青林書院



民事保全


最新裁判実務大系


民事保全
 
最新の問題状況を網羅した全50問!
編・著者須藤典明・深見敏正 編著
判 型A5判
ページ数740頁
税込価格8,424円(本体価格:7,800円)
発行年月2016年03月
ISBN978-4-417-01679-3
在庫有り
  
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■解説
管轄,保全命令,担保,仮差押え,不動産,建築紛争,名誉・プライバシー・
パブリシティ・人格権,近隣紛争,営業・業務,家庭,断行,債権者の救済
…… 

東京地裁や大阪地裁の保全部など全国で保全事件を担当している裁判官,
司法研修所教官や最高裁調査官の経験者,民事保全を実践し民事保全実務
に精通している弁護士など,実務家の英知を結集!


<内容>
●新たに,初心者にもわかる「すべての民事保全に共通するポイント」と,
検索したい項目が一目でわかる「保全 ナヴィ・チャート」を掲載。
●法改正を踏まえた国際管轄,航空機や航空燃料などの仮差押え,アスベス
トの撤去工事による被害,外国人差別による被害,太陽光発電の反射光に
よる被害,ネットショップへの出店問題など,最新の項目をわかりやすく
解説,抜群の使いやすさと完成度を誇る
●本体の厳しい紛争の前哨戦としての性格をより強めている民事保全手続に
ついて,諸問題をめぐる最新の考え方や審理の在り方を示す


<はしがき>
 最新裁判実務大系の第3巻として,『民事保全』を上梓することができた。
民事裁判の分野では,従来からの市民生活や経済活動に大きな影響を及ぼす事件や当事者間の人間関係や利害関係などが錯綜して深刻な対立状況が発生している事件だけではなく,昨今のIT機器の発達による先端的な事件や,広く人権意識が普及したことによる極めてデリケートな内容の事件なども目立つようになってきている。このような現代的状況の中で,民事保全手続は,本体の厳しい紛争の前哨戦としての性格を強め,とりわけ仮の地位を定める仮処分については,常に,社会状況や経済環境などの変化を敏感に反映したホットな事件が持ち込まれるため,民事保全を申し立てる債権者側や,受けて立つ債務者側だけではなく,その審理を担当する裁判所にとっても,それらの問題をめぐる最新の考え方や,審理の在り方などを端的に指し示すチャートのような書籍が望まれる状況にある。
 そして,これまでにもそのような要請を充たすものとして,2002年に青林書院から『新・裁判実務体系 民事保全』が刊行され,多くの実務家から広く支持されてきたが,その刊行から既に16年が経過し,多くの関係者から内容を最新のものに改めてほしいとの要望があったようである。
そこで,今回,同じく青林書院から『リーガル・プログレッシブ・シリーズ 民事保全』を刊行している須藤と深見とに対して,これまでの『新・裁判実務大系 民事保全』と同様のコンセプトとスタイルでの『最新裁判実務大系 民事保全』の編集が依頼されたことから,二人で緊密に連絡を取り合い,同書の問題と解説をすべて見直して,その後の民事保全法の改正を踏まえた国際管轄の問題はもとより,航空機や航空燃料などの仮差押え,アスベストの撤去工事による被害,外国人差別による被害,太陽光発電の反射光による被害,ネットショップへの出店問題など多くの新しい項目も取り入れ,民事保全について最新の問題状況を網羅した全50問を揃えた。また,新しい試みとして,須藤と深見において「保全 ナヴィ・チャート」と「すべての民事保全に共通するポイント」とに関する項目を執筆して,読者の検索の便宜を図るとともに,実践的な立場からの理解を容易にすることを試みた。そして,東京地裁保全部,大阪地裁保全部のほか全国各地で保全事件を担当している裁判官や,司法研修所教官,最高裁調査官なども経験している全国のベテラン裁判官だけではなく,代理人の立場から関連の問題を検討したことがある民事保全の実務に精通した弁護士の方々にも執筆を依頼したところ,いくつかの項目については,執筆者から疑問や意見が寄せられ,改めて執筆者と編者とで意見交換を重ねて問題を練り直した。その結果,本書は,日本全国の民事保全事件に造詣の深い実務家の英知を結集することができ,類書にはない高い完成度と使い勝手の良さをもったものに仕上がっている。
内々の話ではあるが,須藤は平成27年6月に退官を迎えた。そこで,当初は退官前に本書を刊行できればと計画し,今から思えば無理なスケジュールでの執筆をお願いしたため,結果的にかえって刊行が遅れることとなり,多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったが,何とか1つも欠けることなく珠玉の原稿を揃えることができた。ご多忙のところご執筆をいただいた皆様に,この場をお借りして厚くお礼を申し上げたい。
 最後に,本書の刊行に漕ぎ着けたのは,ひとえに青林書院編集部の長島晴美さんの長期間にわたる忍耐と献身的な助力のお蔭である。執筆者から原稿を受け取るたびに長島さんから須藤と深見にその写しが届けられ,二人で意見交換をしていたが,昨年夏のある日曜日に青林書院の会議室に集まり,須藤と深見とで,出揃ってきた原稿に改めて目を通し,長時間にわたって意見を交換した際にも,長島さんに多大の準備とお世話をしていただいたことを思い出す。ここに心からの感謝を表する次第である。
平成28年2月
〔編著者〕須藤典明 深見敏正



<編著者・執筆者紹介>
〔編著者〕(平成28年3月現在)
須藤典明:日本大学法科大学院教授・弁護士,前東京高裁判事
深見敏正:東京地家裁立川支部長判事

〔執筆者〕(執筆順,平成28年3月現在)
川博司:徳島地裁判事補
若林弘樹:弁護士
鈴木雄輔:岐阜地家裁多治見支部判事
鈴木拓児:さいたま地裁判事
荒井智也:徳島地裁判事[松山昇平:長野家地裁松本支部判事
古谷健二郎:静岡地裁浜松支部判事
森剛:さいたま地裁判事
日野直子:千葉家裁松戸支部判事
清野正彦:法務省訟務局行政訟務課長
鈴木和孝:大阪法務局訟務部副部長
小池あゆみ:横浜家地裁相模原支部判事
中田朋子:弁護士
山川亜紀子:弁護士
小林貴:弁護士
中山洋平:東京地家裁立川支部判事補
古賀大督:法務省訟務局局付
山門優:公正取引委員会上席審判官
早山眞一郎:熊本地家裁天草支部判事
倉澤守春:横浜地裁判事
森田浩美:大阪地裁判事
酒井良介:東京地裁判事
盒曲効:大阪地裁判事
上原卓也:東京地裁判事
宮崎謙:仙台地裁判事
眞鍋美穂子:名古屋高裁判事
沖中康人:東京地裁判事
西森政一:新潟地裁判事
齊藤顕:秋田地裁判事
浅見宣義:京都地裁判事
三重野真人:大阪地裁判事補
関述之:東京地裁判事
木村真也:弁護士
加藤聡:宮崎家裁判事
田中寛明:最高裁調査官
國屋昭子:神戸地裁姫路支部判事
中野琢郎:最高裁調査官
本田能久:東京高裁判事
大寄麻代:知財高裁判事
砂古剛:法務省大臣官房司法法制部部付
外山勝浩:東京地裁判事
石垣智子:裁判所職員総合研修所教官
岩崎政孝:弁護士・上智大学法科大学院教授
間史恵:札幌地家裁小樽支部判事
盒郷幸:大阪高裁判事
金久保茂:弁護士
木野綾子:弁護士
野上誠一:大阪地家裁岸和田支部判事
藤原俊二:さいたま家裁判事
   
