
内部統制システムの法的展開と実務対応
改正会社法・改正会社法施行規則・改訂版COSOに対応
- 編・著者大塚和成・柿﨑環・中村信男 編著
- 判型A5判
- ページ数400頁
- 税込価格4,840円(本体価格:4,400円)
- 発行年月2015年07月
- ISBN978-4-417-01657-1
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■解説
内部統制は次なるステージへ!
経営の健全性と企業価値の向上に向けて弁護士、企業法務部、会計士、研究者が、内部統制をめぐる法的・実務的諸問題、企業のシステム運用の実際、最先端の議論、重要判例の分析、弁護士・会計士の関わり方についてわかりやすく詳解。
編著者
大塚 和成:二重橋法律事務所パートナー弁護士
柿﨑 環:明治大学法学部教授
中村 信男:早稲田大学商学学術院教授
執 筆 者(執筆順)
高谷 裕介:二重橋法律事務所パートナー弁護士
藤田 和久:三菱商事株式会社法務部長
西岡 祐介:二重橋法律事務所パートナー弁護士
渡部 修平:三菱商事株式会社MCグループ・ビジネス・インフラ・サポート室長
田村 義則:宝印刷株式会社取締役常務執行役員(CSR部門,研究部門担当)
鈴木 裕司:新日本有限責任監査法人シニアパートナー
■書籍内容
第Ⅰ部 内部統制を理解するための基本理論
第1章 総論 内部統制の法的意義とその形成の経緯
Ⅰ 資本市場の公正な情報開示とコーポレート・ガバナンスをつなぐ内部統制
Ⅱ 内部統制の法的展開―米国における形成の経緯と機能から
1 米国における初の内部統制規定の法定の意義
2 内部統制の充実・強化に向けた取組み
3 SOX法にみる内部統制の展開
(1) SOX法404条「経営者による内部統制評価」
(2) SOX法302条「財務報告に対する会社責任」
4 その後の展開―SOX法の内部統制規定に対する反応
5 新たなるステージへ―FCDA内部統制規定への原点回帰
(1) FCPA法執行の増加とその背景
(2) FCPA法執行手段の多様化
(3) FCPA法執行の実効性を補完する他の法制度
(4) 今後のFCPA法執行の行方
Ⅲ わが国の新しい内部統制構築に向けて―本書の視座
1 わが国における内部統制法制の現状
2 今,改めて問われる内部統制整備・運用に向けた取組み
第2章 改訂版COSOフレームワークの概要と法的意義
Ⅰ COSOフレームワークの展開とその法的意義
Ⅱ 改訂版COSOフレームワークにみる内部統制の目的と機能―法的視点からの分析
Ⅲ 改訂版COSOの構成要素と法的視点からみた留意点
1 統制環境(Control Environment)
2 リスク評価(Risk Assessment)
3 統制活動(Control Activities)
4 情報と伝達(InformationandCommunication)
5 モニタリング活動(Monitoring Activities)
第3章 会社法上の内部統制体制
Ⅰ 内部統制の構築
1 内部統制概念と会社法の求める内部統制システム
(1) 株式会社の業務の適正を確保するための体制としての会社法上の内部統制システム
(2) 会社法上の内部統制システムと会社業務の妥当性と効率性の確保
(3) 会社法上の内部統制概念と金融商品取引法上の内部統制概念の関係
2 会社法上の内部統制とその構築強制会社の範囲53
(1) 会社法の定める内部統制システム構築強制会社の範囲
(2) 構築強制会社の実態と内部統制システムの整備義務との関係
(3) 大会社でない指名委員会等設置会社と内部統制システム
3 中小株式会社における内部統制システムの構築
4 会社法による内部統制システムの構築強制とその法的意義
Ⅱ 会社法および会社法施行規則に定める内部統制体制の基本的枠組み
1 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外の株式会社の場合
(1) 平成26年改正前会社法のもとでの規律
(2) 平成26年改正会社法のもとでの規律
2 監査等委員会設置会社の場合
3 指名委員会等設置会社の場合
Ⅲ 関連問題
1 内部統制システムの定期的な点検・検証と改善
2 企業集団内部統制システム構築・整備義務の会社法本体への格上げと
親会社取締役の子会社管理・監督義務の有無
Ⅳ 事業報告における内部統制の開示
第4章 内部統制と会社役員の責任をめぐる関連判例の分析
Ⅰ はじめに
1 求められる内部統制システムの構築
2 判例・裁判例から見る内部統制システム構築義務
Ⅱ 日本システム技術事件判例以前の主な裁判例
1 取締役の善管注意義務違反が肯定された事例
(1) 大和銀行事件
(2) 丸荘証券事件
(3) ジャージー高木乳業事件
(4) 新潮社フォーカス事件
(5) 大起産業事件
(6) 役員責任査定決定に対する異議事件
2 取締役の善管注意義務違反が否定された事例
(1) ダスキン事件
(2) ヤクルト事件
(3) 新潮社貴乃花事件
(4) 日経インサイダー事件
(5) 西松建設事件
3 下級審裁判例の検討
