞いがてらに病室を訪ねてきて,見舞いの言葉を述べるとともに,
    「本件に係る損害のてん補回復については車両損害も含めて乙代理店
    が可能な限りお手伝いしますので,そのことについてはご心配なさら
    ずに治療とお体の健康回復にご専念ください。」と述べて帰られまし
    た。数日後,症状が安定してきたので,自宅からノートパソコンを取
    り寄せ,甲社のホームページを開き,自分の負った傷害や,車両損傷
    (これについては,乙の指定により甲の指定修理工場に搬送し修理着
    手済み)に伴う損害について,どのように損害が算定されるのか,損
    害賠償,その他,保険によりどのような救済を受けることができるの
    か調べてみました。ホームページには,「自動車保険のしおり」と称
    するものが掲載され,平易な文言で(任意)自動車保険による救済の
    仕組みなどが書かれており,現在の自動車保険は,これまで自分が思
    っていた保険制度とは異なり,自動車事故により損害を受けた者の救
    済については,まさに総合救済システムに近いものになっていること
    を知りました。出会い頭の衝突であるから相手方から大幅な過失相殺
    の主張がされるので,治療費や修理費も大幅な減額を受け,自分の負
    担部分がかなりあると思っていましたが,自動車保険制度を活用すれ
    ば,人身傷害の部分だけではなく,車両損害についてもそれなりの損
    害のてん補回復を受けることを知りました。
    例えば,人身事故については,相手方あるいは契約保険会社に損害賠
    償請求をするのではなく,自分が契約している自動車保険に付帯され
    ている「人身傷害補償保険」で損害相当額のてん補回復を受けること
    ができ,また車両損害についても自分の保険の車両保険でてん補回復
    を受け,賠償をめぐる後処理については,契約保険会社に委ねてしま
    うことなどです。ただ,「契約のしおり」は,自動車保険についての
    みの記載であり,自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)などについ
    ては記載されていません。そこで,自動車事故により損害を被った場
    合に用意されている自動車保険の概要を,ごく簡単に教えてください。

第2章 自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
 第1節 自賠責保険制度の概要
  Q2:自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)制度の概要
    自賠責保険は,交通事故の被害者を保護するための保険であると聞
    きました。どのような保険制度になっているのか,教えてください。
 第2節 対人賠償責任保険の前提としての自賠法をめぐる解釈論
  Q3:自動車損害賠償保障法(自賠法)の制度趣旨と全体像
    自賠法には,どのような特色がありますか。自賠法における固有の
    解釈の問題があれば教えてください。
  Q4:「運行」と「(運行)によって」の問題
    自動車損害賠償保障法(自賠法)上の賠償責任が認められるために
    は,自賠法3条本文の要件である「運行によって」発生した事故で
    あることが必要であると聞きました。「運行」及び「(運行)によ
    って」の「によって」とは,それぞれどのような意味であるか,教
    えてください。
  Q5:「運行供用者」概念
    私は,自己所有の自動車でドライブ中,B所有の自動車を借り受け
    たAが運転する自動車に衝突され,全治1か月の重傷を負いました
    。事故原因はAの脇見運転であり,そのことは警察の実況見分時に
    A自身が認めていることですが,Aに,この事故で生じた治療費の
    自己負担分などの損害について賠償請求をしましたが,賠償したく
    てもお金がないと言って取り合ってくれず,所有者であるBに請求
    したところ,事故を起こした場合にはすべてAが責任を負い,Bが
    締結している自賠責保険や任意保険も使わないという約束で貸した
    のだから,すべてAに請求してくれというだけでこちらも相手にし
    てくれません。私としては,Aは事故を起こした直接の加害者とし
    て,またBは脇見運転をするようなAに自動車を貸した者として責
    任があるのではないかと考えており,両者に訴訟手続になることも
    含めて損害賠償請求をしようと考えていますが,どのような手続を
    すればよいでしょうか。
  Q6:「他人性」概念
    甲会社を経営する太郎の娘である花子は,甲会社の専務でもある夫
    の次郎が海外出張に出かけるのに同行するため次郎と一緒に車で空
    港に向かう途中,事故に遭って重症を負い,同時に,次郎もかなり
    のけがを負うこととなりました。
    次郎と花子が乗っていた車は太郎の所有する車であり,運転してい
    たのは太郎のお抱え運転手乙でした。次郎は,太郎からその車を自