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■書籍内容
目  次

 民事保全への招待
1.すべての民事保全に共通するポイント
2.保全 ナヴィ・チャート
機(歔缶仁瓩凌塾て
1.管  轄
 ⑴ 前橋市に住むXは,仙台市に住むYに対して200万円を貸したが,Yが期限が過ぎ
   ても返済しないので,執行対象財産を保全しておくため,貸付の際に送金した東
   京に本店のあるS銀行宇都宮支店のY名義の普通預金を仮差押えしたい。Xは,
   どこの裁判所に仮差押えを申し立てるべきか。
   金銭消費貸借証書には,Xの住居地を管轄する裁判所を本案の管轄裁判所とする
   との特約があるときはどうか。
 ⑵ ⑴の事例で,Xは,Yに200万円を貸し付けた当時は宇都宮市に住んでいたが,
   その後,高齢の母親の面倒を見るために前橋市に転居していたときはどうか。
 ⑶ ⑴の事例で,Xが200万円の内金100万円を被保全債権として,宇都宮地裁に仮差
   押えを申し立てた場合,同地裁の担当裁判官はどう対処すべきか。
2.国際管轄
 ⑴ 大阪市内に本社のある造船会社Xは,香港に本社のある海運会社Yからパナマ船籍
   の船舶の修理を請け
   負い,修理を完了して引き渡したが,Y社から修理代金が支払われていない。
   X社は,国際郵便やメールで何度も催促したにもかかわらず,まだその代金が支払
   われない。ところが,X社は,当該船舶が明
   日横浜港に入港することを知ったため,修理代金を被保全権利として,横浜地裁に
   当該船舶の仮差押え
   を申し立てたが,担当裁判官は,この申立てに対してどう対処すべきか。
 ⑵ X社とY社との請負契約において,修理に伴う紛争はシンガポールにおける国際
   仲裁で解決するとの合意があるときはどうか。

3.当事者――サービサーによる保全命令の申立て
  債権管理回収業に関する特別措置法に基づき法務大臣の許可を受けているX社は,Y
  に対する貸金返還請求訴訟の提起に先立ち,前記貸金債権を保全するため,Y所有の
  不動産に仮差押えをしておきたいと考えている。このような場合,仮差押えを申し
  立てる債権者は,X社かA銀行か。また,仮差押えの申立てに必要な添付書類には
  どのようなものがあり,当事者目録にはどのような表示をすべきか。

4.債務名義や保全命令を有する債権者からの保全命令の申立ての可否
  次のような場合,各債権者による民事保全の申立ては認められるか。
 ⑴ Aは,Bが占有している建物を競落し,代金を納付してBに対する引渡命令の発令
   を受けたが,執行官の執務上の都合もあり,すぐには引渡命令の執行ができない
   見込みなので,当面の措置として,Bを債務者とする占有移転禁止の仮処分を申し
   立てた場合
 ⑵ Cは,Dに対して建物を賃貸していたが,Dがその賃料を支払わないため,賃貸借
   契約を解除して,その建物の明渡訴訟を提起し,仮執行宣言付きの勝訴判決を得た。
   ところが,Dがその建物を第三者に転貸しようとしている様子なので,
   Cは,急いでDを債務者としてその建物の占有移転禁止の仮処分を申し立てた場合
 ⑶ 債権者Eは,債務者Fに対する3000万円の貸金返還請求権を保全するため,
   先にF所有の甲土地につき仮差押えを申し立てて,その発令を受けているが,
   公示地価が発表されたところ,地方都市の旧商店街
   にある甲土地も値下がりして,1800万円程度の価値しか見込めない状況になった。
   Eは,この3000万円
の貸金返還請求権のうち不足する1200万円を被保全権利として,F所有の乙土地に
   ついても仮差押えを申し立てた場合

5.確定判決の執行禁止を求める仮処分の可否
  AはB市内の一級河川沿いの地域で他の農家と一緒に農業を営んでいるが(以下
  「営農地域」という。) ,長年高潮の被害を受けていたため,B市と国は,高潮が
  河川を逆流して営農地域に被害を与えないように,河口近くに堰を設けた 。
  この堰は,国の所有であるが,B市が管理を委託されている。この堰によって高潮の
  被害がなくなり,Aら営農者は喜んでいた。一方,この河川の上流で漁業を営んでい
  るCらは, ウナギや鮭の漁獲量が激減しているため,B市に堰の開門を求めたが, 
  拒絶されたため,国とB市に対してこの堰の開門を求める訴訟を提起し,国に対して
  堰の開門を命ずる判決が出たが,双方が上訴しなかったため,Cらが求めた堰の開門
  を命ずる同判決が確定した。しかしながら,堰を開けておくと,再び高潮等によって
  Aらの農業に壊滅的な被害を及ぼすおそれがある。Aら営農者は,誰に対して,どの
  ような仮処分を申し立てることができるか。

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6.担保決定
  次のような場合,裁判所は,どのような担保を命ずるべきか。
 ⑴ AはBに対して1000万円を貸し付けたが,その際,Cが,BのAに対する債務を連
   帯保証した。Aは,Bが期限になっても返済をしないので,B及びCのD銀行に対
   する各預金債権につき,それぞれ1000万円を請求債権として仮差押えを申し立てた
   いと考えている。裁判所は,Aに対してどのような問題点を指摘すべきか。担保決
   定はどうなるか。
  
 ⑵ ⑴の事例で,Bが10年前に6000万円で購入したマンションを所有していることが判
   明したため,Aは,まずこのB所有マンションだけ仮差押えしたいと考えているが,
   このマンションにはD銀行を債権者とする3000万円の根抵当権が設定されているこ
   とが判明した場合,担保決定はどうなるか。根抵当権の額が5000万円である場合は
   どうか。
 ⑶ Aに十分な資力がない場合,Aの代理人となった弁護士Eは,どのような方法をと
   ることが可能か。
 ⑷ 保全裁判所が,3月5日(月曜日)に担保決定をして,Aが担保を提供すべき期間
   を5日間と定めた場合,Aは,いつまでに担保を提供すればよいか。