Ⅲ 日本システム技術事件の分析
1 事案の概要
2 原審の判断
(1) 事業上,内在していたリスクについて
(2) 代表取締役の予見可能性について
(3) 不正行為の発覚が遅れたことについて
3 本判例の判断
(1) 構築されていた管理体制の水準について
(2) 不正行為の想定可能性について
(3) 不正行為発生を予見すべき特別の事情について
(4) リスク管理体制の機能について
4 原審と本判例の違い
(1) 原 審
(2) 本判例
5 本判例の評価と射程
(1) ①通常想定される不正行為を防止しうる程度の管理体制について
(2) ②実際に発生した不正行為が通常容易に想定しがたい不正行為であるかについて
(3) ③当該不正行為を予見すべき特別な事情について
(4) ④リスク管理体制が機能していなかった事情について
(5) 本判例の射程
Ⅳ 親会社取締役の子会社管理責任に関する主な裁判例
1 親会社取締役の子会社管理責任に関する動向
2 裁 判 例
(1) 野村證券事件
(2) りそなホールディングス事件
(3) 雪印牛肉偽装事件
(4) 福岡魚市場事件
(5) ユーシン事件
第5章 公正な情報開示の確保に向けた内部統制システム構築のあり方
Ⅰ 金融商品取引法が求める内部統制システム体制の整備
1 これまでの経緯
2 内部統制報告制度
(1) 意 義
(2) 適用会社
(3) 内部統制報告書の記載事項
(4) 内部統制報告書の開示
3 内部統制監査―内部統制報告書に対する監査証明
(1) 概 要
(2) 内部統制監査報告書への記載事項
(3) 財務諸表監査と内部統制監査の一体監査
4 外国会社またはSEC登録済み本邦会社の場合
(1) 外国会社の財務報告に係る内部統制
(2) SECに登録済みの本邦上場企業における「財務報告に係る内部統制」
5 内部統制規定に違反した者の責任
6 確 認 書
Ⅱ 金融商品取引所規則による内部統制システム整備・評価・開示
1 適時開示に関する宣誓書と「適時開示体制の整備状況」の書面提出
2 「コーポレート・ガバナンス」に関する報告書
3 上場制度総合整備プログラムが要求する内部統制システムの整備
第6章 会社法における内部統制システムの整備の実務
――会社法および会社法施行規則の解釈を踏まえて
Ⅰ 会社法における内部統制システムの内容
Ⅱ 継続的な内部統制システムの整備の重要性
Ⅲ 内部統制システムの18項目
Ⅳ 業務執行機関内部の統制
1 取締役(執行役)の職務の執行に係る情報の保存および管理に関する規程その他の体制
(1) 総 説
(2) 「情報」の範囲
(3) 重要な情報の文書化,保存・管理についての体制整備――文書管理規程
(4) 守秘性を担保するための体制――情報取扱規程
(5) 情報セキュリティマネジメントシステム
2 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
(1) 総 説
(2) 組 織
(3) 規 程
3 取締役(執行役)の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
(1) 総 説
(2) 職務分掌および効率的な組織編制
(3) 業務プロセスの見直し・改善
(4) ITの活用による効率化
4 取締役(執行役)・使用人の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制
(1) 総 説
(2) 組 織
(3) 規 程
(4) 社内啓発活動
(5) 報告・相談ルートの確立(内部通報制度)
(6) 危機管理体制
Ⅴ 企業集団における体制
1 はじめに212
2 当該株式会社およびその子会社から成る企業集団における体制
(1) 総 説
(2) 親会社における子会社管理の組織
(3) グループ運営規程
(4) グループコンプライアンス体制
(5) グループ監査体制
3 当該株式会社およびその親会社から成る企業集団における体制
(1) 総 説
(2) 親会社の計算書類または連結計算書類の粉飾に利用されるリスクに対する対応
(3) 取引の強要等親会社による不当な圧力に関する予防・対処方法
(4) 親会社の役員等との兼任役員等の子会社に対する忠実義務の確保に関する事項
4 上場子会社について
Ⅵ 業務執行機関の外部の機関である監査役・監査等委員会・監査委員会による業務執行機関の統制
1 会社形態の違いに応じた体制の整備
2 補助使用人に係る体制
(1) 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人
([監査等委員会/監査委員会]の職務を補助すべき取締役および使用人)に関する事項
(2) 使用人の取締役からの独立性に関する事項
(3) 監査役(監査等委員会/監査委員会)のその職務を補助すべき(取締役および)
使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
(4) 具体的な体制整備
3 監査役(監査等委員会/監査委員会)への報告に係る体制
(1) 監査役(監査等委員会/監査委員会)への報告に関する体制