    由に使ってよいと言われていたところ,自ら運転することもありま
    したし,乙に運転させることもありました。この日は,その車を空
    港の駐車場に長く駐車させておくのを避けるため,乙に運転しても
    らっていましたが,突然,右の前輪がバーストして高速道路の側壁
    に車を衝突させるという事故を起こしてしまいました。
    次郎と花子は,この車が付保している自賠責保険会社に損害のてん
    補を求めたいと思っていますが,可能でしょうか。ちなみに,花子
    は運転免許を持っていません。
  Q7:「運転者」概念
    次のようなケースでは,自動車損害賠償保障法(自賠法)3条の「
    他人性」の判断はどうなりますか。
    ⑴ 甲会社の従業員であるAは,会社の営業目的のために会社所有
      車を運転してまず取引先の乙会社に立ち寄り,そこで同社の社
      員であるBを同乗させて,ともに営業先へ向かいました。用件
      を終えてBを乙会社へ送っていく途中で,Aは疲労のため運転
      の交替をBに依頼し,自らは助手席で仮眠をとっていたところ
      ,Bの運転ミスにより当該加害車両がガードレールに衝突,A
      が負傷する事故が発生しました。
      Aは,自賠法3条の「他人」に該当しますか。
    ⑵ Aは,作業現場の責任者としてクレーン車の玉掛作業を行った
      後に,クレーン車の運転者であるBに対し巻上げの合図をした
      ところ,自らの玉掛作業が不適切であったために,Bがクレー
      ン車で巻き上げた際に荷崩れが起こり,これによってAが負傷
      する事故が発生しました。Aは,自賠法3条の「他人」に該当しますか。
  Q8:悪意免責
    私の息子は,帰宅途中,時速60kmで走行してきた車両にはねら
    れ,重傷を負いました。命はとりとめましたが後遺障害が残りそう
    です。車両の運転手は殺人未遂罪で逮捕され,「いらいらしてやっ
    た。誰でもいいからひき殺そうと思った」と供述しているそうです
    。加害者の運転していた車両は,加害者が所有しており,自賠責保
    険 は付保されているものの,任意自動車保険は付保されていない
    そうです。息子の事件については,警察から,通常の交通事故とは
    異なり,刑事課で扱っているという話を聞いたのですが,自賠責保
    険に請求しても支払を受けられない可能性もあるのでしょうか。
 第3節 自動車損害賠償の基礎としての損害額算定
  Q9:積極損害の認定 
    道路の横断歩道を横断していたところ,走行してきた自動車と衝突
    する事故に遭い,右手や右膝を打撲するけがをしました。医療機関
    を受診しましたが,治療費は,相手の自動車に付保されている任意
    自動車保険の保険会社が自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)か
    ら支払われる分も含めて,医療機関に一括払をしてくれるそうです。
    ⑴ 健康保険ではなく,自由診療になると聞きましたが,健康保険
      と自由診療とは何が違うのでしょうか。
    ⑵ 自由診療の治療費というのは,医療機関が自由に決められると
      聞きましたが,算定の目安があるのでしょうか。
    ⑶ 任意保険会社は医療機関が決めた治療費をすべて支払ってくれ
      るのでしょうか。
  Q10:柔道整復施術費用の認定
     自動車事故でけがをしました。仕事の関係で病院や診療所の診療
     時間に通院するのが難しいので,職場近くの接骨院や整骨院で施
     術を受けることを考えています。自動車保険や自動車損害賠償責
     任保険(自賠責保険)を利用する際に注意すべき点などがあれば
     教えてください。
  Q11:休業損害の認定
     私は男性ですが,妻が弁護士として就労しているため,自分は会
     社を辞め,専業主夫として3歳の子の育児など家事労働に従事し
     ていました。先般,横断歩道を歩行していたところ,道路を走行
     してきた自動車に衝突され,右大腿骨を骨折する大けがをしたた
     め,現在,医療機関に入院して治療を受けていますが,入院中,
     家事労働ができずに困っています。
     ⑴ 休業損害というのは,実際に就労している人しか請求できな
      いのでしょうか。
     ⑵ 専業主夫でも休業損害を請求することができるのでしょうか。
     ⑶ 入院中,家政婦に家事や育児を依頼した場合,その費用は請
      求できるのでしょうか。
  Q12:逸失利益の認定   
     ⑴ 交通事故により,被害者に後遺障害が残った場合や被害者が
      死亡した場合,逸失利益はどのように算定するのでしょうか。
     ⑵ その際,将来の長期間にわたり取得するはずであった利益を
      損害賠償として一時に一括して得ることになるので,中間利
      息を控除することになりますが,現在,預金金利は非常に低
      くなっているので,年5%の法定利率で控除するのは問題ない