7.担保物変換の可否
  X銀行は,Yに対して500万円を貸し付けたが,Yが分割弁済の支払を怠り,期限の利
 益を喪失したため,Yに対して貸金返還請求訴訟を提起するに先立ち,Y所有の不動産
 の仮差押えを申し立て,その際に担保として所有する国債をもって供託した。X銀行は
 Yが請求を認めるものと思っていたが,予想に反して,本案訴訟においてYはいろいろ
 と抗弁を主張したため,当初の見込みよりも訴訟の進行が遅れて,供託した国債の償還
 期限が来てしまった。X銀行としては,どうしたらよいか。
  X銀行は,B銀行の株式を1万株(時価は1株500円)ほど保有しているので,これを
 担保に変えることは、できないかと考えているが,そのようなことはできるか。

8.担保取消し
  次の場合にA,E,F,は,それぞれ担保の取消しを求めることができるか。
 ⑴ A工務店は元請けのB建設

仮差押え
9.(当事者)ジョイントベンチャーを当事者とする仮差押え
  建設業を営むA社とB社は,いわゆるジョイントベンチャーを形成し,C共同企業体と
  称して,D社からマンションの建設工事を請け負ったが,次のような事態が発生した場
  合,誰が,どのような権利に基づき ,誰に対して,どのような民事保全をすることが
  できるか。
 ⑴ D社の資金繰りが悪化し,このままでは,Cとして請け負ったマンション建設工事の
   代金の支払が危ぶ まれる場合
 ⑵ B社がC共同企業体の趣旨に反してマンションの建設工事に協力しないため,工事が
   遅れてしまい,A社 が何とか工事を完成させたものの,D社から工事代金の支払を受
   けた際,工事遅延による約定損害金を控除されてしまい,赤字になってしまった場合
 ⑶ マンションの建設工事が約7割程度できた時点で,A社が業績不振のために建設工事
   を続行できなくなってしまい,B社だけでは予定のマンションを完成することができ
   ないため,D社はCとの請負契約を解除したが,別の業者に改めて工事の続行を依頼
   しても,完成が遅れることは必至で,購入予定者に対して多額の賠償費用が発生する
   場合

10.(被保全権利)離婚に伴う財産分与請求権及び慰謝料請求権による仮差押え
⑴ 妻Aは,夫Bが同僚のC女と浮気をしたため,現在別居中であり,離婚したいと考え
   ているが,Bが婚姻期間中に貯めたB名義の定期預金500万円をCに譲渡しようとして
   いることを知った。B名義の財産としては,上記定期預金のほか,Bの父親から相続
   した時価1億円の自宅がある。Aは,自宅の半分に相当する5250万円の財産分与と不
   貞行為による慰謝料500万円を被保全権利として仮差押えをしたいと考えているが,ど
   のような問題があるか。また,どの裁判所に申し立てればよいか。
 ⑵ Aは,不倫相手のCに対しても慰謝料500万円を請求したいと考えており,C名義の預
   金債権を仮に差し押さえる場合,どのような問題があるか。
 ⑶ Dは,Eと離婚する際に,子Fの養育費としてFが満20歳の誕生日を迎える月まで月
   額10万円を支払うことを約束したのに,実際に支払われたのは半年だけで,その後2
   年間,支払われていない。そこで,Dは,Eに対して未払の養育費240万円と今後の1
   年分120万円を被告保全権利として,G社で働いているEの給料支払請求権を仮に差し
   押さえたい。どのような問題があるか。


11.(被保全権利)不法行為に基づく損害賠償請求権を被保全権利とする仮差押え
  Xは,知人のYから,大学と共同開発した新しいサプリメントの販売を手掛けるため資
  金が必要であり,ヒット確実であるので,1000万円を出資してくれれば,利息として1
  年後に100万円,2年後には150万円を支払い,3年後にはさらに200万円の利息を付け
  て1200万円を返還すると勧誘された。Xは,自分でもあるサプリメントを愛用しており,
  Yを信頼して1000万円を投資した。1年後には100万円が支払われたが,2年目には,
  Yから, 類似商品が出たため販売が落ちており,新商品を出して挽回するので利息の
  支払を待ってくれと懇願され,待つこととした。しかし,3年目が終了しても元利金が
  支払われず,調査したところ,Yは実際にはサプリメントを販売しておらず,投資詐欺
  の被害にあったことが判明した。Xは,Yに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を
  被保全権利として,Yの預金口座等につき仮差押えを申し立てようと考えている。どの
  ような点に注意すべきか。

12.(目的物)預金債権に対する仮差押え
  Xは,Yに対する売掛金債権を保全するため,Yの取引銀行であるA銀行B支店に預金
  口座があると考え,そのYのA銀行に対する預金払戻請求権を仮差押えしたいと考えて
  いる。しかし,Xは,YのA銀行B支店における預金の種類や預金債権額等の詳細を知
  らない。そのような場合,Xは,仮差押えの申立てに際して,差押債権目録にどのよう
  な事項を記載することが必要か。
  仮差押えの申立てに際して,Xは,Yの取引銀行がA銀行であることはわかっている
  ものの,どの支店にどの程度の預金があるのかわからない場合,A銀行でYの取引額が
  一番多い支店を取引支店と指定して,又は,取引額の多い支店から少ない支店の順番で
  と指定して,Yの預金債権の仮差押えを求めることができるか。

13.(目的物)リゾートホテル会員権の仮差押え
  Xは,Yがリゾートホテルの会員権を購入するため,Yに対して300万円を貸したが,
  Yは,これを返済しようとしない。Xは,Yが購入したリゾートホテルの会員権を
  仮差押えすることができるか。Yが購入したのが,預託金制のゴルフクラブ会員権で
あった場合はどうか。
  仮にその仮差押えができるとした場合,その保全執行はどのように行われるのか。

14.(目的物)信託受益権に対する仮差押え
  Xは,Yに対して5000万円の貸金債権を有しているが,Yが返済期日に弁済しないの
  で,貸金返還請求訴訟の提起に先立ち,Yを債務者として仮差押えしようと考えてい
  るが,次のような場合にはどうしたらよいか。
 ⑴ YがA銀行から投資信託を購入して保有している場合
 ⑵ Yの父が委託者となり,B信託銀行を受託者として,Yの父の死後にYの生活を保障
   する信託目的の下に受
益者をYとする金銭信託(7000万円)を設定した後,Yの父が死亡し,Yが受益者と
   して,B信託銀行から定時定額(毎月1回,30万円)の金銭給付を受けている場合
 ⑶ Yが居住している建物とその敷地(併せて「本件不動産」という。)の登記情報を調
   べてみたところ,
いずれもYの夫(故人)から受託者Cに信託財産として所有権移転登記がなされてお
   り,その信託目録によれば,Yの老後の生活を保障する信託目的の下に,受益者をY
  (後妻)とし,Yは,生涯にわたり,建物の1階部分(コンビニに賃貸中)の賃料を原
   資とする収益を定期的に受け取り,2階部分に無償で居住することができるとされて
   いる場合(なお,信託契約においては,Yが死亡した場合には信託は終了し,その残
   余財産〔本件不動産の所有権など〕は,Yの夫と前妻との間の子に帰属するものと定
   められている。)。