(2) 報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
4 監査役(監査等委員会/監査委員会)の職務の執行について生ずる費用の前払または償還の手続
その他の当該職務の執行について生ずる費用または債務の処理に係る方針に関する事項
5 その他監査役(監査等委員会/監査委員会)の監査が実効的に行われることを確保するための体制
6 内部監査部門との関係
第Ⅱ部 企業における内部統制の実務と
弁護士・公認会計士の関与の実際
第1章 内部統制システムの構築および運用段階における弁護士の役割
Ⅰ はじめに
Ⅱ 役員向けのコンプライアンス研修
Ⅲ リスク評価と対応のためのデュー・ディリジェンス
Ⅳ コンプライアンス担当部署と顧問弁護士との連携
Ⅴ コンプライアンス委員会の委員の委嘱
Ⅵ 規程類の整備・チェック
Ⅶ ヘルプラインの構築
Ⅷ 現場の従業員に対する日常的な研修
Ⅸ 不祥事発覚時の対応指導
ⅹ 不祥事発覚時の第三者委員会の委員の委嘱
XI 反社会的勢力対応関連
第2章 連結ベースでの経営基盤整備の観点からの内部統制対応
――三菱商事株式会社の事例
Ⅰ 会社の概要
1 三菱商事について
2 コーポレート・ガバナンスに対する取組み
(1) 取締役会
(2) 取締役会の諮問機関
(3) 業務執行
(4) 監査役監査
(5) 内部監査
(6) 会計監査
(7) 役員報酬
3 内部統制に対する取組み
Ⅱ 連結ベースでの経営基盤整備の観点からの内部統制対応
1 連結ベースでの経営基盤整備
2 連結経営基盤整備の一環としての「経営体制水準の明確化」
(1) 「経営基盤チェックリスト」
――金商法の財務報告に係る内部統制と会社法の内部統制対応の連携
(2) 「MCグループ経営理念及びMCグループ企業運営に係る基本ポリシー」
3 連結経営基盤の観点からの内部統制対応の浸透・定着に向けて
(1) 連結ベースでの情報共有サイト
(2) 連結ベースでのサポート体制
(3) 連結ベースでの研修・説明会
(4) 連結ベースでの専任組織
Ⅲ おわりに
第3章 宝印刷株式会社の内部統制システムについて
Ⅰ 会社の概要
Ⅱ CSR経営について
Ⅲ CSR経営に対応する体制
1 情報システムの管理
2 各種の認証ならびに内部統制に関連するコンピュータシステム概要図
3 マネジメントシステムの相互関係
Ⅳ 会社法上の内部統制システム
1 企業統治の体制
2 株主総会
3 取締役会・取締役・執行役員制度
4 監査役会・監査役・会計監査人
5 役員報酬
6 内部監査体制
7 業務の適正性を確保するための体制
Ⅴ 金融商品取引法上の財務報告に係る内部統制の構築
1 2007年度の対応
2 2008年度の対応
3 評価範囲の検討および業務プロセスの文書化
4 適用初年度の対応および2年目以降
5 おわりに
第4章 内部統制システムの整備・構築と実務対応
――財務報告に係る内部統制システム構築・運用と監査役監査・会計監査
Ⅰ 内部統制報告制度
1 金融商品取引法上の内部統制
(1) 導入経緯
(2) 改訂までの経緯
(3) 内部統制報告制度の全体像
2 会社法上の内部統制との関係
(1) 相違点
(2) 実務対応
3 内部統制報告制度運用実績
(1) 開示すべき重要な不備
(2) 意見不表明
(3) 訂正内部統制報告書
(4) 総 括
Ⅱ 内部統制評価・報告スケジュール
1 評価範囲の決定
2 全社的な内部統制の評価
3 決算・財務報告プロセス
4 業務プロセスに係る内部統制の評価
5 IT全般統制
6 経営者による報告
(1) 財務報告に係る内部統制の基本的枠組み
(2) 評価の範囲,基準日および評価手続
(3) 評価結果
(4) 付記事項
(5) 特記事項
Ⅲ 経営者の視点でみる実務対応
1 柔軟な制度対応
2 リスク対応
(1) 財務報告リスクの絞り込み
(2) 財務報告リスクとアサーション
(3) リスク評価体制
(4) 重要性の判断
3 統制上の要点(キーコントロール)
(1) リスクと統制上の要点
(2) キーコントロールの絞り込み
4 内部統制の有効性評価
(1) 評価範囲の決定
(2) 全社的な内部統制の評価
(3) 業務プロセスに係る内部統制の評価
(4) 不備等への対応,経営者による有効性の評価
Ⅳ 監査役の視点でみる実務対応
1 内部統制報告制度と監査役監査との関係
2 業務監査上の留意点
(1) トップダウン型のリスク・アプローチ
(2) 状況ヒヤリング
(3) 不備等の報告
3 不備が見つかった場合の対応
(1) 不備等の報告
(2) 監査役監査報告書への記載
Ⅴ 監査人の視点でみる実務対応
1 財務諸表監査と内部統制監査の一体化
2 監査計画と評価範囲の検討
(1) 監査計画
(2) 評価範囲の変更
3 内部統制監査の実施と報告
(1) 全社的な内部統制の評価の検討
(2) 業務プロセスに係る内部統制の整備・運用状況の検討
(3) 不備の検討
(4) 関係者とのコミュニケーション
4 財務報告リスクへの対応
(1) 財務報告リスク区分
(2) 誤 謬
(3) 不 正
事項索引
判例索引