      でしょうか。また,その際には単利で計算するのでしょうか
      ,あるいは複利で計算するのでしょうか。
  Q13:後遺障害の等級認定
     自動車事故でけがをしました。治療を続けましたが,なかなかよ
     くなりません。後遺障害が残った場合の自賠責保険の取扱いにつ
     いて教えてください。また,後遺障害等級認定の仕組について教
     えてください。
  Q14:損害額認定における男女間格差(特に未就労児童など)
     私の友人は4歳の女の子の母親でしたが,そのお嬢さんが先日幼
     稚園の帰りに乗っていたスクール・バスがセンターラインを越
     えて暴走してきた大型貨物自動車に衝突され,お嬢さんを含め同
     じ団地に住み幼稚園も一緒で仲のよかった同じ年の男の子など数
     人が亡くなり,十数人が重傷を負ったそうです。友人の話ですと
     ,先日,加害運転手の勤務先の自動車の保険を引き受けている
     という保険会社の方が来訪し事故に遭遇して死亡した男の子のお
     母さんと一緒に説明を受けましたが,その時の説明では,お嬢さ
     んと,男の子とでは,損害賠償額に違いがあるようなので,いた
     だいた計算表を見ると逸失利益というところで違いが出ているこ
     とに気づき,その理由を尋ねましたら,「逸失利益というのは,
     将来得ることのできる賃金などの収益などを現在時点に換算した
     ものですが,お子さんが将来どのような職に就き,いくらぐらい
     の収入を得るかについて明確な証拠はありません。そこで,予測
     するほかないのですが,予測の資料として,現在の賃金に関する
     統計データをベースにする方法が一般的にとられています。その
     結果,ご存知のとおり,現在,男女間に賃金格差があることは否
     定できない事実ですので,その結果,男のお子さんと女のお子さ
     んとでは損害賠償額に違いが出てしまうのです。」としか説明し
     てくれなかったということです。お子さんを無謀な運転で失われ
     ただけではなく,損害賠償額についてまで,男女の雇用に関する
     法律や男女共同参画社会法などのいわゆる男女均等法が制定され
     それが普及して行くであろう将来も,現在のように男女間格差が
     続くことを前提に算定されるということでよいのでしょうか。
  Q15:各種非典型後遺障害の認定
     ⑴ 医師からもらった診断書に見慣れない次の診断名が記載され
      ていました。これらは,自動車保険や損害賠償においてどのよ
      うに扱われますか。
      々蘯’承’従祿 PTSD RSD(CRPS) で樟埒餘娶詐症
     ⑵ 自動車保険や損害賠償において,医師が治療で用いる診断基
      準はどのような意味をもつのでしょうか。診断基準に該当しな
      いと一切損害賠償を受けることができないのですか。
  Q16:後遺障害の存続期間
     父Aは,バイクを運転中に乗用車と接触し,右足首の開放骨折等
     で3か月間入院し,退院後もリハビリのため通院中でしたが,事
     故後1年経ったところで身体の不調を訴えガンと診断されて,手
     術の甲斐なく診断から1年後に死亡してしまいました。骨折につ
     いては,ガンと診断された後も通院を続け,事故から1年3か月
     経ったところで症状固定の診断を受け,足関節の機能障害につい
     て後遺障害等級12級と認定を受けています。Aは症状固定時点
     で47歳で,まだまだ20年以上は働けたはずであり,その間の
     逸失利益については賠償を受けて当然と思うのですが,保険会社
     からは,既にガンで死亡しているから死亡時までの逸失利益しか
     算定できないと言われています。本当にそうなのでしょうか。
  Q17:死亡の逸失利益
     死亡の逸失利益はどのように算定されるのでしょうか。被害者に
     扶養されていた者が相続人でない場合に,損害賠償請求すること
     はできるでしょうか。
  Q18:外国人被害者に対する損害賠償
     以下の外国人被害者の損害賠償額の算定において,日本人の場合
     と違いはありますか。
     ⑴ 息子が2年前に「技能実習」の在留資格で日本に入国し,当
      初は水産加工技術の技能実習生として工場で働いたのですが,
      低賃金の割に仕事が過酷で辞めてしまい,友人の紹介で条件の
      いい建築現場で働くようになった矢先,交通事故で死亡してし
      まいました。息子から本国への仕送りがなくなり,生活に困っ
      ています。
     ⑵ 大学卒業後,日本法人の現地子会社に就職してコンピュータ
      ソフトの開発に携わり,24歳の時に「企業内転勤」の在留資
      格で日本に入国し,本社の技術者としてソフトの設計開発に従
      事していたところ,2年目に事故に遭い,後遺障害が残りま
      した。当初の在留期間は1年で,1回目の更新が1年,2回目