15.(目的物)航空機等の仮差押え
  航空機燃料等を販売しているX社は,航空業界に格安の運賃で参入して顧客を開拓して
  いるY社に対して航空機燃料を販売してきた。ところが,Y社は,他の格安航空会社と
  の競争の激化や世界的なパイロット不足等の影響で,便数を増やすことができず,予定
  していたほどの収益が上がらないため,四半期ごとに支払うこととなっている航空機燃
  料の代金の一部の支払が遅滞している。X社としては,これまでの燃料代金の未払分と
  今期の売掛金との合計額が3億円を超えたことから,何らかの保全措置をとりたいと考
  えているが,Y社が運行している大型旅客機はすべてリース物件であり,Y社が所有し
  ている航空機は小型の中古ジェット機1機(転売すると約2億円程度のもの)だけであ
  る。また,X社がY社に販売した航空機燃料の一部が国内の数か所の 空港内の燃料タ
  ンクに備蓄されている。X社は,Y社が運行している航空機と備蓄されている燃料につ
  いて、どのような保全処分をとることが考えられるか。

16.(必要性)債権者代位権の行使による仮差押え
  Xは,A社に対して事業用地の購入代金として5000万円を貸し付けた。A社がその資金
  で購入した土地は,M市が造成した工業団地内の土地であったが,M市が想定していた
  ほどの数の企業を誘致することができず,工業団地としての規模も縮小され,A社が購
  入した土地の価格も約半値程度に下落してしまったうえ,A社が予定していた工業団地
  内での原材料の調達や加工もできなくなり,A社の事業自体が赤字に転落し,運転資金
  を得るために,B社のために,その所有地に3000万円の抵当権を設定した。A社は,
  Y社と取引があり,Y社に対して3000万円の売掛債権を有している。A社の取引先であ
  るY社もM市が造成した工業団地内にA社より広い工場用地を有しているが,工業団地
  事業の不振を受け,これを売却しようとしている。Xは,A社に対する5000万円の貸金
  債権を保全するため,どのような方法を講じることができるか。

17.(必要性と審理)仮差押えの必要性とその疎明等
  債権者から次のような仮差押えの申立てがなされた場合,裁判所はどのような点に留意
  して審理及び判断をすべきか。
 ⑴ 連帯保証人を債務者とする仮差押命令の申立て
 ⑵ いわゆるヴァーチャル口座に関する預金債権を被仮差押債権とする仮差押命令の申立
   て
 ⑶ 将来発生する社会保険診療報酬支払請求権に対する仮差押命令の申立て

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18.(占有移転禁止)賃貸借契約の終了に基づく仮処分
  Xは,飲食店を営むYに対し,所有する庭付きの住居と駐車場を賃貸したが,Yは程な
  く家賃を滞納するようになり,滞納金額は半年分にも達した。Xは,Yに対して賃料の
  支払を催告したうえ,家賃の不払いを理由に上記賃貸借契約を解除したが,Yは,その
  住居に氏名等がわからない外国人の従業員を居住させていることが判明した。Xは,
  将来の明渡しの強制執行を保全するため,どのような仮処分を申し立てるべきか。また,
  複数の従業員が頻繁に入れ替わって居住し,掃除もせず,賃貸した住居の室内にゴミが
  山積みになっている様子が外からもわかる場合,Xは,Yに対して直ちに本件住居の明
  渡しを求めることはできるか。YがXの承諾もないのに,勝手に庭にプレハブの部屋を
  増設しようとしている場合はどうか。

19.(処分禁止)土地の一部についての処分禁止の仮処分
  広い一筆の土地(甲土地)の一部を買い受けたXが,売主Yに対し,その買い受けた部
  分について所有権移転登記請求権を保全するため,その部分について処分禁止の仮処分
  を求めることができるか。また,この場合に,甲土地の全部について処分禁止の仮処分
  を求めることは許されるか。
  
20.(処分禁止)仮登記権利者に対する仮処分
  Aは事業に失敗して多額の負債を抱えたが,担保余力のある自宅の土地及び建物(以下
  「本件不動産」という。)
  を再起のために残したいと考え,友人のBに相談したところ,Bへの売却を仮装するこ
  とを提案された。そこで,Aは,本件不動産につき売買契約を理由にBへの所有権移転
  の仮登記をしたところ,直ちにBは本件不動産を第三者Cに譲渡し,Cのために上記仮
  登記を移転するための附記登記をして行方不明になった。Aは,愚かなことをしたと反
  省し,債権者のためにも本件不動産を元の状態に戻したいと考えているが,Cがさらに
  本件不動産を他の者に譲渡するなどして権利関係が複雑にならないように,どのような
  保全処分を求めることができるか。

21.(処分禁止+占有移転禁止)詐害行為取消権に基づく仮処分
  A銀行は,Cを連帯債務者とし,Cが経営しているB社に対して5000万円を貸し付けた
  が,B社は手形の不渡りを出して倒産した。A銀行は,Cから少しでも貸付金を回収し
  たいと考えているが,Cは,妻のDと協議離婚し,めぼしい唯一の財産である自宅の土
  地建物(以下「本件建物」という。)をDに対して財産分与として譲渡してしまった。
  ところが,Cは,その後もDと一緒に本件建物に住んで,従前と変わらない生活を送っ
  ていることが判明した。A銀行は,誰を債務者として,どのような内容の保全処分を申
  し立てることができるか。その際に注意すべきことは何か。


22.(占有移転禁止+仮地位仮処分)抵当権に基づく占有排除の仮処分の可否
  A銀行は,取引先のBに対し,B所有の土地及び建物(以下「本件不動産」という。)
  に抵当権を設定したうえ,分割弁済の約定で5000万円を貸し付けたが,Bは事業の悪化
  により返済が滞るようになった。Aは,Bの期限の利益を喪失させて,抵当権を実行し
  ようと考えているが,Bは,Aの知らないCに対して本件不動産を相場の半値である月
  額20万円で賃貸した。Cは,1階部分と2階部分をつなぐ内階段を閉鎖し,2階には外
  から直接入れる外階段を設置するなどして,それぞれ店舗として賃貸しようとしている。
  Aは,Cが計画どおりに1階部分と2階部分とをバラバラに転貸すると,さらに新たな
  占有者が生じて権利関係が錯綜して本件不動産の評価額が下がることを懸念している。
  Aはどのような保全手段をとることができるか。また,このような担保権の実行を保全
  するため,民事執行法ではどのような制度が用意されているか。民事保全法による保全
  措置とは,どのような違いがあるか。