      の更新が3年です。事故前には同国人女性と結婚して妻と日本
      で暮らしており,ゆくゆくは永住資格をとって家族で日本で暮
      らすつもりでした。
  Q19:事故と自殺との間の相当因果関係
     先日,夫が自殺しました。明るく,働き者だった夫が自殺するに
     至ったのは,今から3年前の交通事故がすべての始まりです。そ
     の事故は,夫婦旅行の帰りに起きました。夫が安全運転で国道を
     走行中,前方不注視のためにセンターラインを越え侵入してきた
     Aの運転する車両に衝突され,夫は,頭部打撲,左膝蓋骨骨折,
     頸部捻挫等の障害を負いました。その後順調な回復をみせたもの
     の,後遺症(自賠責等級14級10号)の認定も受けました。
     もっとも,夫の受傷・後遺症の程度は,頭痛や項部痛,眼精疲労
     といった比較的軽度なものではありました。しかし,その事故が
     夫に与えた精神的影響は大きく,また,その後の補償交渉が思う
     ように進まず,そのうえ,意思に反する就労の勧めまでもがなさ
     れたことで,災害神経症状態に陥ってしまいました。そのせいも
     あって退職をせざるを得ず,その後,気持ちを切り替え,再就職
     を試みたものの,それもうまくいかず,精神状態が悪化してうつ
     病となり,最悪の事態を招くことになってしまいました。この事
     故さえ起きなければ,このような事態には決してならなかったと
     思います。そこで,Aに対し,夫の死亡による損害も含めて損害
     賠償を請求したいのですが,認められるでしょうか。
  Q20:損害額算定にあたっての被害者の体質的素因の考慮
     車で追突事故を起こしてしまったのですが,少しぶつかっただけ
     なのに,被害者の方には,もともと椎間板ヘルニアの持病があっ
     たようで,長期の入院をされました。事故を起こした私が悪いの
     ですが,被害者の方の持病が影響したような場合,その分まで,
     損害賠償をしなければいけないのでしょうか。
  Q21:共同不法行為をめぐる問題
     ⑴ 甲車が青信号で交差点を通過しようとしていたところ,赤信
      号で横断していた被害者Vに衝突してしまい,Vが路上に転倒
      したところを,黄信号で交差点に進入してきた乙車が轢過し
      Vは死亡しました。このような場合,賠償義務の範囲はどのよ
      うになりますか。
     ⑵ 自転車に搭乗した児童Vが,信号のない交差点で,甲車と出
      合い頭に衝突し,救急搬送先の乙病院で診察を受けたものの,
      医師はVの母親Aに異常が出たらすぐ再来院するように指示
      してVを帰宅させました。帰宅後数時間経過して,Vに異常が
      出ましたが,Aは直ちにVを病院に連れて行かず,ようやく乙
      病院を受診したころには既に脳出血が進んでおり,重度の脳障
      害の後遺症が残存しました。このような場合,甲車と乙病院
      の賠償義務の範囲はどうなりますか。また,甲車側が賠償金を
      払った場合,乙病院に対して求償請求はどの限度できますか。
  Q22:損益相殺による損害額の調整
     私の息子Aは,バイクに乗って信号機のある交差点を青信号にて
     直進進行していたところ,突然右折してきた四輪自動車にはねら
     れ,死亡してしまいました。息子は事故当時40歳の独身であり,
     家内も亡くなっていたので,父である私のみが相続人となり
     ました。私は,息子Aが死亡したことにより,これまでに労働者
     災害補償保険法(労災保険法)に基づく遺族補償年金として28
     0万円,厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金として270万円
     の合計550万円を受領しました。Yに対して損害賠償請求をし
     たところ,Y側は,それらの年金分を賠償金額から差し引くと主
     張してきました。
     ⑴ このような場合,差し引かれてしまうのでしょうか。
     ⑵ 仮に差し引かれる場合,今後支払われる予定の金員も支払の
      対象になるのでしょうか。
     ⑶ 差し引く場合,金員は損害賠償額全体から差し引かれるので
      しょうか,それとも差し引くことができる損害項目は限られて
      いるのでしょうか。
     ⑷ 差し引くべき金額は,損害の元本に充当されるのでしょうか
      ,それとも遅延損害金から充当されるのでしょうか。
     ⑸ 本件のように,事故状況についてAにも過失がある場合,過失
      相殺後に差し引くのでしょうか,それとも過失相殺前に差し引
      くのでしょうか。
  Q23:第三者行為災害による代位請求
     私は,普通自動二輪を運転し,信号機により交通整理の行われて
     いる交差点を青信号に従って直進していたところ,Aさんの運転
     するAさん所有車両が急に右折してきたため事故となり,外傷性