23.(仮地位仮処分)建物賃借権を保全するための仮処分
  本件建物の賃借人であるXは,家主であるYとの間で本件建物の修繕をめぐって意見が
  対立しているため,家賃の支払を拒否していた。たまたまXが仕事で1週間の出張に出
  かけて帰って来たところ,その間にYは,本件建物内に置かれていたXの所有物等を勝
  手に運び出して隣地内のガレージに置いたうえ,玄関ドア等の鍵を取り換えてしまい,
  Xが本件建物の内部に立ち入ることができないようにした。Xは,早期に元の状態を回
  復したいと考えているが,どのような手段をとることができるか。
  仮に,Xの不在中に,YがXの荷物を無断で搬出して,第三者のZに本件建物を貸して
  しまい,現在はZが本件建物に居住している場合はどうか。

24.(仮地位仮処分)競売手続停止,抵当権実行禁止の仮処分
  ⑴ Aは,Bから名誉毀損による損害賠償請求訴訟を起こされ,敗訴して金銭の支払を
    命じられ,確定したため,Bに対して敗訴に係る損害賠償額を遅延損害金を含めて
    支払った。それにもかかわらず,Bが確定判決を債めるために仮処分を求めること
    ができるか。
  ⑵ Cは,Dから融資を受けた際,その所有不動産にDを債権者として抵当権を設定し
    た。その後,Cは,Dに対して抵当権の被担保債権の全額を返済したが,所有不動
    産に設定された抵当権を抹消しないでいたところ,DがCの所有不動産に対して競
    売を申し立てた場合であれば,どうか。

后〃築紛争に関する仮処分
25.日照や良好な居住環境に対する被害の発生等を理由とする建築禁止の仮処分
  ⑴ Aは,第一種住居専用地域内に自宅を建てて居住しているが,道路を隔てて向かい
    の近隣商業地域に,Bが9階建てのビルを建築しようとしている。日影図では,そ
    のビルが建つと,隣のビルの影響もあって,冬場にはAの自宅にはほとんど日照が
    ない状況になる。Aは,どのような仮処分を申し立てることができるか。
  ⑵ Cは,第一種住居専用地域内に自宅を建てて住んでいるが,周囲はすべて2階建て
    の建物であるのに,同じ街区の並びのDが3階建ての建物を建築しようとしている
    ことを知り,苦々しく思っていたが,その建物の外壁が,すべて赤と黄色のまだら
    模様に塗装されることを知り,せっかくの街並みの美しさが害され,ひいては、街
    区全体の地価が下がってしまうと考えた。Cは,Dに対して,外壁を赤と黄色のま
    だら模様に塗装することを禁止する仮処分を申し立てることができるか。  

26.いわゆる迷惑施設に関連する建設差止めの仮処分
  次のような施設が建設されようとしている場合,近隣の住民は,どのような手続でどの
  ような仮処分を求めることができるか。
  ⑴ ペットの霊園がペットの火葬場を併設しようとしている場合
    ペットの霊園が開設される前から居住している住民と既に開設されているのを知っ
    て居住を開始した住民とで,その差止めを求める場合に違いが生じるか。
  ⑵ 駅から住宅地に抜ける商業地域内に,いわゆる場外馬券等売場の出店が計画されて
    いる場合
  ⑶ 下流域の水源になっている川沿いに大規模な産業廃棄物の処理場が計画されている
    場合

27.アスベストの撤去工事の禁止を求める仮処分
  次のような場合,A,Eは,誰に対してどのような仮処分を求めることができるか。
  ⑴ Aは,住んでいる自宅の2軒先にかなり古い倉庫があり,これを所有しているB社が,
    その倉庫の解体工事を建設会社Cに発注して取り壊して,マンションに建て替える計
    画があるのを知ったが,旧い倉庫には防火のために大量の石綿(アスベスト)材が使
    用されているはずであり,解体作業に伴って大量のアスベストの飛沫が飛んできて,
    Aに健康被害が及ぶのではないかと心配である場合
  ⑵ ⑴の事例で,倉庫の解体工事を請け負ったC社の下請会社Dの作業員であるEは,室
    内での解体作業に際して大量のアスベスト飛沫に曝露され,健康を害されるおそれが
    あると考えている場合

28.建築妨害禁止の仮処分
  建設業を営む株式会社E社が,マンション販売会社であるFの依頼を受けて,15階建てで総
  戸数300の大型マンションとなる建物の建設に着工するため,建築許可を得て公示したとこ
  ろ,以前からマンションの建設によって風害が生ずるなどと主張していた近隣の住民で組織
  する「G街の暮らしを守る会」のメンバーが,F社が設けたモデルルームの周辺で,入れ替
  わり立ち替わり,モデルルームを見に来た人たちに建設反対のビラを配ったり、基礎工事の
  ための資材等を搬入する工事用車両が通行する道路に立ちふさがって実力で阻止しようとし
 たりしている。このまま放置しておくと,F社のマンションの販売計画に悪影響が出るだけ
  ではなく,建設工事が遅れて,F社だけではなく,E社の資金繰りにも支障を来すおそれが
  ある。E社やF社は,どのような仮処分を申し立てることができるか。

29.建築紛争に関する仮処分事件と和解
  住民らが申し立てた建築禁止等の仮処分を認めることが難しい場合,保全裁判所はどのよう
  な対応をとることが考えられるか。

此〔祥澄Ε廛薀ぅ丱掘次Ε僖屮螢轡謄・人格権等に関する処分
30.出版禁止の仮処分
  次のような場合に,A,Dは,誰に対して,どのような手続で,どのような仮処分を求める
  ことができるか(C出版社,E事務所,F事務所,G出版社はすべて株式会社である。)。
  ⑴ 人気アイドルグループの一員であるAは,芸能リポーターのBが,Aの自宅等の地図や
    自宅の外観写真等を掲載した書籍をC出版社から出版しようとしていることを知り,そ
    のような書籍が出版されると,ファンが自宅に押しかけるだけでなく,不審者が周囲を
    徘徊して近所の住民にも迷惑をかけてしまうのをおそれている場合
  ⑵ 人気アイドルDは,所属E事務所と方針等が対立したため,E事務所を辞めてF事務所
    に移籍したが,元のE事務所がDの野外ライブ等の様子を撮影した写真等を掲載したD
    のファンブックをG出版社から発売しようとしている。D及び新たに所属したF事務所
    は,E事務所からDのファンブックが出版されると経済的な損失を被ると考えている場
    合。なお,そのファンブックに掲載されるDのプライベート写真は,元のE事務所のマ
    ネージャーHが撮影したものである場合はどうか。