     クモ膜下出血で入院しました。AさんはY保険会社と自動車損害
     賠償責任保険(自賠責保険)契約を締結していましたが,任意保
     険には加入していませんでした。私は,健康保険を使って治療費
     を支払い,退院後,Y保険会社に対し,自動車損害賠償保障法(
     自賠法)16条1項に基づき被害者請求を行いました。私の傷害
     部分の損害は,自己負担分の治療費,入院雑費,交通費,慰謝料
     等総額300万円であり,自賠責保険の傷害限度額120万円全
     額が支払われるものと思っていました。ところが,Y保険会社は
     ,私の加入しているZ健康保険組合から200万円分の治療費に
     関する求償請求がなされたことを理由に,120万円全額は支払
     えない,案分した金額しか支払えないと回答してきました。案分
     されてしまうのでしょうか。
  Q24:損害賠償請求権と他法令給付との調整
     私は,通勤途上で交通事故に遭いました。なんとか命はとりとめ
     たのですが,そのために入院期間が数か月に及び,退院後も手足
     が不自由となり,従来の勤務先での仕事に復帰することができま
     せん。加害者に対して損害の賠償を求めたいので先日弁護士を依
     頼しました。ところが,弁護士の説明によると今まで私が労働者
     災害補償保険法(労災保険法)に基づいて受領していた各種の金
     銭給付について損害賠償の額から差し引かれることになるかもし
     れないということです。本当にそうなるのでしょうか。そうであ
     るとするとそれはどのような理由によるものなのでしょうか。
 第4節 その他自賠責保険・政府保障事業をめぐる問題
  Q25:遅延損害金
     私の夫は,道路を横断中に右折してきたトラックにはねられ,約
     半年間意識不明の状態が続いた後,私と息子を残して亡くなりま
     した。息子がある程度大きくなるまで経済的に困らなくてすむよ
     うに,事故の相手方に対して訴訟を起こして,できるだけ高い賠
     償金を受け取れるようにしたいと考えています。事故から約1年
     経過したのですが,これから訴訟を起こした場合,遅延損害金は
     どのように計算されるのでしょうか。

第3章 任意自動車保険
 第1節 任意自動車保険制度の概要
  Q26:任意自動車保険制度の概要
     任意自動車保険制度の過去と現状を教えてください。
 第2節 基本条項
  Q27:保険料領収前免責
     私は,A保険会社の自動車保険に加入するにあたり,長年つきあ
     いのあるB保険代理店の担当者から「保険料はB代理店が立替払
     いしておくので後から分割払いしてくれればよいですよ。」と言
     われてA保険会社との保険契約を締結し,保険期間が開始してい
     たところ,B代理店のA保険会社に対する保険料の立替払いが遅
     れているうちに交通事故を起こしてしまいました。
     A保険会社に事故の報告をしたら,保険料を領収する前に生じた
     事故による損害や傷害に対して保険金は支払わないと言われまし
     たが,何とかならないのでしょうか。
  Q28:告知義務
     私は,自動車を運転中,信号待ちで停車していた際に,後続車に
     追突されてしまいました。加害車両は任意自動車保険に入ってい
     ません。幸いけがはありませんでしたが,私の自動車は高級車で
     ,かなりの修理費用がかかります。加害者は資力もないようなの
     で,私は自分が加入している任意自動車保険の車両保険を使って
     自動車を修理したいと思っています。ところで,私は,以前から
     甲保険会社の任意自動車保険に加入して契約を更新してきました
     。毎年契約更新時期になると保険代理店から保険契約申込書が送
     付されてきます。私は,ずっと運転免許証の色はゴールドだった
     のですが,今回は契約更新前にスピード違反があり,運転免許証
     の色はゴールドではなくブルーでした。しかし,私は,ブルーと
     申告すると保険料が値上がりすると思い,以前と同様にゴールド
     であると申告していました。このようなことがあっても,車両保
     険金は支払ってもらえるのでしょうか。
  Q29:通知義務
     私は,A損害保険会社との間で,保有する自動車につき自動車保
     険契約を締結しました。契約締結の際には日常・レジャー使用目
     的で,通勤には使用しないと申告しましたが,転んで足首を捻挫
     してしまったため3か月前から被保険自動車で通勤していたとこ
     ろ,昨日交通事故を起こして負傷してしまいました。A損害保険
     会社から搭乗者傷害保険金を支払ってもらえるでしょうか。
  Q30:被保険自動車の譲渡
     Aは自己が所有する自動車甲(以下「甲車」という)をBに譲渡
     しましたが,譲渡後にBが運転する甲車がCの所有するC運転の
     自動車乙(以下「乙車」という)と衝突し乙車を大破させただけ
     でなくCに重傷を負わせました。Aの甲車についての自動車保険
     関係は甲車とともにBに承継され,BはAの自動車保険関係で乙
     車に発生した物害とCに発生した人身損害をてん補することがで
     きるでしょうか。
  Q31:被保険自動車の入替え
     Aは自己が所有する自動車甲(以下「甲車両」という)を廃車し
     て,新しい自動車乙(以下「乙車両」という)を購入したところ
     ,Aは自動車保険関係に関する手続を何もしないまま,Aが運転
     する乙車両がAの不注意でBの運転するB所有の自動車丙(以下
     「丙車両」という)と衝突し丙車両を大破させBに重傷を負わせ
     ました。この場合,保険会社は,甲車両に付保していたAの自動
     車保険契約を乙車両に適用して,物損及び人身損害に対し保険金
     を支払うことはできますか。
  Q32:事故発生時の保険契約者・被保険者の義務と義務違反の効果
     私は,所有する自動車に車両保険付きの自動車保険を付保してい
     ます。最近,近隣で不審火が相次いでいたのですが,自宅の駐車
     スペースに駐車中の私の自動車にも放火されました。
     ⑴ 消防車が到着するまでの間,私は家人と一緒に自宅に備え付
      けていた家庭用消火器2本を使って消火に努めましたが,結果
      的に自動車は全焼しました。保険会社からは保険金額全額の
      保険金を支払う旨の連絡を受けていますが,消火剤を使い切っ
      た消火器2本分の消火剤充填費用は保険給付の対象とはなら
      ないのでしょうか。
     ⑵ 保険会社に「損害品明細・価額申告書」を提出したのですが
      ,記憶が不確かで早く書類を提出しなければと慌てていたこ
      ともあり,一部の付属品について,購入時期や購入価額が事実
      と異なったり曖昧な記憶に基づいて記載してしまいました。こ
      のような場合には一切の保険金が受け取れなくなると聞いたこ
      とがあります。早速,保険会社に修正を申し入れるつもりなの
      ですが,保険金を受け取れなくなるのでしょうか。
  Q33:重複保険の場合の保険金請求
     私は,休日を利用して旅行に出かけるため,友人のAさんから自
     動車を借りることにしました。Aさんには「この車には運転者年
     齢限定や運転者限定のない任意自動車保険をかけているから大丈
     夫だよ。」と言われたのですが,Aさんに迷惑をかけることにな
     てはいけないので,私はドライバー保険を締結しました。
     旅行中,交差点で出合い頭の事故に遭い,この事故によって相手
     のXさんは受傷し,Xさんの車も損傷しました。そこで,私は,
     私が締結したドライバー保険とAさんが締結していた任意自動車
     保険のうち,ドライバー保険のみに保険請求ができるのでしょう
     か。それとも両方に請求できるのでしょうか。
  Q34:保険金支払期限
     私は,所有する自動車が盗難に遭ったので,自動車保険を付保し
     ていた保険会社に必要書類を送付して保険金を請求しました。そ
     の保険会社の約款によれば,必要書類の提出から30日以内に保
     険金を支払うとされ,また,特別な照会又は調査が不可欠な場合
     にはその期間を延長するとしていましたが,その場合でも最長は
     180日と規定されていました。その後,必要書類提出から18
     0日近くになって,保険会社から本件についての調査はなお継続
     しているので調査に協力してほしいとの要請がありました。私と
     してはともかく早く保険金を支払ってほしいので,その後の調査
     にはできる限り協力しました。結局,保険会社からは1年以上経
     って保険金が支払われましたが,こんなに待たされた私としては
     釈然としません。約款上の期限の180日を超えた部分について
     は,遅延損害金を支払ってもらうことができないでしょうか。
  Q35:保険金請求権の時効
     私は,半年の間,長期海外出張をしていました。帰国すると,自
     宅駐車場に停めてあった自家用車がなくなっていました。警察に
     盗難届を出して捜査してもらったところ,しばらくして私の車を
     盗んだ犯人が捕まりましたが,その車は犯人が既に外国に売りと
     ばしており,回収することができませんでした。そこで,自動車
     保険の保険会社に対して車両保険の保険金の請求をしましたが,
     なかなか保険金が支払われないのでしかたなく保険会社を相手に
     訴訟を起こしました。その訴訟の中で,保険会社は,盗難が発生
     してから訴訟を提起するまでに3年以上経過しているので,時効
     により保険金は支払われないと主張してきました。しかし,帰国
     後,盗難に遭ったことを知った時から訴訟を提起するまでは3年
     以内であり,また,盗難発生時から計算しても,保険会社に保険