31.元交際相手によるストーカー行為に対する仮処分
  ⑴ Xは,以前にYと結婚を前提として交際していたが,Yとは価値観や性格が合わないと
    感じるようになり,交際を止めることを申し入れた。ところが,Yは,これまでの交際
    でXに使った金を返せ,絶対に別れないなどといって,これに応じようとしない。Xが
    携帯電話の番号も変えて,Yに会わないようにすると,Yは,Xをつけ回すようになっ
    たほか,「Xは誰とでも寝る尻軽女です。」などと誹謗する文書をXの自宅に貼ったり,
    近所のポストにも入れて配るなどしている。Xは,Yに対してつきまといの禁止や文書
    等の配布禁止の仮処分を求めたが,裁判所は,どのような点に注意して審理すべきか。
  ⑵ また,Xは,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」に基づく保護
    命令という制度があると聞き,これを利用したいと考えているが,そのような申立ては
    できるか。

32.外国人差別禁止等の仮処分
  ⑴ (ヘイトスピーチ)政治団体A(主宰者B)は,東南アジア諸国の経済的自立を促進す
     るとして,東南
     アジアのM国の出身であるCが,日本国内で中古自転車等を買い集めてM国に輸出し
     利益を得ていることに目を付けて,「Cは,日本人を騙して安く中古自転車を買い取
    り,高値でM国に輸出している泥棒だ」,「M国では自転車も作れないのか」,
     「恥さらしCは直ちにM国に帰れ」などと叫びながら,Cの事務所の周辺でデモを繰
     り返している。Cは,誰を債務者として,どのような仮処分を申し立てることができ
     るか。
  ⑵ (差別禁止)アニメグッズ販売店を営むDは,来店する一部の外国人が,商品の保護ビ
     ニールを勝手に破いて商品を見たり,商品の陳列を乱してそのままにすることに立腹
     し,店の前に「外国人は入らないでください」との張り紙をした。常連客であるフラ
     ンス人Eが抗議すると,Dは,日本のルールをわかっていない外国人に向けたもので,
     Eは入ってよいと説明された。しかし,Eは,納得できず,友人のイタリア人Fと一
     緒に,Dに対し,そのような張り紙の禁止と,外国人の入店の妨害禁止を求める仮処
     分を申し立てたい。どのような問題があるか。

33.インターネットの電子掲示板への書込みの削除を求める仮処分
  次のような場合,Xは,どのような保全処分を求めるのが相当か。
  ⑴ Xは,フリーアナウンサーとして活動しているが,芸能レポーターのYは,Yがインタ
    ーネット上で開設しているホームページにおいて,「Xが不倫をしている」との記事を
    書いて掲載した。これを見たXは,不倫はしていないし,そのような書き込みを放置し
    ておくと,Xのクリーンなイメージに傷がつき,フリーのアナウンサーとしての活動に
    も支障を生じかねないと考えて,できるだけ早く,そのような書き込みが削除されるこ
    とを求めたいと考えている場合
  ⑵ ⑴の事例で,「Xは不倫をしている」と書き込んだのがYではなく,このホームページ
    にアクセスした第三者である場合

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34.通行妨害禁止の仮処分
  Xは,自宅のある土地(X所有地)が袋地であるため,もともとYの父親であるAが所有し
  ていた土地
 (現在は相続してY所有地)の一部を無償で通行のために利用していたが,Aが死亡すると,
  Yが通路部分の使用料を請求するようになり,Xがこれを断ったところ,Yは通路上に柵
  等を設けたため,Xは歩いて公道に出ることは可能であるものの,自動車で公道に出るこ
  とはできなくなった。XはYに対して柵の撤去等を求める仮処分を申し立てることができ
  るか。Xは,日常生活にも支障があるため,早期に解決できるのであれば,話合いによる
  解決も望んでいる。裁判所としては,和解を勧めるにあたりどのような点に留意すること
  が必要か。

35.自然エネルギー施設の撤去を求める仮処分
  ⑴ Xの自宅のほぼ南側に隣接する土地にYが2階建ての家屋を建築し,その北西側と南東
    側の屋根に太陽光発電のための太陽光パネルを設置した。ところが,Yの北西側屋根に
    設置された太陽光パネルに反射する光がXの自宅に入るようになり,まぶしくて日常生
    活にも支障を来すようになった。そこで,Xは,この太陽光パネルの撤去を求める仮処
    分を申し立てようと考えているが,どのような問題点があるか。
  ⑵ Xの自宅の裏山にY社が風力発電所を設置した。ところが,Xの家族は,それが設置さ
    れてから,体の不調を訴えるようになった。Xも風が強い日には偏頭痛がするようにな
    り,その原因は,風力発電のプロペラの回転によって発生する低周波によるものではな
    いかと考えるようになった。Xは,できるだけ早期に風力発電所の操業の差止めを求め
    たいと思うが,どのような方法をとることができるか。

36.マンション内で迷惑行為を繰り返す住人に対する仮処分
  次のような場合に,マンションの住民は,どのような手続で,どのような仮処分を求めるこ
  とができるか。
  ⑴ マンションの1室を宗教法人Aが購入して,不特定多数の信者が出入りするばかりか,
    昼夜を問わず大きな音で太鼓や鉦等を叩きながら宗教的儀式をしたりするため,睡眠や
    勉強の妨げになっている場合
  ⑵ マンションのエントランスやエレベーターに急に人相のよくない人たちが出入りするよ
    の間で不安が広がっていたところ,マンションの1室を暴力団の組長Bが購入したため
    であることが判明した。マンション前の道路には,よく暴力団関係者のものと思われる
    自動車が停車しており,近所で暴力団関係者による発砲事件も発生して,マンションや
    近隣の住民にいっそう恐怖心が募っているが、下手に何か言って報復されても困るので,
    誰も適切な対策を講じることができないでいる場合。

37.雑居ビルの飲食店等の騒音や煙や臭い等に対する仮処分
⑴ Aは,駅近くの1階部分が飲食店等の店舗で,2階以上が住居となっている雑居ビルの
    3階部分に住んでいるが,1階の居酒屋が深夜まで営業しており,夜の10時を過ぎても,
    店の前に客たちがたむろして大声で話をしたり,酔っぱらった客が拍手や万歳をしたり,
    ときには喧嘩をして,騒がしくて安眠できない。Aは,居酒屋の経営者であるBに対し
    て,どのような仮処分を申し立てることができるか。
  ⑵ Cは,駅前の通りを横道に少し入った2階建てのアパートに住んでいるが,午後5時過
  ぎから午後11時頃まで,路地向いの焼鳥屋が焼き鳥を焼くときに排気ダクトからすごい
    煙と臭いを店の外に排出しているためCの部屋では,窓がすぐに汚れてしまうし,洗濯
    物を干しておくと臭いが付いてしまい,洗濯をやり直さないといけなくなる。夏は窓を
    開けられないので,部屋の中が暑苦しい。Cは,焼鳥屋を営むDに対して,どのような
    仮処分を申し立てることができるか。
  ⑶ また,小問⑵のケースで,Cは,以前は独身であったし,家賃も安いので我慢していが
    ,結婚して赤ちゃんEも生まれたので,Eの健康のためにも,煙や臭いを何とかしてほ
    しいと考えている。Cは,焼鳥屋を営むDに対して,どのような仮処分を申し立てるこ
    とができるか。