     金を請求したのは3年以内です。それでも時効によって保険金は
     支払われないのでしょうか。
 第3節 対人賠償条項
  Q36:対人と自賠責保険の関係
     任意自動車保険における対人賠償責任保険(以下「対人賠償責任
     保険」といいます)と,自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)
     とはどのような関係にあるのでしょうか。自賠責保険では保険金
     が支払われないものの,対人賠償責任保険では支払が行われると
     いったようなケースはあるのでしょうか。
  Q37:被保険者の範囲
     私は,私が所有する車に,対人賠償責任保険を付保していますが
     ,ときどき,私の車で,私たち夫婦と友人で運転を交替しながら
     ドライブに出かけています。友人が運転しているときに,友人の
     運転ミスで事故が生じた場合,友人が負う責任についても,私の
     保険でカバーされるのでしょうか。年齢条件など特別な条件は付
     けていません。
  Q38:免責事由
     私は,妻とともに,従業員も雇用して,個人事業を営んでいます
     が,自家用車を業務にも利用しています。事故に備えて対人賠償
     責任保険を付保しています。週に何度かは,私が運転し,妻や従
     業員を同乗して,仕事現場に向かっていますが,私の運転ミスで
     単独事故を起こした場合,私が,妻や従業員に対して負うべき損
     害賠償責任についても私の保険でカバーされるのでしょうか。
  Q39:故意免責条項の「故意」の意義
     Aは,Bと同棲していた某女をめぐってBと対立していたところ
     ,Bから逃れるため同女を普通乗用自動車に乗せて発進しようと
     しましたが,Bは運転席側のロックされたドアのノブをつかんで
     開けようとしたり,ドアを蹴るなどしながら同車の発進を阻止し
     ようとしました。このため,Aは同車を徐々に発進走行させまし
     たが,Bがなおもノブをつかみ,ウインドガラスをたたきながら
     「降りてこい」などと言って横歩きで並進してきたので,Bを振
     り切って逃げるため,Bを路上に転倒させ負傷させる可能性があ
     ることを認識しながらあえてこれを認容し,同車を時速15km
     から20km程度に急加速したところ,Bは路上に転倒して頭蓋
     冠線状骨折等の傷害を負い,3日後に死亡しました(Aは傷害致
     死罪の有罪判決を受け,同判決は確定しています)。Aは,本件
     加害車両につき,自己を記名被保険者として,Y損害保険会社と
     の間で自家用自動車保険契約を締結していたところ,同保険契約
     に適用される賠償責任保険の約款には,保険会社は,保険契約者
     ,記名被保険者又はこれらの者の法定代理人の「『故意』によっ
     て生じた損害」をてん補しない旨の条項(以下「本件免責条項」
     といいます)があります。Bの相続人であるXらは,Aに対して
     本件交通事故による損害賠償を求める訴えを提起したところ,一
     部勝訴の確定判決を得ました。そこで,Xらは,賠償額が確定し
     た場合には,被害者はYに対して直接請求ができるとする約款条
     項に基づき,Yに対して同額の損害賠償額の支払を請求しました
     。これに対し,Yは,本件事故は記名被保険者であるAの故意に
     よるものであるとして,支払を拒絶することができるでしょうか。
  Q40:配偶者の範囲
     娘のAは,同棲していたBの運転する自動車の助手席に同乗中,
     Bが運転を誤りセンターラインをオーバーして対向車両と衝突す
     るという事故で,死亡してしまいました。自動車はBの所有で,
     自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と任意保険が付保されて
     いました。妻と私がBの任意保険会社に損害賠償の支払を求めた
     ところ,AとBは内縁関係にあったから,対人賠償保険の支払は
     できず,金額は少し低くなるが,人身傷害保険の支払はできると
     言われました。娘AとBは,同棲を始めてから2年くらいで,共
     に仕事をもっており,いずれ結婚しようという話はあったようで
     すが,具体的な時期等は決まっていたわけではありませんでした
     。任意保険会社の言うとおりなのでしょうか。
 第4節 対物賠償条項
  Q41:物的損害と慰謝料
     深夜,自宅に自動車が突っ込む事故に遭い,1階部分の居住空間
     にかなりの損壊が生じたうえ,1階に併設していた駐車場に駐車
     していた自動車が損壊してしまいました。幸いにもけが人は出ま
     せんでしたが,愛犬のラブラドール・レトリバーが大けがをして
     しまいました。自宅の損壊は居住空間にまで及んでいますし,深
     夜の事故で,事故以来,安心して眠れないなど感じた不安も大き
     いですので,加害者に修理改修費はもちろん慰謝料を支払っても