38.近隣住民による迷惑行為の差止めを求める仮処分
  次のような場合,AやCが申し立てる仮処分には,どのような問題があるか。
  ⑴ (布団たたきの禁止)Aは,隣家に住むBが,雨の日以外は毎日ベランダに布団を干し
    て,午後3時頃
     から約1時間,パンパンと布団をたたき続けるため,その音と飛んでくるホコリでノ
    イローゼになってしまった。AはBに対して布団たたきの差止めを求める仮処分を申
    し立てたい場合
  ⑵ (ゴミ出し禁止の仮処分)Cの住む町内会では,市のゴミ収集場所を3か月ごとの順番
    で負担しているが,Dは,D宅前が収集場所になると,以前はずっとE宅前が収集場所
    であり,順番にすること自体がおかしいと言い張って,いつも負担を拒んでいる。そこ
    で,自治会長であるCは,Dが順番での負担を拒むなら,Dは町内会のゴミ収集場所に
    ゴミを出してはならないとの仮処分を申し立てたい場合

次 ̄超箸箒般嚇に関連する仮処分
39.ネットショップへの出店を求める仮処分
  Xは,Y社が運営しているインターネット上のヴァーチャル店舗に出店しているが,掲載し
  ている商品について消費者からクレームがあったため,Y社から,当分の間,出店禁止とさ
  れてしまい,インターネット上のヴァーチャル店舗にXの店のページが掲載されなくなって
  しまった。しかし,消費者のクレームは言いがかりのようなものであり,実際には同業他社
  がXを排除するためにやらせた疑いがあるうえ,Xでは,ネッ販売の売上げが約4割を占め
  ているので,ヴァーチャル店舗に掲載されなくなることは,死活問題である。Xは,Y社に
  対して,どのような仮処分を求めることができるか。また,どのような問題があるか。

40.商品の供給継続を求める仮処分の可否
  Xは,Y社との間でコンビニエンス・ストアのフランチャイズ契約を締結し,コンビニエン
  ス・ストアを経営してきた。そのフランチャイズ契約では,販売期限を過ぎた商品はすべて
  廃棄するものと定められているが,売残りのお弁当やおかずが多く,Y社の指示どおりに廃
  棄するのはロスが多いと考え,販売期限の4時間前からその商品の値引き販売を始めた。こ
  れに対して,Y社は,Xの値引き販売を認めてしまうと全国に影響が及び,ブランドイメー
  ジに傷が付くだけではなく,真面目にY社の指示に従っている店舗経営者にも示しがつかな
  いことから,厳しい対応をとることとなり,Xに対し,Y社の指示に反して値引き販売を行
  い,企業イメージを損なったとして,フランチャイズ契約を解除したうえ,商品の供給を停
  止することを通告してきた。Xは,Y社から商品の供給を止められるとコンビニエンス・ス
  トアとして成り立たず,生活にも困窮する事態となる。Y社に対して,どのような仮処分を
  求めるのが適切か。

41.競業避止義務違反に基づく営業差止めの仮処分
  X社は,宅配ピザのチェーン店のフランチャイズ事業を経営しているところ,X社との間で
  フランチャイズ契約を締結して宅配ピザ店を出店しているYが,同業他社であるZ社の宅配
  ピザチェーンに鞍替えしようとていることを知った。X社とYとのフランチャイズ契約では,
  YがX社との契約を解除した場合には,Yはその解除後1年間は同じ地域内で同種の営業を
  しないことなどを定めた条項があるため,X社は,YがZ社との間でフランチャイズ契約を
  締結してZ社の宅配ピザ店となることを阻止したいと考えている。X社は,誰に対して,ど
  のような仮処分を申し立てるのが適切か。

42.セクハラ禁止の仮処分
  Aは,宅配弁当の製造販売をしているB社のパートタイマーとして,1日6時間の勤務で週
  4日働いている。仕事は楽しいが,上司の係長Cが,他の人が見ていない時にAの身体を触
  るようになり,困りますと言っても,回数が減っただけでやめてくれない。その後,一緒に
  食事に行こうと誘われ,断っても何度も誘ってくる。Aは困って上司の課長Dに相談したが,
  Dは,「Cには奥さんもいるし悪気はないから様子を見て」と言うだけで,真剣に取り合っ
  てくれない。Aは,仕方なく,一度だけ食事に付き合い,終わったと思っていたが,Cから,
  教えていないはずのAの携帯電話に,「また一緒に食事に行きたい」,「できれば一緒に旅
  行に行きたい」などと書かれたメールが届くようになった。上司も頼りにならないので,何
  か対策をとりたいが,Aは,誰に対して,どのような仮処分を求めることができるか。

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43.子供の引渡しを求める仮処分
  次のような場合において,B,Dは,A,Eに対して子C,Fをそれぞれ仮にB,Dに引き
渡すよう求めたい
と考えているが,どのような申立てをするのが適切か。手続上の留意点は何か。
 ⑴ AとBは夫婦であるが,子Cが生まれた後,夫AがBに暴力を加えるようになったため,
   Bは3歳になるCを連れて実家に帰り,別居を始めた。ところが,Aは,Bに無断で保
   育園にCを迎えに行き,そのままAの実家に連れて行ってしまい,Bの要求にもかかわ
   らず,Cを引き渡さない場合
 ⑵ DとEは元夫婦であり,協議離婚に際して,母Dを子Fの親権者と定め,小学校に入学
   したFについては,平日はDの実家でDと一緒に過ごし,毎週土曜日の夜は父E宅に泊
   まり,日曜日の夕方にDの実家に戻ることに合意していた。それから間もなく,ある土
   曜日,DはいつものようにFをEに引き渡したが,日曜日の夕方になってもFが帰って
   来ないので,DがEに連絡すると,Eは,Fが帰るのを嫌がっているので,しばらく様
   子をみたいといって,FをDに引き渡さそうとしない場合
 ⑶ ⑵の事例において,Fが中学校3年生であればどうか。

44.面談強要禁止の仮処分
  A女は,B男と同棲していて,その子Cを生み,BはCを認知したが,次第に不仲となって
  同棲を解消した 。その後,Aは,Cがまだ幼くて働きに出られないため,Bに対してCの
  養育費を支払ってくれるよう求めたところ,Bは,自分から同棲を解消しておいて何だと怒
  りだし,Aに対して暴力を振るい,Aは頭部打撲や肋骨の圧迫骨折等の傷害を負った。その
  後,Bは,Aの実家に押しかけてきて,Cに会わせろと怒鳴り散らし,Aの頭を小突いたり
  した。近所の人が警察に通報して,駆けつけた警察官がBを制止してくれたので,その場
は収まったが,いつまたBが押しかけてくるかわからず,不安である。Aは,どうしたらよ
  いか。

45.家庭に関する仮処分
  被相続人Aの共同相続人の1人であるBが,Aの遺言によりAの自宅(以下「本件建物」
  という。)を単独で相続したとして,これを占有しているが,Aの遺言は,Aが認知症等
  によって正常な判断能力がないときに,Bから指示されるままに作成したもので,他遺言
  はない。Bは,自分の借金返済のため,本件建物を他に売却しようと考えて,不動産仲介
  業者にその売却を依頼していることが判明した。他の共同相続人であるCはどのような仮
  処分を求めることができるか。

46.遺言執行の差止めを求める仮処分
  Xは,被相続人Aの二男であり,A名義の土地の一角にあるA名義の建物(以下「本件建
  物」という。)に住んでいる。Aが死亡したところ,Aの長男であるYが,Aの自筆証書
  遺言であるとして,「Aの不動産はすべて長男Yに相続させること」,「Xは,Aの預貯
  金から1000万円を取得し,住んでいるA名義の建物から退去すること」,「遺言執行者と
  してYを指定すること」などが記載されている遺言書を持ち出してきて,Xに対して本件
  建物からの退去を求めている。しかし,Aは,アルツハイマー型の重度の認知症のため,
  死亡する10年前から施設に入所していて,Xの顔もわからなくなっていたが,その遺言書
  の作成日付は,Aが死亡する1年前であった。Xは,本件建物とその敷地部分を相続した
  いと考えており,遺言無効を主張するつもりであるが,Yが本件建物からの退去を強く求
  めるので,当面,Yの遺言執行を止めたい。Xには,どのような方法が考えられるか。
  勝|嚢圓硫晶菠

勝|嚢圓硫晶菠
47.金員仮払い――交通事故による損害賠償
  Xは仏像彫刻家で,全国の寺からの依頼を受けて仏像を制作するなどしていたが,自転車
  で近所に買い物に出かけた際,携帯電話が鳴ったことに気を取られてふらついてしまい,
  Yの運転する自動車と接触して転倒し,利き腕の右手の中指,薬指,小指を骨折して,3
  か月間はまったく彫刻の仕事ができず,その後も十分な力が
入らないだけではなく,微妙な力加減ができない状態が続いている。Xは,もともと職人
  気質であまり蓄えがなかったが,大きな作品も手がけたいと考えて工房を拡張したばかり
  で,わずかな蓄えも使ってしまっていたため,仕事ができずに生活にも窮することになっ
  た。しかし,Yが契約している損害保険会社との交渉は,過失割合で話合いが難航して,
  医療費は支払われたものの,逸失利益分はいまだに支払われていない。Xは,どのような
  仮処分を求めることができるか。

48.金員仮払い――退職撤回による賃金
  Xは,ゲーム・ソフト作成の下請会社Yで熱心に働いていたが,ある朝,出社するのが辛
  くなり,何日か会社を休んだ。数日後に出社すると,チームリーダーAに呼ばれ,Xが休
  んだのでチームの他の仕事にも支障が出ていると責められ,翌日には同僚Bから,自分の
  仕事も遅れて困ると苦情をいわれた。Xは,パニックになってAに相談したところ,仕事
  ができないなら辞めるしかないと言われ,退職届にサインをして,Y社を辞めた。
病院に行ったところ,医師から,うつ病傾向であり,労災ではないかといわれ,労働局で
  は退職届を撤回するように指導された。そこで,Xは,1週間後にY社に行き,退職届の
  撤回を申し入れたが,Y社は撤回を認めてくれない。Xは,Y社の従業員としての地位の
  認と賃金の支払を求めたいが,蓄えもなく,生活費にも事欠く状況である。Xは,どのよ
  うな仮処分を求めることができるか。また,仮処分以外の方法で何かよい解決策があるか。

49.所有権留保自動車の引渡断行
  自動車の販売会社Xは,Yに対し,自動車の所有権を留保したうえ,割賦で自動車を販売
  した。Yは,最初こそ割賦金を支払ったものの,その後は割賦金を支払わない。X社がY
  の信用調査をしたところ,Yは事業に行き詰まり,本件自動車をZに譲渡しようとしてい
  ることがわかった。Xはどのような対処が可能か。Yが既にZに対して本件自動車を引き
  渡しており,Zがこれを利用している場合であればどうか。

Ⅺ 保全債務者の救済
50.仮差押解放金,仮処分解放金,保全異議,保全抗告等
  次のような場合,債務者(ただし,⑷については債権者)は,どのような方法で対処でき
  るか。
 ⑴ Aは,Bから500万円を借りて商売をしていたが,思っていたほど売上げが伸びないた
   め,返済期限を過ぎても支払えずにいたところ,BはC銀行にあるAの預金債権を仮差
   押えしてきた。Aは,C銀行から,Bと話がつかなければ,AのC銀行に対する債務に
   ついて銀行取引約款により期限の利益を喪失させるとの通知を受けたので,Bによる前
   記預金口座の仮差押えを解除させたい。
 ⑵ Dは,Eから1500万円を借り受けた際,所有していたワンルーム・マンション
   (2200万円相当。以下「本件建物」という。)を譲渡担保とする契約を締結していたが,
   急に本件建物を2300万円で売却する話が出てきたので,登記移転を渋っていたところ,
   Eが本件建物につき処分禁止の仮処分をかけてきた。Dは,本件建物を処分して代金か
   らEに1500万円を返済するつもりでいた場合
 ⑶ Fは,私道の利用をめぐってGと対立し,F所有地の一部に何本か杭を打ち込んで,G
   の自動車が通行できないようにしたところ,Gの申立てにより通行妨害禁止の仮処分命
   令を受けてしまった。そこで,Fは,直ちに杭を引き抜いたが,Gは近所にFの違法行
   為は裁判所でも認定されたと言い回っているので,仮処分命令を何とかしたい場合
 ⑷ ⑶の事例で,Fが保全異議を申し立てたため,仮処分命令が取り消されたところ,Fは
   すぐまた私道に杭を打ち込んで,Gの通行を妨害し始めた。Gは,どうしたらよいか。

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