     らいたいと思いますが,請求することは可能でしょうか。また,
     損壊した自動車は,特別限定の外国車で,これまで相当の費用を
     掛けて保守整備を行ってきており思い入れのあるものです。その
     ような自動車ですので,修理費のほかにも慰謝料も支払ってほし
     いと思っていますが,請求できますか。愛犬は,足を切断してし
     まい,自力での排尿等ができなくなる重傷でした。これまで生後
     間もなくから家族同様に過ごしてきた愛犬です。医療費などのほ
     か,慰謝料は請求できますか。
 第5節 傷害条項等
  Q42:外来性要件と疾病起因事故
     夫が自動車を運転中に心臓発作を起こし,運転を誤って道路脇の
     池に車ごと転落し死亡しました。私は,夫が被保険者となってい
     る自動車保険に付されている人身傷害補償特約による保険金の請
     求をしようと思いますが,保険会社の担当者の話では,病気が原
     因で死亡した場合は保険金が支払われない可能性があるとのこと
     です。請求者である私の方で,夫の死亡原因が病気ではないこと
     まで証明しなければならないのでしょうか。
  Q43:酒気帯び運転免責の意義
     ⑴ 飲酒運転で起こした自動車事故に自動車保険は支払われます
      か。
     ⑵ どのような飲酒運転事故が免責となるのでしょうか。いわゆ
      る「もらい事故」で,酒気帯び運転と事故の発生とに因果関
      係がなくても免責とされますか。
     ⑶ 免責となる場合は,飲酒運転自動車に同乗していた人も自動
      車保険金を受け取れないのでしょうか。
  Q44:被保険者の範囲(傷害条項等)
     自動車保険に関連する人身傷害保険や無保険車傷害保険などの傷
     害保険が用意されていますが,これらの保険契約における被保険
     者の範囲について教えてください。
  Q45:胎児の扱い(無保険車傷害保険)
     妊娠中の妻が自動車を運転中,信号無視の車に追突されました。
     妻は搬送先の病院で帝王切開の手術を受けて長男を出産しました
     が,重度仮死状態で出生したため,長男には重大な障害が残って
     しまいました。加害者の自動車には対人賠償保険(任意保険)が
     付けられていません。一方,妻運転の自動車には,このような事
     態に備えるべく無保険車傷害保険を付けています。今回の事故で
     は,同保険の利用を考えていますが,同保険には,胎児を被保険
     者とみなすような特別な規定が設けられていません。長男は,法
     律上,権利能力が認められない胎児の段階で事故に遭ったので,
     権利能力を有する被保険者として同保険の保護が受けられるか不
     安です。このような場合でも無保険車傷害保険金の請求は可能で
     しょうか。
  Q46:保険者が代位により取得する権利の範囲
     保険者が保険給付をした場合に,保険者が,代位よって取得する
     範囲はどのようになるのでしょうか。
  Q47:搭乗者傷害保険金と損益相殺
     AはY1が運転の自動車に搭乗中,Y2が運転する自動車との衝
     突事故によって傷害を被り死亡しました。そこで,Aの相続人で
     あるX1らは,Y1,Y2に対して自動車損害賠償保障法(自賠
     法)3条に基づく損害賠償請求訴訟を提起しました。なお,X1
     らは,Y1が締結していた自家用自動車保険の搭乗者傷害条項に
     基づいて,死亡保険金1000万円を受領しています。裁判にお
     いて,Y1は,X1らが受け取った搭乗者傷害保険金は,保険契
     約者の搭乗者に対する損害賠償の一種であるから,1000万円
     は損害賠償額から控除されるべきである,と主張しました。この
     主張は,認められるでしょうか。
 第6節 車両条項
  Q48:偶然性の立証責任
     私が契約している自動車保険契約の車両保険の約款には,「衝突
     ,接触,墜落,転覆,物の飛来,物の落下,火災,爆発,盗難,
     台風,洪水,高潮その他偶然な事故によって被保険自動車に生じ
     た損害に対して,この車両条項及び基本条項に従い,被保険者に
     保険金を支払います。」という規定があります。この規定にいう
     「その他偶然な事故」とはどのような事故をいうのでしょうか。
     また,それは保険金請求者の側で証明しなければならないのでし
     ょうか。
 第7節 そ の 他
  Q49:弁護士費用保険
     弁護士費用保険とはどのようなものですか。弁護士費用保険から
     ,着手金を受領すると,加害者(賠償義務者)への損害賠償請求
     において,弁護士費用損害を請求することができなくなりますか
     。加害者から弁護士費用を含む損害賠償金を受領した場合に,弁
     護士費用保険を請求することはできますか。
 
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